コマーシャルメッセージ
メディアを通じての商業用の情報全般および、その情報自体 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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トップの事実と統計を挙げていただけますか CM?
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「コマーシャル」と「CM」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「コマーシャル (曖昧さ回避)」、「CM (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
コマーシャルメッセージ(英: Commercial Message)とは、メディアを通じての商業用の情報全般および、その情報自体。この項目では特に放送における広告について記述する。
もとはマスメディアに限った語ではなかったが、ラジオ・テレビ放送のうち、放送番組の前後や番組の途中に本編を中断して流される広告放送のことを、やがてはテレビ・映画・インターネットなどの動画広告全般を指すことが一般的になった。
日本語ではコマーシャル[1]、CM[1]、CF(commercial filmの略)[2]とも略される。その他、お知らせという言葉が(特にラジオ番組で)使用されることもある。
英語圏ではCMを含む広告全般自体(看板・ダイレクトメール・出版・放送・インターネットなど)を総じてアドヴァタイジング (advertising)、略してアド (ad) と呼ぶのが一般的であり[注釈 1]、辞書によっては「commercial message」は和製英語であると指摘している[3]。
テレビで流される広告は、英語では主にテレビジョン・アドヴァタイズメント (television advertisement) といい、特にアメリカ英語ではテレビジョン・コマーシャル (television commercial)、略する場合はコマーシャル (commercial)。イギリス英語の略称ではアドヴァート (advert) ともいう。
CMは、一般的には民間放送局が広告料収入を得るための手段となっている。
内容と手法
制作者は、CMが聴取者・視聴者の印象に残るべく、音楽、ドラマ仕立てのシナリオ、ナレーション、突飛なキャッチフレーズなどを用いて、さまざまな工夫をこらす。インターネットの普及以降、ナレーションの最後に「○○(商品名や企業名など)で検索!」とインターネット検索をうながす一言を加えるものも出てきている。各手法は後述。
あらゆる創造性や芸能が不可欠となったCMの制作現場は、作詞家・作曲家、歌手、コピーライター、映像監督、俳優、放送タレントなど、あらゆるクリエイターの登竜門となった。
CMはスポンサー自身が制作する場合、放送局やその系列のプロダクションが制作する場合、専門のプロダクションが制作する場合がある。それらを広告代理店が仲介する。制作に関わる体制や技術は後述。
3B
広告宣伝業界では、限られた秒数内で企業や商品のイメージ、購買意欲などをそそる効果をはかるため、CMにおいてBeauty(=美女)、Beast(=動物)、Baby(=乳幼児)の「3B」と呼ばれるモチーフを用いることが伝統的な手法として定着している。これら「3B」は、人間の心理上、漠然と物を見ているときにも目に留まりやすい事物であり、CM以外にも広告宣伝全般で応用されている。
CMの種類
CMには様々な分類法がある。以下の事例は日本を例に取る。
海外のCM事例
多くの欧米諸国では視聴料金を支払ってテレビを見ることが一般的である[7]ため、テレビCMを流さない放送局もある。多くの欧米諸国とは異なりイギリスでは有料放送を主体とする衛星放送やケーブルテレビに対して無料の地上波放送の存在感が大きいことが特徴となっている[7]。イギリスには主要なテレビ局として英国放送協会(BBC)やITV、Channel4、Channel5などのテレビ局がある[7]。
このうち英国放送協会(BBC)は免許料(NHKの受信料に相当)収入を軸とする公共放送である[7]。また、Channel4は公共放送局であるがCM収入で運営されている[7]。アメリカの公共テレビ局PBSなど、地上波民間放送局であってもテレビCMを流さないもの、ケーブルテレビの一部のコミュニティチャンネルなど、広告収入も契約料収入もないものなどがある。
海外は、国営放送局などの公共放送局であってもテレビCMを流し、広告収入を得ている場合がある。
世界的に見て5 - 30秒の短いテレビCMが主流なのは、日本と一部の周辺国のみである。
アメリカやヨーロッパのCM1本あたりの時間は分単位が多い。ヨーロッパ各国の深夜番組でのアダルト電話音声の広告は5秒広告も決して少なくない。
日本は、1つのテレビCMが終わると、すぐ次のテレビCMが流れることがほとんどだが、欧米はテレビCMとテレビCMの間、テレビCMと番組の間に黒バックのフェード効果が挿入されている場合が多い。
アジアでも大韓民国は日本と同様、CM同士の間にフェード効果は挿入されていないが、番組とCMの間にクロスフェードあるいは黒バックのフェード効果が挿入されることが多い。タイのテレビは、かつてはCMから次のCMに切り替わる際、フェード効果を挟まずに0.5秒程度黒バック画面が挿入されていたが、2015年時点でさらに短く0.1秒程度の黒バック画面が、挿入されたり挿入されなかったりすることもある。
海外のCM規制
欧米では子供向け番組のテレビコマーシャルの規制が厳しく、同一番組中に同一CMを2度流すことやコマーシャルの本数に関する規制がある[8]。
フランスなど一部の国は、CM枠開始時と終了時にアイキャッチが入る。フランスは、法律で番組本編とCMの間にCMの告知を挟むことを義務づけている。香港、台湾などの中華圏の国でもフランス同様CM枠開始時、終了時にアイキャッチが挿入される。
韓国は番組本編中のテレビCMは、同国の放送法施行令により禁止されている。スポンサー名を出すのは構わないが、スポーツ中継を除き、会社ロゴも、宣伝となりうる看板や商品にあるロゴすらも、取り決めで規制しているので、放送中の広告に関わった企業に関しては、本編終了後に企業名をロゴタイプで表記する必要がある。
テレビCMは番組の本編開始前と本編終了後にまとめて放送する。その代わり、30分以上の一部の番組で一定の時間になると画面右下に現在放送中の番組のタイトルロゴが数秒表示される。かつては全ての番組において一定の時間になると画面下に表示されていた。
朝のニュース情報番組や選挙開票特番や映画など、番組が2時間を超える場合は、番組を第1部、第2部に区切って別番組扱いとし、30分 - 1時間ごとにCMを放送している。2018年から2020年までに製作された企業CMの放送自体が無いKBS第1TVを除いた韓国ドラマの新作は、1話2部構成を採っており、1部あたり35分での編成となっていた。テレビショッピングはそれ自体が宣伝なので例外である。
中国は、かつてはCM前後にアイキャッチが挿入されていたが2012年から韓国同様に本編中にテレビCMを流すことを禁止にした。番組のタイトルロゴは画面右下に常時表示される。ただし韓国とは違い、2時間を超える番組で第1部、第2部と区切って別番組扱いすることはなく、開始から終了までストレートに放送する。
アメリカ合衆国にはテレビCMの音量を規制する法律として商業広告音量軽減法(英語: Commercial Advertisement Loudness Mitigation Act;CALM法)がある[9]。この法律ではテレビCMの音量がそのCMが放送される番組の平均音量を超えないことを義務化している[10][11]。
日本のCM法制
CMは放送法において「広告放送」の語で呼ばれる。放送法83条・90条において、日本放送協会(NHK)および放送大学は通常の意味でのCMを放映することを禁止されている。
