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アメリカの映画作品 ウィキペディアから
『ドリームガールズ』(原題: Dreamgirls)は、2006年公開のミュージカル映画。トム・アイン原作・作詞によるブロードウェイ・ミュージカルの『ドリームガールズ』が原作。またこの映画はジェニファー・ハドソンの歌手・女優ともにデビュー作である。
ドリームガールズ | |
---|---|
Dreamgirls | |
監督 | ビル・コンドン |
脚本 | ビル・コンドン |
原作 |
ドリームガールズ: トム・アイン |
製作 | ローレンス・マーク |
製作総指揮 | パトリシア・ウィッシャー |
出演者 |
|
音楽 |
ヘンリー・クリーガー |
撮影 | トビアス・シュリッスラー |
編集 | ヴァージニア・カッツ |
配給 |
ドリームワークスSKG/パラマウント パラマウント/UIP |
公開 |
2006年12月16日 2007年2月17日 |
上映時間 | 131分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $80,000,000[1] |
興行収入 |
$155,430,335[2] 19.2億円[3] |
黒人のレコード・レーベル、モータウンの伝説的な黒人女性グループスプリームスのメンバー、ダイアナ・ロス、メアリー・ウィルソン、フローレンス・バラードがモデル。
劇中でのグループ名はザ・ドリームズで、メンバーはそれぞれディーナ・ジョーンズ、ローレル・ロビンソン 、エフィ・ホワイトに置き換えられている。
1960年代のアメリカいちの車の町であるデトロイト。その町のとあるライブハウスに、ディーナ・エフィ・ローレルの3人からなる「ドリーメッツ」がライブハウスの出演を賭けてオーディションを受けていた。その3人に目をつけたのが中古車ディーラーを営み、かつジミー・"サンダー"・アーリーのプロデューサーをしていたカーティス・テイラー・ジュニア。ジミーの女癖の悪さから彼のバックコーラスを失い、新しいバックコーラスを探していた。そこでドリーメッツの声を聞き、バックコーラスとして週$400で彼女たちを雇う。C. C.(エフィの兄)の作曲した"Cadillac Car"を聞き、これは売れると思ったカーティスは、レーベル「レインボー・レコード」(Rainbow Records)を立ち上げる。
黒人ラジオ局のみで流されたこの歌は、R&Bランクで1桁台の順位をたたき出すなどヒットとなったが、白人によって曲を盗まれる。カーティスはこのことから「金を使って白人ラジオ局にも流してもらおう」と、所有していた中古車を全て売り払い、ディーラーの跡地を本格的なスタジオとし、"Steppin' To The Bad Side" を発売する。その後ジミーのバックコーラスをしていたドリーメッツの3人は単独グループのザ・ドリームズとして活動し始める。しかしこの頃からエフィとその他のレインボー・レコードのメンバーの中に亀裂が走り始める。後日ある大事なショーのリハーサルを休んだエフィに業を煮やしたカーティスは、彼女を脱退させ、代わりに新メンバーを加入させてしまう。
新生ザ・ドリームズとなって数年後、ヒット曲を飛ばし続けるディーナたちはさらに人気となり、カーティスはアメリカ音楽界で名を馳せる存在となっていた。一方でカーティスはジミーの時代はもう終わったと彼に路線変更をさせイメージから作り変えることを画策する。ところが全国ネットの番組のステージでジミーは予定の歌を途中でキャンセルしラップに勝手に変更。かつてのジミーを演じ、挙句の果てにズボンまで下げてしまう。この失態からカーティスはジミーをクビにする。時を同じくしてC. C. はカーティスの横暴なやり方に反発して彼の元を去ってしまう。同じ頃、ソロ歌手として細々と活動を再開したエフィが、C. C. がエフィのためにと書いたとっておきの曲を歌い出すと、黒人ラジオ局で流れだしヒットの兆しを見せる。
しかしそれを快く思わないカーティスは、エフィの曲がまだ知名度が低いことにつけ込んで曲を盗み、曲の存在を知らないディーナの新曲として大々的に売り出す。数日後、映画出演のオファーが舞い込むディーナだったが、カーティスと意見が分かれて徐々にギクシャクし始める。その直後、ディーナは自身の新曲がエフィの曲を盗んだものだと知り電話で彼女に謝罪した後、カーティスから独り立ちすることを決める。そしてその数日後、多くのファンに惜しまれる中でザ・ドリームズの解散コンサートが開かれ、ディーナたちは最後のステージに上がる。
