Loading AI tools
メジャーリーグベースボールの第50回アメリカンリーグ優勝決定シリーズ ウィキペディアから
2019年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月1日に開幕した。アメリカンリーグの第50回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 50th American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、12日から19日にかけて計6試合が開催された。その結果、ヒューストン・アストロズ(西地区)がニューヨーク・ヤンキース(東地区)を4勝2敗で下し、2年ぶり3回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
2019年のアメリカンリーグ チャンピオンシップシリーズ | |||||||
| |||||||
シリーズ情報 | |||||||
試合日程 | 10月12日–19日 | ||||||
観客動員 | 6試合合計:27万6575人 1試合平均: 4万6096人 | ||||||
MVP | ホセ・アルトゥーベ(HOU) | ||||||
責任審判 | ジェフ・ネルソン(第3戦まで)、 マイク・エベリット(第4戦から)[注 1][1] | ||||||
ALDS | HOU 3–2 TB NYY 3–0 MIN | ||||||
チーム情報 | |||||||
ヒューストン・アストロズ(HOU) | |||||||
シリーズ出場 | 3年連続 | 7回目||||||
GM | ジェフ・ルーノウ | ||||||
監督 | A.J.ヒンチ | ||||||
シーズン成績 | 107勝55敗・勝率.660 西地区優勝 | ||||||
分配金 | 選手1人あたり25万6030.16ドル[2] | ||||||
| |||||||
ニューヨーク・ヤンキース(NYY) | |||||||
シリーズ出場 | 2年ぶり16回目 | ||||||
GM | ブライアン・キャッシュマン | ||||||
監督 | アーロン・ブーン | ||||||
シーズン成績 | 103勝59敗・勝率.636 東地区優勝 | ||||||
分配金 | 選手1人あたり11万4367.19ドル[2] | ||||||
| |||||||
| |||||||
ワールドシリーズ |
両球団がポストシーズンで対戦するのは、2017年のリーグ優勝決定戦以来2年ぶり3度目。アストロズは、3勝2敗とシリーズ制覇に王手をかけて臨んだ第6戦をホセ・アルトゥーベのサヨナラ本塁打で勝利した。ポストシーズンのシリーズ突破を決めるサヨナラ本塁打と、リーグ優勝決定戦の突破を決めるサヨナラ勝利は、いずれも史上11度目[3]。その両方の条件を満たすリーグ優勝決定戦突破決定サヨナラ本塁打となると、2014年ナショナルリーグでサンフランシスコ・ジャイアンツのトラビス・イシカワが放って以来5年ぶり5度目となる[4]。アルトゥーベは6試合で打率.348・2本塁打・3打点・OPS 1.097を記録し、シリーズMVPに選出された。しかしアストロズは、ワールドシリーズではナショナルリーグ王者ワシントン・ナショナルズに3勝4敗で敗れ、2年ぶり2度目の優勝を逃した。
今シリーズの冠スポンサーは、自動車保険会社のGEICOが務める[5]。したがって大会名はアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ presented by GEICO(英語: American League Championship Series presented by GEICO)となる。
10月7日にまずヤンキース(東地区優勝)が、そして10日にはアストロズ(西地区優勝)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
ヤンキースは前年の地区シリーズで敗退後、オフにはブライス・ハーパーやマニー・マチャドといった大物FA選手の獲得に動かなかったことで批判を集めた[6]。2019年はシーズン開幕から、投手陣ではエースのルイス・セベリーノや救援のデリン・ベタンセス、野手陣では中心打者ジャンカルロ・スタントンら複数の主力が怪我でほとんど出場できなかったにもかかわらず、前半戦終了時には57勝31敗で2位タンパベイ・レイズに6.5ゲーム差をつけて地区首位に立った[7]。後半戦も選手の故障離脱は止まらず、MLB史上初めて年間で30選手が故障者リスト入りし、リスト入り選手の総欠場試合数2,776はこの年の2位を600以上も上回った[8]。それでも勝利のペースが落ちることはなく、9月19日には100勝到達と同時に7年ぶりの地区優勝を決めた[9]。平均得点5.82はリーグ最高、防御率4.31はリーグ6位。打線は本塁打数がリーグで2番目に多く、投手陣は先発ローテーションがジェームズ・パクストンを除いて防御率4点台だったものの、勝ちパターンの継投が確立されていた[10]。故障者続出のチームを支えたのは野手ではDJ・ルメイユやジオ・ウルシェラ、救援投手ではザック・ブリットンやアダム・オッタビーノといった、オフに獲得あるいは再契約した選手たちであり、ハーパーやマチャドではなく彼らを補強したのは結果的には正解だった[6]。地区シリーズではミネソタ・ツインズを3勝0敗で下した[11]。