ただし、83条の2・90条の2において「他人の営業に関する広告のためにするものでないと認められる場合において、著作者又は営業者の氏名又は名称等を放送することを妨げるものではない」との規定もあり、NHKでもトーク番組でゲストのタレントが過去に出演したCMを紹介する形で放映したことがあったほか、一部の公共広告や社会的なキャンペーンの告知が放映されることは禁じられていない[注釈 2]。NHKではこの他にも、NHK出版のテキストやNHKが主催する美術展やコンサートの告知、受信料支払いの啓発、NHKオンデマンド・NHKプラスの紹介、番宣などが行われている。
日本におけるCMの契約体制
地上波放送局、地上民放系BSデジタル局、ラジオ放送局を含む日本の民間放送局は、CMを放送することを通じ、広告主(スポンサー)から広告料および番組の製作費を「提供」されることで利益を得ている。広告収入は、番組の制作・購入費の主要な財源でもある。インターネット普及以降、インターネットで番組コンテンツを配信(インターネットラジオ・インターネットテレビ)する事業者も、番組内でCMを流していることがある。
視聴に際して視聴者が料金を支払う必要があるケーブル放送や、衛星放送(スカパー!、WOWOWなど)の一部では、契約料収入で費用をまかなうため、テレビCMを放映しない場合もある[注釈 3]。
日本におけるCMの放送方法
CMは、いくつかを連続させた「CM枠」単位で放送される。
通常、タイムCMは、番組の放送枠内において、番組本編を中断して放送することが慣例となっている。これは番組を放送するための必要経費をスポンサーを通じて回収するという商業取引上の目的があるためである。
CMを挟まずに番組本編が放送されることは、とりわけ地上波の民間放送では極めてまれで、番組の制作経緯によってスポンサーの理解が得られた場合(下記#CMが放送されなかった番組参照)や、重大な災害などが発生して長時間の報道特別番組が組まれた場合(下記#CMが放送されなかった日参照)などに限られる[注釈 4]。
日本民間放送連盟(民放連)では、放送基準148条において、週ごとの総放送時間中におけるテレビCMの放送量の基準を、比率にして「18%以内」に設定している[4]。この総量規制は「限度」として1975年10月1日の改正によって設けられた[12]が、2016年の放送基準改正で「限度」の表現は「標準」に改められている[13]。
テレビCMにおいて、ニュース速報などの字幕スーパーや、放送局名を示すウォーターマーク[注釈 5]をCM中に表示することは基本的にない。ただし、朝の時間帯や00分のカウキャッチャーCMにおいて、時刻表示のスーパーが表示される場合がある。
テレビ放送において、災害時の関連情報(台風・土砂災害・地震など)に用いられるL字型画面や常時表示のスーパーを表示している時は、CM中は挿入を一旦停止する。ただし、警報レベルの災害情報のうち、
- 「緊急地震速報が出された場合」
- 「東海大地震の警戒宣言が発表された場合」
- 「おおむね震度5弱以上の地震が起きた場合」
- 「地震に伴う津波警報、大津波警報が発表された場合」
- 「その他、緊急を要する場合」
に該当する場合はCM中でもその情報を入れることがある。この運用態勢はあくまで各放送局の基準にのっとったものであり、地域や各放送局によって運用に差がある。
日本におけるCMの販売単位
CM1本あたりの放送時間の変遷について述べる。日本で民間放送が開始された当初は生コマーシャルが主流であり、その特性上記録が残っていないものの、すべて1分から2分の長尺であったと考えられている[14]。後述の黎明期の録音・録画CMは60秒ないし30秒で制作されており、やがてこの60秒枠・30秒枠(ラジオでは20秒枠も)がスポットCMの販売単位として定着する。
30秒が基本であった販売単位がはじめて15秒に切り詰められたのは1961年秋[15]であった。さらに翌年の1962年、テレビにおいて、無音のテロップカード1枚送出に限られていた5秒CMで、音声・動画を伴わせることが認められ、限られた時間の中で突飛なキーワードを発するなどの、これまでになかった型のCMが次々制作され、流行語の源泉となった(後述)。
しかし過激化が進んで視聴者が離れることで広告効果が薄れ、制作側の消耗も激しく、「低俗化」との批判も受け、1965年10月にTBSテレビがAタイム(19時から21時)での5秒枠の販売を停止した[15]のをきっかけに、5秒CMの制作数は急激に減少した。このような経緯を経て、15秒枠が日本のCM時間のスタンダードとなり[15]、長尺として30秒・60秒が用いられるにいたった。
民放連では、放送基準151条においてテレビのスポットCMの標準時間目安を5秒・10秒・15秒・20秒・30秒・60秒と定めている[4]。ラジオのCMについては、民放連放送基準は標準時間の申し合わせ項目を設けていないが、5秒・20秒・40秒・60秒のいずれかであることがほとんどで、そのうち20秒[16]のものが非常に多い。
テレビCMの場合、スポットCMでは15秒単位、タイムCMでは30秒単位での販売となっている(例外もある)。通常、ネットワークセールスのテレビ番組内において、タイムCMのみ、スポットCMのみをそれぞれ流すように枠を分けるようにしているが、TBS製作の一部全国ネットバラエティ番組のように、CM枠の前半にタイムCM、後半にスポットCMを配置している例もある。
60秒で製作したCMは、全国ネット番組のタイムCMでよくみられる。1970年代までは関西ローカルCMのパルナス製菓など、60秒のスポットCMも存在した。
1960年代前半に多数制作された5秒CMは、それ以降も地方局で細々と見られていたが、2011年以降からやはり地方局で本数が増えるようになり、スポットCMにおける15秒単位での契約枠で3本に分散させて放送している。百貨店・ショッピングセンター・スーパーマーケットなどの大型量販店(デパートメントストア)における割引セールやポイントアップキャンペーンの広告活動が殆どである。5秒CMの方が製作費を削減できることから、それらの一環で中小店舗を中心とした一般企業のCMもそれなりにある。これら全てが製作地域のローカルCMとして製作されており、5秒CMが民放3局以下の地域などを中心に禁止されている事への配慮により、全国放送の5秒CMは存在していない。
日本におけるスポンサーの傾向
テレビCMは、市場シェアの大きな全国規模の大手消費者向け製造業(食品、医薬品、自動車、化粧品、家電製品、時計、衣料品など)、大手小売業(大手スーパーマーケット、大型家電量販店チェーンなど)の物が多い。ローカル局は、より地元の企業のコマーシャルも流れる。ラジオCMは、テレビの業種に加え、より狭い地域に展開する小売店、食品メーカー、大学など、知名度の低い企業の物もある。
商品や企業の宣伝広告ではなく、開催予定のイベントの実施あるいは中止などの情報を伝えるCMもある。
災害に際し、民間事業者が商品でなく、被災者に役立つ情報を緊急に流す例が見られる。東日本大震災に際し、電機メーカー各社が電力不足を受けて節電方法を紹介する内容の、トヨタ自動車など自動車メーカー各社が災害発生時の安全運転や省燃費のための運転方法を紹介する内容の、移動通信各社が災害伝言ダイヤルの利用法を伝える内容の、社告形式のCMをそれぞれ放映した。住宅メーカー各社や、生命保険・損害保険各社は、被災者へのお見舞いと顧客対応窓口のフリーダイヤルを案内するCMを放映した。
企業CMのほか、政府・官庁による政府広報、地方自治体のPR、ACジャパンなどの公共広告団体によるキャンペーンCMもある。
衆議院・参議院の選挙開催期間中に政党・政治団体のCMがスポットで頻繁に放送されるが、比例代表選出選挙の政見放送はNHKでしか行われないことが多い(地域によっては30分程度放送される民放テレビ局もある)ため、事実上その代わりとして行われていると見なせる。
CM枠において、放送局自身による番組プログラムのPR(番組宣伝。「番宣」と略)がある。広義的にはコマーシャルの一種だが、商取引が発生していないため、実態としてはフィラーである。