ドリームガールズの映画化は1980年代、1990年代にも試みられたが、スプリームスとモータウンの物語を演じ、6つのトニー賞を獲得したブロードウェイ・ミュージカルから離れたものとして実現しなかった。同ミュージカルの出資元のひとりであり映画化の権利を持つデヴィッド・ゲフィンはそれらの映画化を断った。ゲフィンは、1987年に亡くなったドリームガールズの舞台監督であるマイケル・ベネットの死後、作品の完全性を維持する必要があると述べた[10][11]。同年、当時ワーナー・ブラザース関連のゲフィン・ピクチャーズの映画製作会社を経営していたゲフィンは、ブロードウェイの作詞家でプロデューサーのハワード・アッシュマンと、ディーナを演じるホイットニー・ヒューストンを売りにする映画として映画化を始めた。ところがホイットニー・ヒューストンは主演のディーナだけでなくエフィの歌も歌いたいと希望し(特に "And I Am Telling You I'm Not Going")、映画化は最終的に放棄された[12]。
自身のゲフィン・ピクチャーズを吸収したドリームワークスを共同設立した1994年、ドリームガールズの映画化権はワーナー・ブラザースの手にあった。ワーナーは、タッチストーン・ピクチャーズのティナ・ターナーの伝記映画 "What's Love Got to Do It" の成功に続いてジョエル・シュマッカー監督と脚本家のティナ・アンドリュース[13]とともに1990年代遅くまでには映画化を進める予定だった 。 シュマッカー監督は、ローリン・ヒル[14]がディーナを演じ、ケリー・プライスがエフィーを演じることを計画していた。ワーナーのフランキー・ライモンの伝記映画 "Why Do Fools Fall in Love" が興行で失敗した後、ワーナーのスタジオはドリームガールズの映画化を中止した[12]。
ドリームワークスによるドリームガールズの映画化は、ブロードウェイ・ミュージカルのシカゴの映画版が興行で成功し、アカデミー賞を獲ったのを待って行われた。 シカゴの脚本を書いた脚本家兼監督のビル・コンドンは、2002年後半にハリウッドのホリデーパーティーでプロデューサーのローレンス・マークと会い、2人はコンドンの長年の「夢のプロジェクト - ドリームガールズの映画化」について話し合った[15]。2人はゲフィンと夕食をともにし、コンドンがドリームガールズの脚本を書くことの許可を首尾よく納得させた[16]。コンドンは、アルフレッド・キンゼイの伝記映画である『愛についてのキンゼイ・レポート』(2004年)を制作するまで、ドリームガールズの脚本に取り掛からなかった[15]。ゲフィンのもとへ最初の下書き脚本を送った2005年1月、コンドンの脚本によるドリームガールズの映画化に青信号が灯った[17]。
ミュージカルのストーリーの多くはそのまま残したものの、多くの目立つ変更が加えられた。ドリームズの故郷の設定は、シカゴからスプリームスとモータウン・レコードの実の故郷であるデトロイトに移された[10]。 ゲフィンの提案に従って、多くの登場人物は、より実生活に密接した脚色が行われた[10]。
ドリームガールズの映画化権を持つワーナー・ブラザースは、ドリームワークスとの共同制作に合意した。しかしながら配役は完了したあとであり映画予算は7,300万ドルにまで膨らんでおり制作を中止した。共同制作の責任者であるゲフィンはパラマウント映画社を共同出資社に招き入れドリームガールズを世に出した。その制作の過程でパラマウントの親会社であるバイアコムはドリームワークスを買収し2つのスタジオを傘下に入れ、うち古参のスタジオにはドリームワークスに代わってアメリカでの配給権を与えた[10]。完成した映画の制作予算は7,500万ドルで、ドリームガールズは映画史上、全員が黒人のキャストを擁する、最も高価な映画になった[1]。
マークとコンドンは、制作前からカーティス・テイラー・ジュニアとジェームス・“サンダー”・アーリーの役にそれぞれレコード業界での経験を持つ俳優である、ジェイミー・フォックスとエディー・マーフィを起用することを意図してプリプロダクションを開始した[15]。カーティス役のオファーを受けたフォックスはドリームワークスの提示したギャラと折り合わず最初は役を断った[15]。デンゼル・ワシントン、ウィル・スミス、テレンス・ハワードもカーティス役にとアプローチした俳優の中にいた[18]。一方でエディー・マーフィは、ドリームワークスの共同創設者のひとりジェフリー・カッツェンバーグによって役を演じるべきだと確信しジミー・アーリー役を承諾した[10]。