アストロズでは前年のリーグ優勝決定戦敗退後、先発ローテーションからダラス・カイケルとチャーリー・モートンがFA移籍で、ランス・マッカラーズ・ジュニアがトミー・ジョン手術で抜け、2枚看板のジャスティン・バーランダーとゲリット・コールを残して500イニング分の穴が生まれた[12]。その穴はウェイド・マイリーの獲得と内部配置転換で埋めることとなり、他方で打線にはマイケル・ブラントリーとロビンソン・チリノスが加わった。2019年は、4月28日にチリノスの決勝3点本塁打で試合に勝利して地区首位へ浮上すると[13]、その座を守りながらシーズンを進め、前半戦終了時点では57勝33敗で2位オークランド・アスレチックスに7.0ゲーム差をつける。その後、トレードではザック・グレインキーを獲得して先発ローテーションを強化した。後半戦もアスレチックスを寄せ付けず、結局は前述の4月28日以降一度も首位を譲らないまま、9月22日に地区3連覇を決めた[14]。3年連続のレギュラーシーズン100勝超えは、MLB史上15年ぶり6球団目である[15]。平均得点5.68はリーグ3位、防御率3.66はリーグ最高。打線では主力選手8人がOPS.790以上を記録し[16]、なかでもヨルダン・アルバレスは新人ながら82試合で27本塁打・77打点と強打を発揮した[14]。投手陣では、バーランダーとコールが勝利・防御率・奪三振・被打率でリーグのトップ2を占めた[17]。地区シリーズではレイズを3勝2敗で下した[18]。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、地区優勝球団どうしが対戦する場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられる。したがって今シリーズでは、アストロズがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は7試合対戦し、アストロズが4勝3敗と勝ち越していた[19]。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
ニューヨーク・ヤンキース | ヒューストン・アストロズ | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 | 守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 |
投手 | 53 | ザック・ブリットン | 左 | 左 | 31 | 投手 | 66 | ブライアン・アブレイユ | 右 | 右 | 22 | ||
85 | ルイス・セッサ | 右 | 右 | 27 | 45 | ゲリット・コール★ | 右 | 右 | 29 | ||||
54 | アロルディス・チャップマン★ | 左 | 左 | 31 | 21 | ザック・グレインキー★# | 右 | 右 | 35 | ||||
57 | チャド・グリーン | 右 | 左 | 28 | 36 | ウィル・ハリス | 右 | 右 | 35 | ||||
34 | J.A.ハップ | 左 | 左 | 36 | 39 | ジョシュ・ジェームズ | 右 | 右 | 26 | ||||
48 | トミー・ケインリー | 右 | 右 | 30 | 54 | ロベルト・オスナ | 右 | 右 | 24 | ||||
43 | ジョナタン・ロアイシガ | 右 | 右 | 24 | 41 | ブラッド・ピーコック | 右 | 右 | 31 | ||||
70 | タイラー・ライオンズ# | 左 | 左 | 31 | 55 | ライアン・プレスリー★ | 右 | 右 | 30 | ||||
0 | アダム・オッタビーノ | 右 | 両 | 33 | 30 | ヘクター・ロンドン | 右 | 右 | 31 | ||||
65 | ジェームズ・パクストン | 左 | 左 | 30 | 38 | ジョー・スミス | 右 | 右 | 35 | ||||
52 | CC・サバシア | 左 | 左 | 39 | 65 | ホセ・ウルキディ | 右 | 右 | 24 | ||||
40 | ルイス・セベリーノ | 右 | 右 | 25 | 35 | ジャスティン・バーランダー★ | 右 | 右 | 36 | ||||
19 | 田中将大★ | 右 | 右 | 30 | 捕手 | 12 | マーティン・マルドナード# | 右 | 右 | 33 | |||
捕手 | 28 | オースティン・ロマイン | 右 | 右 | 30 | 28 | ロビンソン・チリノス | 右 | 右 | 35 | |||