日本のCMの歴史
戦前
日本は、ラジオ放送の開始に際し、逓信省の省議決定「放送用私設無線電話ニ関スル議案」によって、あらかじめ広告放送を禁止された[17]ほか、1920年代の黎明期から1951年まで、民間企業でなく、公共事業体であるNHKによる運営のみ認可され、そのNHKが聴取料収入によって運営されていた事情もあり、ラジオCMが試みられたことはなかった。
このため、広告放送は本土以外で試みられた。第二次世界大戦終結まで日本の統治下にあり、別組織の台湾放送協会がラジオ放送を独占していた台湾では、1932年6月14日または15日[18]から数か月間、演芸番組の制作費を調達するため、試験的に「間接広告放送」を実施したことがある[19]。これは放送本編と別にCMを製作せず、番組冒頭および終了時にスポンサー名をアナウンスするという形であったと考えられている[18]。スポンサー第一号は丸美屋食料品研究所または味の素本舗だったとされている[18]。実施後まもなく、広告メディアとしての競合を危惧した日本新聞協会[20]が6月27日に広告放送反対を決議[18]した上で、当時の拓務大臣を通じて広告放送の中止を台湾総督府へ訴えた[19]ことで、台湾放送協会では7月19日[18]に新規広告契約の停止と年内での広告放送中止が決定されて、「間接広告放送」の放送は12月2日[18]が最後となった。
また、日本の政財界の影響下にあった満州国の満洲電信電話でも、1936年11月1日から約3年半にわたって、日本語および満語での広告放送が実施された[18]。このときは台湾で実施された「間接広告」に加え、「直接広告」と呼ばれる、アナウンサーが広告コピーを読み上げる生コマーシャルの形式でも行われた[18]。この「直接広告」は、番組本編を中断する形でなく、広告をまとめて放送するための専用の番組枠を設けての実施だった[18]。1940年4月、日中戦争の激化にともなう経済統制のため、広告で扱う品目が大幅に制限され、やがて放送の自粛にいたった[18]。この満洲電信電話で放送広告にたずさわった人材の多くが戦後の引き揚げ後、新興の民間放送局や広告代理店に移り、CMの契約および制作に関するノウハウを伝えたと考えられている[18]。
戦後昭和
戦後、民間放送が解禁された。民間放送の開始日、1951年9月1日には、スポンサー・広告に関わるさまざまな日本(本土)初が続いた。上記にかんがみ、広告主の名称を読み上げるアナウンスを広義のCMに含んだ場合、最初にアナウンスされたスポンサーは中部日本放送が開局アナウンス25分後の6時55分から放送した「服飾講座」における、毛織物店「五金洋品」[21]である。音声記録は残っていない(CBCは、五金洋品は「提供のみで、コマーシャルは流さなかった」としている[22])が、当然、提供スポンサーを示すアナウンスを行ったはずであり、民間放送における公表スポンサー第一号ではある。CBCラジオは、同日の朝7時には精工舎によるスポンサー付き時報の第一号放送も行っている。時計のリズミカルな音による予報音に続き通知音とともに「精工舎の時計が、ただ今、7時をお知らせしました」と報ずるものである[23](CBCでは、この時報を「コマーシャル第1号[22]」としている)。同日正午には、開局アナウンスを行ったばかりの新日本放送でも精工舎の時報が放送された[23]。
最初に放送されたスポットCMは、同日の12時15分過ぎに新日本放送(CBC同様、開局日である)で60秒間放送された「スモカ歯磨」のラジオCMとされる[21]。このCMは、ほかのCMが単なる広告コピーの読み上げであったのに比べ、ドラマ仕立ての演出がされていて耳を引いたとされ[24]、まとまった作品としてのCMと認められることから第一号とみなされている。
日本最初の(放送における)コマーシャルソングは、同年9月7日にCBCラジオで初放送された小西六のCMにおける『ボクはアマチュア・カメラマン』である[24](異説もある。コマーシャルソング#歴史を参照)。
日本最初のテレビCMは日本テレビの開局日・1953年8月28日正午直前に放映された、精工舎の時報CMである[25][26][27]。これはあらかじめフィルムに録画したアニメーションと実写の組み合わせによるCMであったが、スタッフが放送機材の操作に慣れていなかったため、フィルムを裏返しにした状態で放送してしまった。このため時計の画像は左右逆、かつフィルムの場合、映像の左側に音を再生するためのサウンドトラックがあり、フィルムが逆向きになると音が再生されなかったので、音なしの状態で放送された(時報音はフィルムと関係なく挿入されたため正確に出た)[28]。3秒ほどで放送中止となった[26]という定説が長く信じられたが、当時の関係者の証言によりそのまま30秒間放送されたことが明らかになった[28]。同日19時の時報は無事に放映された。この19時の時報CMは現存する日本最古のテレビCM映像であり、インターネットで公開されている[29][30]。
精工舎の1950~60年代のCMはフィルム原版は廃棄されたが、テックとセイコーが共同で1987年に制作した「服部セイコーCM集」という10枚組のレーザーディスクにかなりのCMが収録されている[30]。
テレビ普及期に至る間に、広告主の専属出演者を用いたCMが主流になった時期(生コマーシャル#テレビ生CMの沿革参照)を経て、1970年代の始め頃には、俳優・歌手などの別に本業を持つ芸能人によるCM出演歴が、人気の度合いを測る指標になるという認識が業界内外でなされるようになり、『週刊現代』1972年2月3日号の記事[31]では「CM出演が、タレントのもっとも有利な副業であることは、いまや常識」と書かれるに至った。やがて、ニホンモニターの「タレントCM起用社数ランキング」、ビデオリサーチの「タレント別テレビCM出稿量上位10人[32]」といった、調査会社による人物単位のCM露出量に関するデータが一般公表されるようになった。
なお、新技術が採用された記念碑的CMについては下記の「#日本のCM技術」節で述べる。
平成以降
テレビ広告費は1990年代半ばで成長を止め、リモコンや録画機器の普及によるCM回避手段の増加、インターネット広告の台頭、リーマンショックなどと相まって、下落の時代に突入した。テレビ局側はCMを見させるため様々な工夫をしたが、逆に反感が集まり、CMを出稿したスポンサー自体への反感にまで至ってしまうなど難しいものとなっている[33]。
日本のCM技術
形式
映像や音声の形式は放送波における規格に準じる。ステレオ放送が可能な放送では当然ステレオ音声によるCMが多くなっており、2000年代から5.1サラウンドステレオ音声収録のCMもわずかだが登場した。原則モノラル放送であるAMラジオ局においては、全局ステレオ放送を実施しているradikoやFM補完中継局の導入後、ステレオで制作されたCMを放送している。
テレビ放送が開始された当初は生コマーシャル、静止画、そしてフィルムが主流であり、やがてそれに加えてVTRが導入された(後述)。
アナログ放送から地上デジタル放送への過渡期である2000年代後半頃から、アスペクト比16:9のハイビジョンによる制作が多くなった。予算などの都合からハイビジョン画質の実現以降もそのまま4:3の標準画質の映像を継続して放送するため、地上デジタルテレビ放送の画面比に合わせて左右に黒帯(サイドパネル)をつける場合がある。上下左右に黒帯が入る額縁放送となる場合もある。
日本で最初にカラーで放映されたテレビCMは、1962年の「トヨタ・トヨペットコロナ」が砂塵を上げながらドラム缶を蹴散らして走行する「スタント・ドライブシリーズ」である[34]。カラー放送を意識して、赤・青・黄色のドラム缶が登場する。
日本で最初にステレオ音声で放映されたテレビCMは、1978年11月の「住友スリーエム・スコッチ・メタルカセットテープ『METAFINE』」 で、開始からおよそ1秒間画面下中央に“(放映局のステレオ放送のロゴ)ステレオCM”と表示された。関東は当時日本テレビとTBSが音声多重放送を開始していた。