コンドンは3人のザ・ドリームズのメンバーには比較的知られていない女優を配そうとしたが[17]、R&B歌手のビヨンセ・ノウルズはディーナ・ジョーンズ役を演じるべく売り込み[19]、スクリーンテストにパスした後、役を射止めた[10]。ジェイミー・フォックスは、エディー・マーフィとビヨンセとが出演契約にサインしたと知り、フォックスは考え直し、ドリームワークスの提示した低いギャラでカーティス役を演じることを受け入れた[20][11]。
当初C. C. ホワイトはR&Bスターのアッシャーがキャスティングされていたが[21]、契約交渉は失敗した。アッシャーは映画製作プロジェクトに半年も捧げることができなかった。またアウトキャストのアンドレ・3000もC. C. ホワイト役にオファーを受けたものの辞退した[22]。R&B歌手のオマリオンも検討されたが[23]、最終的には歌手であり俳優のキース・ロビンソンがC. C. ホワイト役になった[24]。
ローレル・ロビンソンは、ブロードウェイミュージカルのベテランでトニー賞を受賞したアニカ・ノニ・ローズが、広範なオーディションを経て演じることとなった[19]。ローズは 5 ft. 6 in. (157.5 cm) と他の共演者より大幅に身長が低く、映画の大部分で4, 5インチ (10.2 - 12.7 cm) のヒールを履いて演じなければならなかった。このことで彼女は後に後に不快感を述べた[20]。
エフィ・ホワイト役を含む決定は物語の感情的な中心でもあり最も肝要であった[19]。映画製作者は、原作のブロードウェイで同役を演じた当時21歳のジェニファー・ホリデイをキャストするのと並行して、その役割で比較的未知のタレントをキャストすることを主張した[19]。アイドルオーディション番組アメリカン・アイドルの卒業生であるファンテイジア・バリーノ[25]とジェニファー・ハドソン[26]。、元ディズニースターのレイブンシモーネ、ブロードウェイスターのカパシア・ジェンキンス、パティーナ・ミラーなど、合計783人の歌う女優がエフィ・ホワイト役のオーディションを受けた[27]。バリーノはホワイト役の初期の最有力候補として浮上したが[28] 最終的にはジェニファー・ハドソンが選ばれた。バリーノいわく、ハドソンに電話をかけ、ハドソンが「(バリーノの)役を盗んだ。」と冗談めかして不平を言ったという[29][30][31]。
ハドソンはエフィ・ホワイト役を演じるにあたり20ポンド (9.1 kg) 太る必要があり[32]、それは同時に彼女のデビュー映画のパフォーマンスを獲得することとなった。ハドソンのキャスティングについてコンドンは、最初は自分が正しい決断をしたとは確信していなかったが、「他の人を信じていなかった」ために彼女は何度かオーディションを受け、本能的にハドソンを本能的に選んだ、と回想している[33]。
2005年11月にハドソンがキャストされた後、ドリームガールズのキャストは、コンドンと振付師のファティマ・ロビンソン、ミュージックビデオ業界のベテランであるアーコモン・"AJ"・ジョーンズとの大規模なリハーサルを開始した[34]。その間、音楽制作クルーは俳優やスタジオミュージシャンと一緒に映画の曲を録音し始めた。 リハーサルは2005年のクリスマス直前に終了したが、コンドンは、エフィの「歌姫」のキャラクターを完全なものとすべく、ハドソンを1週間のマンツーマンリハーサルに呼び戻した。ハドソンは、粗野であることを求められまた、(役づくりのため)セットでもオフでも遅く来る必要があった。そのため彼女とコンドンは、エフィの筋とシーンとを週を通して調べた[20]。
ブロードウェイのオリジナル作品でローレルを演じたロレッタ・デヴァインは、「I Miss You Old Friend」という曲を演奏するジャズ歌手としてカメオ出演している[19]。 映画に登場するもう1人のドリームガールズのベテランはヒントン・バトルで、ヒントン・バトルはステージ上のジェームス・“サンダー”・アーリーの夏の交代で、この映画ではカーティスの部下ウェイン役として出演している[19]。
主要撮影は2006年1月6日、"Steppin' to the Bad Side" の前半のダンス映像の撮影から始まり、後に映画から削除された[35]。この映画は主にロサンゼルスセンタースタジオのサウンドステージとロサンゼルスエリアのロケ地で撮影され、2番目のユニットの映像はデトロイト、マイアミ、ニューヨーク市で撮影された[35]。受賞歴のあるジュールス・フィッシャーとペギー・アイゼンハウアーのブロードウェイ照明チームは、映画のミュージカルナンバーの劇場照明技術を再現するために起用された[36]。
