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1993年制作のアメリカの映画作品 ウィキペディアから
『逃亡者』(とうぼうしゃ、原題: The Fugitive)は1993年公開のアメリカ映画。妻殺しの罪を着せられた医師が警察に追われながらも真犯人を見つけ出すというサスペンス映画。
逃亡者 | |
---|---|
The Fugitive | |
監督 | アンドリュー・デイヴィス |
脚本 |
デヴィッド・トゥーヒー ジェブ・スチュアート |
原案 | デヴィッド・トゥーヒー |
原作 |
キャラクター創造 ロイ・ハギンズ |
製作 | アーノルド・コペルソン |
製作総指揮 |
キース・バリッシュ ロイ・ハギンズ デヴィッド・トゥーヒー |
出演者 |
ハリソン・フォード トミー・リー・ジョーンズ ジェローン・クラッベ セーラ・ウォード アンドレアス・カツーラス ジョー・パントリアーノ |
音楽 | ジェームズ・ニュートン・ハワード |
撮影 | マイケル・チャップマン |
編集 |
ディーン・グッドヒル デニス・ヴァークラー デイヴィッド・フィンファー |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
1993年8月6日 1993年9月11日 |
上映時間 | 130分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $44,000,000 |
興行収入 | $368,875,760[1] |
配給収入 | 22億5000万円[2] |
1960年代のテレビドラマ・シリーズ『逃亡者』をベースとしたリメイク作品で、医師リチャード・キンブルをハリソン・フォード、連邦保安官補サミュエル・ジェラードをトミー・リー・ジョーンズが演じた。
物語の舞台が映画公開当時の現代へと置き換えられ[3]、設定やストーリーは変更されているが、無実の罪を着せられながらも妻を殺害した真犯人「片腕の男」を追う医師キンブルと、彼を逃亡犯として追う好敵手ジェラード、という骨子はテレビドラマ版を踏襲している。
本作では、キンブルを幾度となく窮地に追い詰めるジェラード連邦保安官補の非情さや、逃亡犯を追う職務を楽しんでいるような姿が描かれる一方、感情移入できるような描写が少なかったテレビドラマ版のジェラード警部とは異なり、逮捕の危険を冒して自らの無実を証明しようとするキンブルの真剣な行動に有罪を確信できず、自ら再捜査に乗り出すジェラード警部の描写などが取り入れられている。ジェラード役を演じたトミー・リー・ジョーンズは第66回アカデミー助演男優賞を受賞した。
なお、本作品のスピンオフ作品として、ジェラード連邦保安官補が主役を務める『追跡者』が1998年に作られた。
本作の元となっているテレビドラマ版『逃亡者』は、1954年、アメリカ・オハイオ州でサミュエル・シェパード医師がその妻を殺害したとして逮捕された現実の冤罪事件(サム・シェパード事件)に脚色を加えた小説を元に作られている。この「濡れ衣を着せられた無実の主人公が警察などの追っ手から逃げつつ、真犯人捜しの旅をする」という形式には人気があり、これ以外にも様々な「逃亡者」が作られ[注釈 1]、逃亡者という題名を付与されずとも似たような形式の作品は多い。
脚本を読んだハリソン・フォードは、当初、ジェラード役を熱望したという。
シカゴ記念病院の有能な血管外科医リチャード・キンブルがある日の夜に帰宅すると、妻のヘレンが家の中で何者かに襲われて死に瀕していた。キンブルは犯人と思しき「片腕が義手の男」を追い払うが、妻は既に致命傷を負っており手遅れであった。キンブルはヘレンの通報で駆け付けた警察に、自分が取り逃がした義手の男について捜査するよう懇願するが、警察は死の間際のヘレンからの911番の内容を誤解し、キンブル本人が妻殺しの濡れ衣を着せられその場で逮捕されてしまう[4]。