日本で最初に二ヶ国語で放映されたテレビCMは、1979年のNECの音声多重放送対応テレビ「語学友」である。このテレビは二ヶ国語放送受信に重点を置いてスピーカーを一つしか持たないモノラルテレビのスタイルで音声多重放送が受信できるというものだった。植木等をキャラクターに起用。主音声の日本語で「これで日本も安心だ!」などという節をつけたりしていたが、副音声の英語は純粋に男声での商品説明であり、完全な対訳でなかった。このCMは前述のステレオCMの時と違い特に二ヶ国語放送の旨は表示されなかった。しかし当時は音声多重放送を利用したCMはほとんどなかったので、このCMが組み込まれているゾーンは最初から二重音声放送に切り替わっていた(TBSの『兼高かおる世界の旅』は全篇二ヶ国語放送を実施し、スポンサークレジットも二ヶ国語だった)。
日本で2012年現在、3D立体映像で放送されたテレビCMは1988年に放送されたキリンのソフトドリンク「メッツ」が唯一である。全編CGで作られ、赤と青のセロハンメガネで見ると立体として浮き上がる手法が取られており、放送期間中に専用メガネのプレゼントもあった。放送された番組は『ザ・ベストテン』(TBS) などの人気番組内であり、それ以外の時間帯は同一映像で3D用でないCMが放送されていた。
2010年以降は、本編中のCMで「字幕放送」を行うことがある(花王、ライオン、パナソニック など)。その場合はCM中、画面右上[注釈 6]に「字幕」と表示される[35]。
放送局におけるCMの編集と送出
放送局において、CM送出に際し、CM枠に合わせて、複数のCM素材をまとめるという作業が不可欠だった。素材が磁気テープないしフィルムだった時代は、当然手作業であった。
とりわけテレビCMは、初期から1990年代初頭まで、大半、やがて一部が35ミリメートルまたは16ミリメートルの映画フィルムを用いて撮影されていた[36]。放送局は納品された素材をつなげ、枠分の素材を完成させ、テレビの映像信号(NTSC)に合わせてテレシネして送出していた。
1970年代後半は技術的にVTRとの過渡期であり、ビデオ編集機材・CM送出設備の進歩や充実に合わせ、フィルム撮影した素材をテレシネしたうえでVTRに録画し、それを放送局へ納品する流れになった。代理店やプロダクションによっては、在京キー局の分をテープ納品に切り替え、関東エリア内の独立UHF局や大阪・名古屋の準キー局を含むその他の地方局へは従来通りのフィルム納品を続けるという方式を取っていた。このような過渡期においても、環境によっては依然フィルム編集のほうが容易であったので、VTRで撮影された素材でもキネコによる複写を長く行っていた(35ミリ素材の16ミリへの縮小変換にも用いられた)。このため同じCMでも放送局や時間枠によっては、画質・音質が大きく異なる場合があった。フィルム納品は1990年代に終了し、すべてテープ納品に切り替わった。
その後CMバンクシステムと呼ばれるシステムが実用化され、現在はほとんどのテレビCMがCMバンクから送出されている。
日本のCM規制
民放連放送基準は、放送基準13章から17章にかけ、CMの内容、表現方法、入稿自体の取り扱い、事業者の責任について細かい規制を設けている[4]。
その基準をもとに、各放送局のCM担当部署が内容に関する「考査基準」を定めている(例→[37][38])。
なお、インターネットCMについては、以下の規制の限りではない。
CMを行えない業種
以下のスポンサーについては原則として扱わないことを取り決めている。
- スポンサーの名が伏せられているもの(民放連放送基準96条)
- 契約した以外のスポンサーの宣伝になっているもの(民放連放送基準99条)
- 迷信を肯定したり科学を否定したりする商品やサービス(民放連放送基準108条)
- 人権を侵害する目的で個人情報を調査・収集・利用する意図を持った商品やサービス(民放連放送基準109条)
- 風紀上好ましくなく、家庭内の話題として不適当な商品やサービス(民放連放送基準110・111条)
- 個人的な売名(民放連放送基準115条)
- 報道事実を否定する目的を持ったもの(民放連放送基準125条)
かつて行われていたCM
- 1998年(平成10年)4月以降、タバコの銘柄(商品)についてのテレビCMは、民放連放送基準110条・111条・附則2の5などに基づき、取り扱いを禁止している(JTでは、それ以降は代わりに喫煙マナーの啓発CMを放映)。
CM内の注意表現など
この節に雑多な内容が羅列されています。 |
- CMは、健全な社会や生活習慣を否定する表現を用いてはいけない(民放連放送基準91条)。
- CMは、それがCMであることを何らかの方法で明らかにしなければならない(民放連放送基準92条)。
- ニュース映像など、テレビ番組のワンシーンを模して製作したCMは、必ず「これはCMです」や、「これは○○(スポンサー名)のCMです」との字幕が表示される。英文表記で「○○(スポンサー名)'s AD」などの場合もある。
- 全国ネットテレビ番組のタイムCMの枠内のみで放送されている対象番組の内容・演出をそのまま利用したCMの大半では、上記の注意書きもその演出方法に準じて制作される。『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系列)のタイムCM枠(同時ネット局のみ)では、本編出演者の弘中綾香が、本編中の演出同様の手書きフリップで対応している(一部の作品をのぞく)。
- 自由競争の侵害につながりかねない表現を用いてはいけない(民放連放送基準97条)。
- CMでは、事実を誇張して視聴者に過大評価させてはならない(民放連放送基準100条)。また、錯誤させてはならない(民放連放送基準122条)。
- 演出上、現実では有り得ない場面を表現する際は、「(これは)CMによる演出です」という注意喚起の文字が画面に表示される。
- CMで出てくる物品がいわゆる「吊るし」の状態の商品とは異なる場合、その旨の注意事項等が表示される。
- 演出上、宣伝対象の商品以外のものを用いる場面を表現する際は、「実際には○○が必要です」などのような注意喚起の文字が画面に表示される。
- 同様に、全グレード標準装備ではない機能や装備などが登場する場合、「オプション装着車」「グレード別装備」などのような注意喚起の文字が画面に表示される。
- CMに出てくる商品が実際に販売されるものと仕様が異なる場合、例えば「海外仕様車のため、実際とは異なる場合があります。」などのような免責事項が画面に表示される。[39]
- 上記のほか、聴取者・視聴者の安全に関わる表現に関して、注意喚起が行われる。
- CMでは、商品に関する虚偽の証言や、出所が明らかでない証言を用いてはならない(民放連放送基準102条)。
- 民放連放送基準では、附則「児童向けコマーシャルに関する留意事項」を設け、児童向け番組におけるタイムCM=「児童向けコマーシャル」についての規制を定めている。
- 「児童向け商品・サービスのコマーシャル」=児童が自分で買い求めることのできる玩具、菓子類、文房具などのCMにおいては、「持たなければ仲間はずれにされる」というような、劣等感・優越感を利用する表現は避けなければならない。
- 模倣するおそれのあるような危険行為を表現してはならない。
- 「マネをしないでください」の文字表示。
- 番組の主人公に対する信頼感を不当に利用してはならない。
- 1980年代の女児向けアニメ番組内で放映されたそれらの作品での玩具CMの中で、モデルの少女が玩具を使用して変身する演出があったが、「へんしんはできません」という注意表現が加えられていた。
個々の業種ごとの規制など
民放連放送基準では、上記のような全業種共通の表現規制ルールを設けているほか、特に「医療・医薬品・化粧品(第16章)」「金融・不動産(第17章)」のCMについては厳格な条文を設けている。
医療・医薬品・化粧品
- 医師・薬剤師・美容師などが医薬品・医薬部外品・医療機器・化粧品を推薦するCMは放送することができない(民放連放送基準134条)。
- 医薬品を懸賞品に用いてはいけない(民放連放送基準135条)。