24 | ゲイリー・サンチェス★ | 右 | 右 | 26 | 内野手 | 27 | ホセ・アルトゥーベ | 右 | 右 | 29 | |||
内野手 | 30 | エドウィン・エンカーナシオン# | 右 | 右 | 36 | 2 | アレックス・ブレグマン★ | 右 | 右 | 25 | |||
18 | ディディ・グレゴリウス | 右 | 左 | 29 | 1 | カルロス・コレア | 右 | 右 | 25 | ||||
26 | DJ・ルメイユ★ | 右 | 右 | 31 | 16 | アレドミス・ディアス | 右 | 右 | 29 | ||||
25 | グレイバー・トーレス★ | 右 | 右 | 22 | 10 | ユリ・グリエル | 右 | 右 | 35 | ||||
29 | ジオ・ウルシェラ | 右 | 右 | 28 | 外野手 | 44 | ヨルダン・アルバレス | 右 | 左 | 22 | |||
外野手 | 11 | ブレット・ガードナー | 左 | 左 | 36 | 23 | マイケル・ブラントリー★ | 左 | 左 | 32 | |||
31 | アーロン・ヒックス | 右 | 両 | 30 | 6 | ジェイク・マリスニック | 右 | 右 | 28 | ||||
99 | アーロン・ジャッジ | 右 | 右 | 27 | 22 | ジョシュ・レディック | 右 | 左 | 32 | ||||
38 | キャメロン・メイビン# | 右 | 右 | 32 | 4 | ジョージ・スプリンガー★ | 右 | 右 | 30 | ||||
27 | ジャンカルロ・スタントン | 右 | 右 | 29 | 3 | カイル・タッカー | 右 | 左 | 22 |
ヤンキースは地区シリーズのロースターから、投手をひとり増やすかたちで2選手を入れ替えた。外れたのはともに野手のルーク・ボイトとタイラー・ウェイドであり、加わったのは投手のCC・サバシアと外野手のアーロン・ヒックスである。チームはレギュラーシーズン最終週の時点でポストシーズンを見据えて、本来は先発投手であるサバシアに救援登板を1試合経験させており[20]、今シリーズではヨルダン・アルバレスなど左の強打者に対する救援起用が想定される[21]。ヒックスは右肘の屈筋を痛め、8月3日を最後に2か月以上欠場していた[20]。アストロズが投手陣12人全員を右投げで揃えたのに対し、ヤンキースの野手陣には左打者がディディ・グレゴリウスとブレット・ガードナーのふたりしかおらず[22]、スイッチヒッターのヒックスは貴重な存在となる[23]。ボイトとウェイドは、いずれも地区シリーズでは出場機会を得られなかった。
アストロズもまた、地区シリーズのロースターから投手をひとり増やすかたちで2選手を入れ替えた。外れたのは投手のウェイド・マイリーと野手のマイルズ・ストローであり、加わったのはともに投手のブライアン・アブレイユとブラッド・ピーコックである。地区シリーズでは、マイリーは第3戦で4点ビハインドの4回裏二死一・二塁から登板し2.2イニング3失点、ストローは出番なしに終わった。左投手のマイリーは相手打線に右打者が多いことから、ストローは守備・走塁のいい外野手という特徴がジェイク・マリスニックと重なることから、それぞれロースター漏れとなった[24]。アブレイユはヤンキースとの対戦経験がないことと、球に力があり三振を多く奪えることが評価されてロースター入りした[22]。ピーコックは肩の故障からの復帰で、相手右打者のOPSをこの年.553に抑えていることとイニングまたぎもできることが強みとなる[24]。
2019年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月12日に開幕し、途中に移動日と雨天中止を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 | |
---|---|---|---|---|---|---|
10月12日(土) | 第1戦 | ニューヨーク・ヤンキース | 7-0 | ヒューストン・アストロズ | ミニッツメイド・パーク | |
10月13日(日) | 第2戦 | ニューヨーク・ヤンキース | 2-3x | ヒューストン・アストロズ | ||
10月14日(月) | ||||||
10月15日(火) | 第3戦 | ヒューストン・アストロズ | 4-1 | ニューヨーク・ヤンキース | ヤンキー・スタジアム | |
10月16日(水) | 雨天順延 | |||||
10月17日(木) | 第4戦 | ヒューストン・アストロズ | 8-3 | ニューヨーク・ヤンキース | ||
10月18日(金) | 第5戦 | ヒューストン・アストロズ | 1-4 | ニューヨーク・ヤンキース | ||
10月19日(土) | 第6戦 | ニューヨーク・ヤンキース | 4-6x | ヒューストン・アストロズ | ミニッツメイド・パーク | |
優勝:ヒューストン・アストロズ(4勝2敗 / 2年ぶり3度目) |
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.