ビヨンセは、1970年代の成熟したディーナ・ジョーンズに若いバージョンのキャラクターとは異なる外観を与えるため、体重を減らすことを選択した。 水、レモン、メープルシロップ、カイエンペッパー(「マスタークレンズ」として広く知られている)の食事に固執することで、ビヨンセは急速に20ポンド (9.1 kg) を失い、映画製作が終了するとそれを取り戻した[37]。
2006年4月8日早朝、撮影終了まで意図的に保存されていたジェニファー・ハドソンのミュージカルナンバー "And I Am Telling You I'm Not Going" の撮影に4日を費やした後、撮影は完了した[35]。当初はこのシーンを1日で撮る予定だったが、コンドンは "And I Am Telling You" のシーンの撮影を終了するために追加の時間とお金を要求することを余儀なくされた。これはハドソンの声がミュージカルナンバーの撮影から4時間後になって声が「仕上がる」ためであった。またしわがれている間はもっともらしくリップシンクすることができなかったためである[15][33]。 "And I Am Telling You" は元のミュージカルでジェニファー・ホリデイが歌った目の見張るようなナンバーだったため、このシーンは製作に携わった関係者全員をして、映画の中心的存在であると感じていた[15][19]。
ドリームガールズの音楽監督であるランディ・スペンドラブとマット・サリバンはR&B制作チームのアンダードッグス(ハーベイ・メイソン・ジュニアとデーモン・トーマス)を雇い、現代のR&B・ポップスの感性を反映させるべくヘンリー・クリーガーとトム・アインの楽曲を再構成させた[38]。ポストプロダクション中に、作曲家のスティーブン・トラスクは、映画に追加の楽曲を提供する契約を結んだ[39]。ブロードウェイのオリジナルの曲から数曲、特にローレルのソロ "Ain't No Party" は採用されなかった[40]。
4曲の新曲 "Love You I Do", "Patience", "Perfect World" と、 "Listen" のが、映画では追加された[38]。いずれもオリジナルのミュージカルで作曲を務めたヘンリー・クリーガーが作曲した音楽のイメージを際立たせている。トム・アインが1991年に亡くなったため[13]、さまざまな作詞家がクリーガーによって連れてこられ、新しい曲を共作した。サイーダ・ギャレット作詞の "Love You I Do" は映画ではレインボーレコードのスタジオでのリハーサル中に演奏された[13]。ウィリー・アーレ作詞の "Patience" はジミー、ローレル、C. C. とゴスペル合唱団がジミーのメッセージ性の強い歌として録音するシーンで演奏された[13]。"Perfect World" もサイーダ・ギャレットの作詞によるもので、レインボーレコード10周年記念の番組ライブ中で、ジャクソン5をイメージしたキャンベル・コネクションが歌っている[13]。アン・プレヴェン作詞、スコット・カトラーとビヨンセ・ノウルズ作曲の "Listen" は、映画の後半でディーナの心情を吐露する決定的な瞬間として提示される[13]。
2006年夏のプレビュー上映後、音楽の量に対する視聴者の否定的な反応により、数分に相当する音楽映像が映画から削除された[41][42]。この中には1本のミュージカルナンバー "Effie, Sing My Song" が含まれており、この部分は会話バージョンに置き換えられた[9][41]。
サウンドトラックアルバム "Dreamgirls: Music from the Motion Picture" は、ハイライトを含むシングルディスクバージョンと、すべての曲を含むダブルディスク「デラックスバージョン]との両方で、12月5日にミュージックワールドエンターテイメント / コロムビア・レコードより発売された。シングルディスクバージョンは販売が低迷する週である2007年1月初旬に Billboard 200 で最高の1位を記録している[43]。"Listen" は、ビヨンセをフィーチャーしたミュージックビデオによってサポートされた、サウンドトラックからの最初の公式シングルである。また、"And I Am Telling You I'm Not Going" はサウンドトラックからの2番目のシングルである。当初はオリジナル映像のミュージックビデオが計画されていたが[44]、最終的に "And I Am Telling You" で公開されたビデオは、実際の映画の対応するシーン全体で構成されていた。
(ノミネート含む。太字は受賞)
劇中の「ザ・ドリームス」のモデルとなったのは、スプリームスであるが、実話とは異なる相違点が幾つかある。
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