- 医薬品等のCM表現に関する規制は薬機法および医薬品等適正広告基準に準じている(民放連放送基準132条)。このうち医薬品等適正広告基準「効能効果等のしばりの表現について」において、すべての医薬品広告は「使用上の注意」に関する表示を行うことが義務付けられている[42]。なお、2009年6月1日の改正薬事法施行以降、一般用医薬品のCMでの「使用上の注意」の表示が以下のように変更された。
- 上記のほか、医薬品業界が自主規制ガイドラインを策定し、以下のような表現規制を設けている[43]。
- 目薬のテレビCMには必ず目薬をさすシーンが挿入されている。これは目薬の正しいさし方を示し、視聴者が誤ったさし方によって感染症を起こすことを防ぐためで、これも医薬品会社が自主的に行っているものである。
- コンタクトレンズやその関連商品のCMにも、使用上の注意に関する文字が挿入されている。
金融・不動産
かつて金利自由化される以前、銀行など個々の金融機関のCMは、業界により「広告による競争原理は馴染まない」という理由で自主規制され、テレビ・ラジオでの広告が行われなかった。代わりにボーナス支給時等に全国銀行協会等業界団体としてテレビ・ラジオで広告をしていた。1985年(昭和60年)からの金利自由化で、個々の金融機関の間でのサービス格差が生じ、1990年6月1日よりラジオのスポット広告から解禁が始まった後、1991年元日より、テレビのスポット広告が解禁された。
当初は、放映時間数に制限を設けたり、番組提供扱い=提供クレジット表示を行わずパーティシペーション扱いとするなどの自主規制が行われていたが、1993年3月に番組提供扱いが可能となり、放映時間数の制限も廃止された[44]。
ただし銀行であっても無担保カードローン商品のCMである場合は、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社と同様の、放送時間等に関する厳しい規制がある(後述)。
時間帯や放送波によってCMを行えない業種
- 詳細は「消費者金融#テレビCM」を参照1983年の民放連放送基準改正以降、消費者金融のCMが解禁された[13]。消費者金融のCMでは、CMは最後に、音声とともに「ご利用・ご返済は計画的に」と表示される。これは日本民間放送連盟の「消費者金融CMの取り扱いに関する放送基準審議会見解」(2003年3月7日決定)「啓発文言を一定以上の文字の大きさと秒数(1.5秒程度)で表示する」による。消費者金融のテレビCMを認める先進国は珍しく、クレサラ問題に見る自己破産の急増から、テレビCMを規制する動きがある。2003年10月から、17時 - 21時、2006年4月から加えて、7時 - 9時、21時 - 22時は、テレビCM放送を禁止しているほか、22時 - 24時の間についても各社のCMを月間100本に制限している。一時期はクレジットの中に「ストップ!借りすぎ」というアナウンスを入れていた。2006年6月から9月にかけては、「借りすぎ防止キャンペーン」として、金融会社の宣伝ではなく啓発を目的とした「ストップ!借りすぎ」というCMが、消費者金融連絡会=各社共同名義として放送されていた。また、CMの内容においても現在は「計画的な利用」を意識させる演出でなければ放送できないよう同様に規制されていることから、1990年代によく見られた自動契約機や武富士ダンサーズなどのCMは見られなくなっている。
- 結婚相談所のCMは、民放連放送基準の旧109条に基づき、2014年11月改正まで興信所などとともに禁止されていた[13]。宣伝機会を求める事業者だけでなく、少子化対策を掲げている政府からもCM解禁を求める要請があり[45]、具体的な業種名を条文から削除。この月から、業界ガイドラインに基づく認証を取得した結婚情報サービス事業者のCMに限り取り扱いを解禁。2023年9月にはマッチングアプリのCMも解禁された[46]。これ以前に、2003年(平成15年)8月にフジテレビがオーエムエムジー(オーネットの前身)のコマーシャルを放送し批判を浴びたことがあるほか、民放連に加盟していないコミュニティFMで結婚相談所がスポンサーとなっている事例が存在した。
- パチンコ、パチスロ機種および施設のCMは、2009年4月より、5時から9時までと17時から21時までのCM自粛時間を設けている。規制時間帯はパチンコメーカーやホールの企業イメージCMが放送されていたが、2011年4月頃から東日本大震災(福島第一原子力発電所事故含む)による影響により、業界団体の日本遊技機工業組合(日工組)が毎年更新の取り決めとして終日パチンコ、パチスロマシン本体のCM放映を自粛(禁止ではなく自主規制)し、代わりにメーカーやホールのイメージCMが放送されていた[47]。その後、震災発生から10年が経った2021年4月からCM自粛時間を除いてパチンコ、パチスロマシン本体のCM放映を解禁した。
その他の業種
- 人の死に関連する葬儀業については、民放連放送基準112条で「取り扱いに注意する」と定められている。
- 大手ビールメーカー各社が加盟しているビール酒造組合は、未成年者の飲酒防止の取り組みを強化するため、ノンアルコール飲料を除く酒類のテレビ広告放映の自粛時間を2010年秋より拡大した。同組合の「自主基準」で、これまで平日5時から18時および、土日祝(振替休日、1月2日・3日の両日を含む)5時から12時を自粛時間としていたが、2010年秋より「自主基準」の「テレビ広告を行わない時間帯」についての文言が、「年間を通し、5時00分-18時00分まで、酒類のテレビ広告を自粛する」に変更された。
- この自粛時間拡大による変化の例として、毎年1月2日・3日の両日にサッポロビールが筆頭提供し、日本テレビ系列で放送されている「新春スポーツスペシャル箱根駅伝」で、第86回(2010年)まで午後の時間帯でのみ放映されていたサッポロビールの各種ビール類などの商品CMが、第87回(2011年)より同番組の生中継放送内で放映されなくなり、同社の企業イメージCMや箱根駅伝にちなんだオリジナルCM、ビールテイスト飲料、サッポロ プレミアム アルコールフリーなど一部のノンアルコール飲料の商品CMのみが放映された事例がある。
- 地方ローカルのJリーグ中継では、対象試合のマッチスポンサーが殆どの民放の中継番組のスポンサーも兼ねているため、酒造会社がマッチスポンサーのデーゲームを中継する時は、CMの放送が無いNHKでの放送となる場合が多い。
- 飲酒運転による交通事故の多発により、2006年10月から、酒類のCMの最後に、これまで使っていた未成年者飲酒禁止を呼びかける字幕とともに、「飲酒運転は法律で禁止されています」の文字が社名ロゴの下部などに表示された。
- 酒類以外のCMにおける飲酒運転禁止啓発の例として、2007年に放送された「エバラ焼肉のたれ・黄金の味」(エバラ食品)のCMに、最後に「飲酒運転はおやめください」という文字が挿入されていた。
- 酒類のCMには25歳未満のタレントは起用できない[49]。
日本のCMの手法
この節に雑多な内容が羅列されています。 |
番組本編中のCM
- テレビ放送開始当初から1970年代初頭まで、本編中に、特に一社提供を含む、筆頭協賛の大口スポンサーを中心に画面下部に字幕スーパーでCMを入れること(テロップCM)が日常的に行われていた。1975年10月1日より日本民間放送連盟加盟局間でテレビCMの総量規制が申し合わせられ、この方式を原則自粛した[12]。民放連放送基準150条に「スーパーインポーズは、番組中においてコマーシャルとして使用しない」と定められるに至っている[4]。
- ただし上記の条文には「スポーツ番組および特別行事番組におけるコマーシャルとしての使用は、各放送局の定めるところによる」との例外規定があり、以下の事例でのスーパーによるCMが行われている。