キンブルは裁判で無実を証明することができず、死刑判決を受けて刑務所へと移送されることになるが[5]、その最中に他の囚人たちが逃亡を企てたハプニングにより、護送車が列車と衝突し爆発炎上するという大事故が発生する[6]。事故を間一髪で生き延びたキンブルは混乱に乗じ、妻を殺害した真犯人を自らの手で見つけて汚名をすすぐため、事故現場から逃亡してシカゴへと向かう[7]。一方、いち早く脱走した囚人がいることを突き止めたサミュエル・ジェラード連邦保安官補とその部下達はキンブルを追跡する[8]。
時には持ち前のヒューマニズムが仇となって窮地に陥りつつも[9]、キンブルは執拗なジェラードの追跡を幾度となく振り切りながら[10]、真相の手がかりを求めてシカゴに帰り着く[11]。そして同僚であり親友でもあるチャールズ・ニコルズからの援助も受けながら[12]、ついには自分が目撃した「片腕が義手の男」がフレデリック・サイクスという名の人物であることを突き止める[13]。そして犯人は妻ではなく自分を殺害することが狙いであったことや、事件の裏に大手製薬会社が絡んでいることを知る[13]。また自分と同じ病院に勤務していた医師アレックス・レンツが関わっていたことも判明するが、レンツが少し前の夏に交通事故で亡くなっていることをニコルズから知らされる[14]。その頃、ジェラードは、キンブルがサイクスの家から自分に電話してきた不可解な行動から、彼は本当は無実ではないかと思い始めるようになり、キンブルが残した手がかりを元に独自に調査し始め、サイクスに目星をつけるのだが、彼に逃げられてしまう[15]。
一方のキンブルは古巣のシカゴ記念病院で、レンツの研究に用いられていた検体が、レンツの死後にレンツ以外の何者かによってすり替えられていたことを見抜く[16]。さらに、その状況からレンツの上司でもある親友のニコルズだけがそれをできうることと、彼こそが、自分の殺害をサイクスに指示した黒幕であり、今まで自分を欺いていたことを悟る[16]。かつてレンツが研究中であった新薬に重大な副作用があることを指摘したキンブルは、その新薬によって富と名声を得ることを目論んでいたニコルズにとって邪魔な存在であったのだ。直ちにニコルズの元へ向かおうとするキンブルをサイクスが襲うが、キンブルはそれを返り討ちにする[17]。
サイクスを差し向けキンブルを始末したつもりでいたニコルズは、ホテルの会場で新薬の成果に関する講演会を開いていた。そこにキンブルは乗り込み、大勢の聴衆の前でニコルズを問いただす[18]。ニコルズは話し合う素振りを見せつつも会場を離れ、キンブルに不意打ちを浴びせようとし、2人は格闘を始める[19]。シカゴ市警によってホテルが封鎖され、キンブルの射殺命令が出される中、独自の調査で事件の真相に辿り着いていたジェラードも到着し部下を連れてホテルの中へ突入する[19]。
格闘戦の末、ニコルズが黒幕であるのを知っているジェラードの説得もあって、キンブルは投降しようとする。そしてその時、影からニコルズがジェラード警部を撃ち殺そうとしているのを見たキンブルが、間一髪でニコルズを打ちのめし、彼ら2人はジェラードに逮捕される[20]。しかしキンブルの無実を確信していたジェラードは直ぐにキンブルの手錠を外し、報道陣が詰め掛ける現場から共にパトカーで去る[21]。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |||
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ソフト版 | テレビ朝日版 | 機内上映版1 | 機内上映版2 | ||
リチャード・キンブル | ハリソン・フォード | 磯部勉 | 小川真司 | 大塚明夫 | |
サミュエル・ジェラード | トミー・リー・ジョーンズ | 菅生隆之 | 小林清志 | 田中信夫 | 麦人 |
チャールズ・ニコルズ | ジェローン・クラッベ | 有本欽隆 | 小川真司 | ||
ヘレン・キンブル | セーラ・ウォード | 塩田朋子 | 宮寺智子 | ||