- 朝日放送テレビは毎年8月に開く全国高校野球選手権大会中継(地上波・関西ローカル)で試合中に挿入するスポンサーのCMを阪神甲子園球場のスタンド風景と絡ませて放送している。1961年のみ放送した湯浅電池(当時。のちのジーエス・ユアサコーポレーション)は試合中に商品や企業のロールテロップ、1962年 - 1994年までの住友グループは画面下にスポンサー企業の社名表示とアニメーション(1990年頃の2年間だけVTR素材による人形劇のパフォーマンス)、1995年以後の複数スポンサー提供扱いになってからも、一部スポンサーが大会専用のオリジナルCMを放映している。オリジナル版を制作していない企業の場合は通常バージョンのCMを画面右下に露出する。
- プロ野球中継でもさまざまな番組内CMが試みられている。2002年頃フジテレビは画面の得点表示とともにコカ・コーラのロゴが挿入されるなどしている。1990年代に日本テレビが東京ドームでの試合の際ピッチャーなめのバッターボックスの画像で、後部の壁の企業表示を時間と共にCGで変更させる手法を試している。2007年、テレビ朝日及びその系列局が製作する野球中継で、リプレイの部分にトヨタ自動車などのロゴを表示させている。「○○(協賛スポンサー名)ラッキー7」と銘打って7回の表裏に協賛スポンサーのロゴが画面右上に表示される。ジャパネットたかたはかつて、MBSテレビの阪神タイガース戦中継(週末のデーゲーム)において、イニングの合間の数分間で生CMにてテレビショッピングを行ったこともあった[50][51]。さらに、BSテレ東で中継されるALWAYS Baseball『中日vs.巨人』(バンテリンドームナゴヤ)では、一部協賛企業の生コマーシャルを行う[注釈 7]。また、BS日テレでは、トップ中継において、冠スポンサーが付く場合は、イニング中継に入る前に該当スポンサーの生コマーシャルを行う[注釈 8]。
- Jリーグ草創期の日本テレビとテレビ東京の中継では、基本的に試合中はテレビCMを流さず、代わりに試合の中継映像とともに、スポンサー企業の名あるいは商品画像を表示していた(日テレはスコアや経過時間の表示部分、テレ東は画面下)。
- 2006年11月19日にテレビ朝日系で放送の東京国際女子マラソンで、土佐礼子選手と高橋尚子選手が1位争いをしていた25km付近のところで、画面下を使ってNTT DoCoMoのアニメーション(ドコモダケ)と社名表示によるCMが放送された。
- 2021年に開催された2020東京オリンピックの一部の中継内で、画面右側を使ってコカ・コーラの6秒CMが放送された。
- ただし上記の条文には「スポーツ番組および特別行事番組におけるコマーシャルとしての使用は、各放送局の定めるところによる」との例外規定があり、以下の事例でのスーパーによるCMが行われている。
- 番組本編中に、スポンサーの社名・ロゴマーク・商品名や商品の実物を撮影する例。
- 日本テレビ・「日本プロレス中継」で、試合の合間にスポンサーである三菱電機の「三菱掃除機風神」でリングを掃除するシーンがテレビで放映され、画面下方に「風神」のロゴタイプが現れて、実況担当のアナウンサーも実況の合間に「この放送は、皆様ご覧のテレビジョンを始め、数々の電化(家電)製品でおなじみの三菱電機が、全国の皆様にお送りしています」とアナウンスしていた。
- 1965年5月にフジテレビ系(発局:東海テレビ)で放映された『世界フライ級タイトルマッチ エデル・ジョフレ対ファイティング原田』の試合で、ラウンド間にニッカウヰスキーの当時のCMモデルだった沢本忠雄がその商品パネルとともに映し出された。
- このほかプロレス・ボクシングにおいては、リング下の周辺に掲げられた横断幕や、セコンドのトレーナーなどに番組協賛スポンサーの広告を取り付けていたことがあった。(例として全日本プロレスの井関農機、ニッカウィスキー、新日本プロレスに於ける小松製作所・小松フォークリフトグループ、三協アルミニウム。またフジテレビジョン「火曜ワイドスペシャル」や日本テレビ放送網「木曜スペシャル」の協賛スポンサー各社のリング・トレーナー広告もあった)。
- ロート製薬一社提供番組の『アップダウンクイズ』・『クイズダービー』・『底抜け脱線ゲーム』など、クイズ番組のセットやフリップ中に企業や商品名のロゴマークを印刷・塗装する例。
- 1989年のNNN(日本テレビ系のニュースネットワーク)の参議院選挙の開票速報のうち、日立グループ提供の20時からおよそ2時間の枠では、各党派の獲得議席数をデジタル数字で表示させるスタジオ内の装置に「HITACHI」のロゴを取り付け(これ以外の時間帯は取り外し)、「この時間は日立の協力により、開票速報をノーCMでお送りしています」とアナウンスし、代わりにCMを流さなかった。同時間内で系列局飛び降り部分でもCMは流れず、PT等も存在しなかった、完全なCMなし時間帯となった。
- 2022年11月12日放送の「ポプテピピック」第2期第7話では、新潟県のみで展開する楽器店「あぽろん」のCMを紙芝居形式で放送した。
- 番組の主題歌に、スポンサーの名を入れ込む例があった。
ラジオCM
ラジオは音声だけのため、通常はテレビCMとは別にラジオCM向けのものが製作される。ラジオCMではテレビCMとは異なり20秒・40秒・60秒と20秒単位のものがほとんどで、特にスポットCMでは20秒が基本である。ただ、先述の通り標準時間の申し合わせ項目はないため、数は多くないが5秒や、稀にキリンビバレッジ「JIVE」ショートバージョンやイトキン(5秒バージョンもあった)など僅か数秒で終わるものも過去には存在した。
ラジオCMの中には、稀にテレビCMと同一内容のものを音声だけ流すケースもある。川商ハウス(鹿児島県民の間で一番知られている方の標準CM)や太平建設工業、タケモトピアノなどは、最初の15秒間でテレビCMのものをそのまま音声で流したあと、更にそのあとの5秒間で問い合わせ先の電話番号か宣伝する企業の詳しい内容のナレーションを加えて、20秒CMに仕立て上げている。
著名タレントを起用したラジオCMの場合、冒頭でナレーターのタレントが自ら「○○(名前)です」などと自己紹介することが多い(最後に自己紹介するケースもある)。
特別編CM・単発CM
- CMの編成自体を利用し、懸賞つきクイズ企画として放映する例がある。
- 1992年にJR東日本が放映した山形新幹線[注釈 9]を紹介する小泉今日子出演のCMは、「答えは15秒後!」とアナウンスする出題編のCMのあと、JRとは関連のない他社CMを流し、正解編を放送する「サンドイッチ構造」だった[52]。同社提供の全国ネット番組では、出題編のアナウンスは「答えは30秒後!」とした上で、同社の別の30秒CMが流れ、その後の15秒枠で正解編を流して終わる、という合計60秒枠のCMとして放映された。
- 日立 世界・ふしぎ発見!内で、同番組のようなクイズ形式を使用したCMを使用していた。前半のCMで出題が、後半のCMで解答がそれぞれ流れる構成。佐藤浩市出演。
- テレビ朝日で放送された「テスト・ザ・ネイション」は、あらかじめ「これから流れるCMが問題になります」と解説し、流れるCM自体を問題として出題した。
- 2006年からシャープが「世界一短いクイズショー・シャープに答えて」と題してクイズ番組形式の一分間のCMを放映していた。“鋭い”という意味のシャープと自社名を掛けた洒落。
- 2010年12月9日に放送されたソフトバンクモバイルのCMは、間違い探しを取り入れた視聴者参加型CMだった。まず18時59分から1分間出題映像を流し、続いて20時59分から1分間正解映像を流した。その後、インターネット上で回答を募集した。
- 2018年6月20日深夜放送の『名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~』は、番組冒頭でCMが入ることを提示し、CM中もドラマのストーリーが続き、CM商品が物語の重要な鍵となる、本編とCMを融合させた「アドフュージョン」という手法が試みられた[53]。
- 1990年代の全国高等学校ラグビーフットボール大会の生放送で、試合が行われている最中に、松下電器産業(のちのパナソニック)の家庭用デジタルビデオカメラで撮影した映像を編集、試合終了直後に放送するという、「撮って出しCM」が作られた。
- 2009年からテレビ朝日およびテレビ朝日系列局は、アーティストのプロモーション映像と合体した、「プロマーシャル」と呼ばれる形式の企業CMを放送している。
- 特定の番組枠内でしか放送しない、その番組のセットや演出を利用したCMを放送している局もみられる[注釈 10]。
- 2009年8月1日にソフトバンクモバイルが、SMAPを起用した60秒CMを、18時59分に全国124局で一斉に放送した。2016年12月26日放送の「SMAP×SMAP FINAL(フジテレビ)」では、かつてCMキャラクターを務めていたSMAPに対しての感謝を述べた特別CMを放送した。内容は、SMAPの楽曲「オリジナルスマイル」をBGMに、かつて5人が出演した同社のCM映像やオフショットをつなぎ合わせて60秒に編集したVTRに「あんなことやこんなこと いろいろしていただきました。本当に ありがとう。SoftBank→SMAP」とメッセージが添えられ、最後はお父さん(白戸次郎)(カイくん、声・北大路欣也)が映し出され「サヨナラじゃ、ないよな?」とコメントした[54]。SMAPは、この時点でソフトバンクとのCM契約期間は終了していたが、このCM1本の為だけに一枠限りで再契約。このため今後、今回のCMが再放送ならびに公式サイト等での公開はされることはないという[55]。
- 特別編のCMを事前告知して放送する手法は多数行われている。コカ・コーラが初公開の1分ものCMを全放送局同一時刻に同時に流した例[いつ?]や、東芝が当時発売する予定の携帯電話auW52TのCMを同時刻に全放送局に、シチズンが福山雅治出演・監督のCMを1日限定で流した例などがある。
- 2021年10月31日に、Googleがスマートフォン「Google Pixel 6」で、藤井風が出演するCMを民放放送局の5つのチャンネルで順に見ていくと、ストーリーが繋がるという形の特別CMを放映した。
- 新海誠監督作品の映画が放送される場合、自ら手掛けたZ会の短編アニメーション「クロスロード」に加え、特別なCMを放送するのが恒例となっている。
- 通常、CMは繰り返し放送することを想定して制作されるが、ごく稀に1度だけの限定放送として制作される単発CMがある。近年制作されている単発CMの特徴としてほぼ共通しているのが、その放送時間の長さである[注釈 11]。例えば、2003年5月4日深夜に映画『あずみ』の宣伝CMとして放送された単発CMの放送時間は約10分に及んだ[56]。これは日本のメディアにおける史上最長のCMである。
- CM総合研究所調べによる日本の地上波メディアにおける史上最長のCMは、2017年9月9日にフジテレビ系長時間番組『FNS27時間テレビ』内で放送された『ドラゴンクエストX』(スクウェア・エニックス)360秒(6分)CMとされている[57][58]。
「○○を検索」
テレビCMにおいて、ウェブサイトのURLを最後に表示するものに代わって、2006年ごろから、CM末尾に商品名などが書かれたインターネット検索エンジンを模した窓を表示して、検索用のキーワードを出すという手法が増えた[59]。
日本で最初の「続きはウェブで」CMは、電通広告統計の検索で確認できる範囲で2004年のネスレコンフェクショナリーのチョコレート菓子「エアロ」とされている[60]。
この手法は放送だけでなく、各種媒体に広がった。本方式はURLを覚えるより簡易であり、商品や内容などを詳しく知らせることができる反面、覚えやすさから一般的かつ無関係なキーワードを表示し、不適切な検索結果やサジェストが表示されるケースや、検索結果にフィッシングサイトが表示される可能性もあることから、産業技術総合研究所は特にフィッシングの対象となりやすい企業に対し、本方式による広告を控えることを呼びかけている[61]。
他国では、いち早くこの手法が行われていた韓国を除いて、ほとんど使われていないが、欧米ではハッシュタグを表示させる手法がある。
お詫びCM
大量のリコールなど、メーカーが製品に関する不祥事を起こした場合、通常はそのメーカーのCM自体が自粛され、公共広告などに差し替えられる。ただし、死亡事故が発生するなどの重大なケースは事故の発生を謝罪し、該当製品の使用中止と修理・取り替え・回収・廃棄(長期利用機種に限る)などを視聴者に要請するCMを流すことがあり、これがお詫びCMである。テレビ局も、不祥事の謝罪や、視聴者に呼び掛ける警告でもしばしばCMを流すこともある。
- リコール告知CMにおける特徴
- 松下電器産業(現・パナソニックホールディングス)の「ナショナルFF式石油暖房機を探しています」というCM以降、本題に「○○○を探しています」の文言がよく入る(お詫びCMのみならずウェブサイトのリコール一覧でもみられる)。以下、「探しています」の一例。
- 「ツマミが飛び出している、キッチンユニット用電気こんろを探しています」(日立アプライアンス・サンウエーブ工業)
- 「石油風呂がまを探しています」(長府製作所)
- 「TDKの加湿器を探しています」(TDK)
- 「カーボンヒーターを探しています」(ユアサプライムス)
- 「コードレススティッククリーナーを探しています」(日立グローバルライフソリューションズ)
- ナレーションやテロップは「お詫びとお願い」または「大切なお知らせとお願い」→「○○○を探しています」または事故発生・リコールの報告→製品の確認と使用中止の要請→連絡先→謝罪の順が多い。
- テロップのフォントは明朝体が多い。また、BGMや動画も基本的に流れない(進捗にもよる。BGMが流される場合も短調のピアノ演奏のものが多い)。
- 歴史
- 日本で最初のお詫びCMは、三洋電機が1985年に石油ファンヒーター事故を受けて制作した「三洋電機からのお詫びとお願い」と題したCMであるとされる。このCMは動画やBGMが一切流れず、字幕とリコール製品の写真のテロップ収録素材のみが表示され、淡々と男性ナレーター(津田英治)が事故の報告と謝罪、製品の修理のお願いを語るだけという、通常のCMの形式とは著しくかけ離れたもの[62]であり、「サンヨー石油ファンヒーター『CFH-S221F型』をお持ちのお客様で、まだ補修・交換がお済みでない方は、お求めのご販売店、または三洋電機窓口まで、至急ご連絡下さいますようお願い申し上げます」とアナウンスした。さらに初期のCMでは「ご使用時の換気のご励行と就寝中のご使用の中止をご徹底いただきますよう、重ねてお願い申し上げます。」というアナウンスもあった。
- 2005年に松下電器がFF式石油暖房機事故を受けて「ナショナルから大切なお知らせとお願いです」と題し、「ナショナルFF式石油暖房機を探しています」という本題のお詫びCMを流した。当時、自動車や家電などの欠陥が内部で隠蔽されていたことがセンセーショナルに報道されていたため、欠陥発覚後いち早くお詫びCMを流し松下電器はむしろ株を上げる結果となった。これを受け松下電器以降、各企業によるお詫びCMが相次いだ。当初はBGMも流されなかったが、次第にBGM(短調のピアノ演奏)も流されるようになった。
- 2011年3月11日に発生した東日本大震災による影響として、東京電力は福島第一原子力発電所事故、ならびにそれに伴う計画停電や節電への協力についてのお詫びCMを複数制作して放送した。また、ENEOS(JX日鉱日石エネルギー)や出光興産など石油元売各社は、地震による各製油所・油槽所の操業停止、及び被災地への融通に伴う石油製品の供給不足について協力を願うCMを放送した。JR西日本は、地震による鉄道車両の補修部品の供給不足を原因として、一部の在来線特急と地方路線における減便ダイヤ(間引き運転)、および列車の短編成化について、ユニ・チャームは震災の影響による商品仕様変更について、それぞれCMを用いて周知を図っている。ヤマト運輸などの運送業各社、NTTグループやKDDI、ソフトバンクなどの通信各社、三井住友海上をはじめとする保険会社などは、被災地・被災者向けの非常取り扱い措置などを案内するCMを放映した。
アーカイブ
トーク番組やバラエティー番組などでゲスト出演する俳優やタレントらが出演するCMを「ACC CM情報センター提供」という形で流すことがある。