アン・イーストマン | ジュリアン・ムーア | 佐々木優子 | 高島雅羅 | ||
フレデリック・サイクス | アンドレアス・カツーラス | 山野史人 | 銀河万丈 | ||
コズモ・レンフロ | ジョー・パントリアーノ | 田中正彦 | 野島昭生 | ||
ニューマン | トム・ウッド | 仲野裕 | 中原茂 | ||
ビッグス | ダニエル・ローバック | 津田英三 | 金尾哲夫 | ||
プール | L・スコット・カードウェル | 寺内よりえ | 磯辺万沙子 | ||
ローリンズ保安官 | ニック・サーシー | ||||
ケリー刑事 | ロン・ディーン | 青森伸 | |||
判事 | アンディ・ロマーノ | 糸博 | |||
ロゼッティ刑事 | ジョセフ・F・コサラ | 山野史人 | |||
老刑務官 | リチャード・リール | 宝亀克寿 | |||
若い刑務官 | パンチョ・デミングス | ||||
ヘンリー連邦保安官 | ジョニー・リー・ダヴェンポート | 福田信昭 | |||
翻訳 | 中島多恵子 | たかしまちせこ | |||
演出 | 福永莞爾 | 蕨南勝之 | |||
調整 | 山田太平 | ||||
録音 | 金谷和美 土屋雅紀 | ||||
効果 | リレーション | ||||
VTR編集 | 木村千恵 | ||||
音響制作 | 相原正之 中西真澄 | ||||
プロデューサー | 小川政弘 貴島久祐子 | ||||
制作 | ワーナー・ホーム・ビデオ プロセンスタジオ | ムービーテレビジョン | |||
初回放送 | 1996年10月6日 『日曜洋画劇場』 21:02 - 23:24 | ||||
「片腕の男」の義手の資料を集めるためにキンブルが潜りこむ病院[31]は、本作の1年後に放送が開始されたテレビドラマ『ER緊急救命室』(以下、ER)の舞台にもなっている、シカゴのクック郡病院[32][33]である。また、ジュリアン・ムーアが演じたイーストマン医師とのやり取りや、ERの第1話でも描かれるシカゴの聖パトリックの祝日(3月17日)[34]も本作での見どころの一つになっている。共に配給元がワーナー・ブラザースである関係とみられる。
また、本作の出演を依頼された事があるケビン・コスナーは、『コーリング』でキンブルと同じシカゴ記念病院に勤める緊急救命室・部長ダロウ医師を演じた。
本作ではジェラードの役職がテレビドラマ版とは異なり、所轄の警察の警部(警部補)から連邦保安官補へと変更されているが、これはジェラードが逃亡するキンブルを追って広範囲の捜査を進めるという状況に説得力を持たせるための変更であると言われている[3]。ただし現実における連邦保安官とは、連邦司法制度の保護(連邦判事・検事の警護、連邦裁判所の警備、連邦刑務所の管理、証人保護プログラムの実施等)をその所掌事務とする司法省の一部局(連邦保安局)の構成員であり、州法上の殺人罪で死刑判決を受け、郡刑務所に移送中の囚人が逃走したとしても、現実には捜査権を持たない(これを強行すればまさに越権行為であり、連邦―州間の行政訴訟問題へと発展しかねない)。あくまで、逃走現場を所轄する地元警察・保安官事務所及び、州警察が排他的な管轄権を行使することとなる。本作品の中で登場する連邦保安官補たちはイリノイ州シカゴ支局連邦保安官事務所の捜査官であり、逃亡者を逮捕する任務を帯びている者として当然の権利を行使したまでであり、アメリカ全土に逃げるキンブルを追いかけるのは越権行為には当たらない。
映画の内容を基にしたノベライズ版が出版されており、日本では早川書房から日本語訳が出版されている。概ね映画に沿って作中の出来事を文章化したものとなっているが、映画では台詞に出して明言されなかった、登場人物たちの性格についても細かく描写されている[3]。また、ノベライズ版独自に追加されたり省かれたりするなど、映画とは若干描写の異なる場面もある。
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