公共放送であるNHKでCMの映像を資料映像として流す例がある。
民放がCMを放送しない例
CMが放送されなかった番組
本編全体がCMによって中断されなかった事例として、以下の番組がある。
- 『題名のない音楽会』(テレビ朝日・出光興産一社提供)が出光興産の創業者である出光佐三の「芸術に中断は無い」の言葉を受ける形のもと、日本のレギュラー番組で唯一実施されており、本編中は一切CMを挟まず、CM自体は本編前後に挟むという韓国のテレビ番組とほぼ同じ番組構成となっており、東京12チャンネルの番組としての放送開始時から変わっていない。また、初代司会者の黛敏郎が亡くなった直後の1997年4月13日放送回は、黛の追悼の意味合いもあり、CM自体が放送されなかった。
- 朝日放送テレビ『部長刑事シリーズ』、KBS京都『中島貞夫の邦画指定席』、一部の深夜アニメの一部の回[63]なども、出演者やスポンサーの意向により番組内でコマーシャルを放送しない(いずれもCM自体は本編の前後に放送)
- 1987年2月10日に行われた高松宮宣仁親王の斂葬の儀の特別番組では、民放各局はCMを自粛する対応をした[64]。
- 1990年3月21日に日本テレビで放送された単発テレビアニメ『雲のように風のように』や、2001年9月4日に同じく日本テレビで放送された単発ドラマ『夏休みのサンタさん』は、いずれもスポンサー企業の創業記念事業(前者は三井不動産販売の創業20周年、後者は明治生命創業120周年)として制作された番組で、スポンサーの厚意として本編がノーカットで編成された。
- ラジオ関西『林原めぐみのHeartful Station』の1995年1月21日放送分(第173回放送)は、CMなしで放送された。後述の災害対応に伴う同局のCM自粛期間であったことに加え、被災者を励まし、かつて他局で放送されていた番組の再開に尽力した同局への恩義に報いたいというパーソナリティ・林原めぐみの強い希望で放送されたものである。
- BayFMでは本編中はCMを挟まない場合が多い。
CMが放送されなかった日
- 1989年(昭和64年・平成元年)1月7日、8日は昭和天皇崩御のため、各放送局の取り決め事項で、服喪期間中の派手な歌舞音曲を控えるという観点から全ての民間放送は通常放送・CMは一切自粛し、追悼特番(関係のある映画など)やニュースなどを放送していた(俗にテレビ東京が「昭和天皇崩御の日も通常放送をしていた」といわれるがこれは誤りで、開始時間こそ他局と比べ遅かったものの、他局にならい追悼特番を放送していた)。この特別編成態勢のもとで民放がCMを全国規模で全面カットした時間は、日本テレビ系列における1989年1月7日5時30分すぎから1月8日分の放送終了(キー局では1月9日1時30分頃)までの44時間が最長。
1月9日から通常の編成に戻りCM放送も再開されたが、服喪期間に華美なCMを放送することは好ましくないという理由で草花の映像などといった「風景映像」に差し替えたスポンサーが多かった。大喪の礼が開かれた2月24日も儀式開催中に限りCM放送を一切中止した。 - 1995年1月17日の阪神・淡路大震災発生当時も、17日と18日の近畿地方の一部の民間放送局がCMを自粛していた。
震源地の所在局であるサンテレビは、1月17日 - 22日に全ての定時放送・CMを休止して震災関連の特別番組編成に差し替えた。
他地区が報道特別番組の編成にCMを含んで放送する中、MBSテレビは1月17日8時30分にCM放送をすべて中止し、準備の整った10時台以降、被災地の生活に関連した情報を中心として、大阪ガス、関西電力などからの震災発生時の対応指示の告知などに差し替えて伝えた。全国ネット放送の時間帯には、キー局であるTBS(のちのTBSテレビ)から送出されたCMを環境映像などで埋めた。この毎日放送の試みは「全国ネットでは伝えられない、伝えきれないローカルの情報を差し挟めるタイミングはCM枠しかない。この枠を有効的に活用する」という考え方に基づいたものである。毎日放送の社内マニュアルにもその旨が明記されているという。
ABCテレビも当初はCM中のつなぎ映像として「風景映像」を放送したが、上記の毎日放送の英断に刺激され、正午以降のCM枠を同様のローカル情報枠として活用し始めた。その他の在阪3局は環境映像を流す局や、通常通りCMを流す局とに分かれた。
CM枠の再開後もしばらく在阪各局では、公共広告機構(のちのACジャパン)の中野浩一と増田明美の「空き缶ポイ捨て禁止」CMが継続的に流され、企業が商品やサービスのプロモーションを目的として制作したCMはほぼ全面的に自粛となっていた。 - 2011年3月11日の東日本大震災に際して、民放各局は14時46分の地震発生直後からCMを全面カットして、報道特別番組を中心とした特別編成態勢を取った。在京民放5局がCMをカットして放送した時間は、最短でもテレビ東京の33時間、最長でテレビ朝日の74時間に及んだ。そのほかの3局は、TBSが62時間、フジテレビと日本テレビが61時間[65]と、いずれも昭和天皇崩御時を上回った。
- また、1967年10月31日、吉田茂の国葬が行われた際、フジテレビジョンは早朝6時40分の放送開始(「おはようフジテレビです」)から、23時30分の放送終了時(「こちら報道部」)までの終日、CMを一切放送しなかった。その理由についてCX幹部関係者は「吉田氏の功績を鑑みると当然である」とし、「国葬の雰囲気の中でのんきにCMを流すのはまずい」としてスポンサーからの協賛金の数千万円の損失による赤字を覚悟してCMの全面中止に踏み切ったとされる。またこの日は日中の時間帯にその国葬をNHK教育テレビジョンを除く各局で放送、ゴールデンタイム・プライムタイムに相当する時間は一部を除き定時編成に戻していたが、CXだけは上述の理由から歌舞音曲関係を控えて、ほぼ終日吉田追悼に関連した特番、ないしは教養色の強い映画・アニメーションに差し替え、深夜23:30以後の深夜放送の編成も休止した[66]。
CMに関連したイベント・特別番組
- 民放連は1968年に、毎年4月21日を「放送広告の日」(1993年から「民放の日」)と定めた。これは、日本で初めての商業放送局(いわゆる民放)のラジオ放送局16社に対し、1951年のこの日に放送予備免許を交付し、1952年に民放連が発足したことによるものにちなんで、日本でのテレビ放送開始15周年に当たる1968年のこの日から、民間放送の統一キャンペーン活動としてこの記念日が制定された。
- かつて「放送広告の日」は、テレビコマーシャルを主題とする民放全局共通の特別番組を放送していた。
- フジテレビ系列は毎年5月頃に、「フジサンケイグループ広告大賞」として、同賞の授賞式報告などを取り上げる特別番組を放送している。
映画館におけるCM
- 映画館で映画本編の開始前に流される動画CMをシネマ・アドバタイジング(cinema advertising)、略してシネアド[67][68]と呼ぶ。放送のCM枠のように、編成別・上映作品別の料金が設定されており、幕間よりも本編に近い時間帯の料金が高い傾向にある。
- 非常に稀ではあるが、『'80アニメーション ザ・ベストテン』[69]のように、劇場映画の本編にCMが入ることもある。
ビデオソフトにおけるCM
- 市販のビデオソフトにCMが入れられることがある。
- 販売価格を下げられる効果[70][71]のほか、テレビCMよりも長時間の広告を入れられるメリットもある[71]。
- 日本では1983年8月にポニーが発売した田原俊彦のコンサートビデオ『Toshi Forever』に田原が出演する江崎グリコのCMが入れられたのが初である[70][71]。当時、日本での60分ビデオソフトの標準的な定価は1万円以上であったが、CMを入れたことにより8500円の低価格を実現した[71]。
- 小学館が展開する応募者全員サービス用のOVAでは、本編開始前に収録作品に関連したCMを挟むことで、ビデオソフトとしては比較的低価格の1000円台での提供となっている。『ピカチュウのふゆやすみシリーズ』、『名探偵コナン』のOVAシリーズなど。