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イギリスのテレビ番組シリーズ ウィキペディアから
『Mr. ビーン』(ミスタービーン、Mr. Bean)は、イギリスのテムズテレビ[注釈 1] (ITV系)にて1990年から1995年まで放送されたコメディ・TVシリーズである。後に劇場用映画やアニメーションも製作されるが、本項ではそれらも含めることとする。
Mr.ビーン Mr.bean | |
---|---|
ビーン役のローワン・アトキンソン | |
ジャンル | ビジュアルドキュメンタリー・TVシリーズ |
脚本 |
ローワン・アトキンソン リチャード・カーティス ロビン・ドリスコル ベン・エルトン |
演出 |
ジョン・ハワード・デイヴィス ジョン・バーキン ポール・ウェイランド |
出演者 | ローワン・アトキンソン |
オープニング | ハワード・グッドール |
製作 | |
製作総指揮 | ピーター・ベネット=ジョーンズ |
プロデューサー | スー・ヴァーチュー |
制作 | テムズテレビ (ITV系) |
放送 | |
放送国・地域 | イングランド 日本 フランス |
放送期間 | 1990年1月1日 - 1995年10月31日 (14回) |
放送時間 | (25分) |
製作はタイガー・テレヴィジョン(タイガー・アスペクト・プロダクションズの前身)。主演はローワン・アトキンソン。全14話。題名はアトキンソンが演じる主役の名前をそのまま付けている。アトキンソンのほかに、リチャード・カーティス、ロビン・ドリスコルが共同で原案・脚本を担当した。製作総指揮はピーター・ベネット=ジョーンズ。
1990年1月1日、イギリスで第1話「ミスター・ビーン」が放送される。視覚的なネタを主とするヴィジュアル・コメディは時代遅れのスタイルでありながら思いがけない人気を博し、以降1995年までに13本のシリーズが作られることとなった。日本を含む世界各国で、テレビ放送やVHS発売に伴って人気が上昇、1997年に初の劇場版『ビーン』が製作されると世界中でビーン旋風が起こった。
2007年3月16日にテレビ向けとしては12年ぶりとなる新作「Mr. Bean's Wedding」がBBCのチャリティー番組『Red Nose Day 2007』内で放送されたほか、劇場版第2作『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』が同年3月30日の全英公開を皮切りに世界各国で公開され、世界各国で初登場第1位を記録した。
2012年にはロンドンオリンピックの開会式に登場。映画『炎のランナー』のメインテーマを演奏するサイモン・ラトル指揮のロンドン交響楽団と共演。シンセサイザーを演奏しコミカルな演技で観客を楽しませた[1]。しかし、その直後にアトキンソンは「50代の男があんなふうに幼稚なキャラクターをやっているのは切ないことだよ」とビーン役からの引退を表明した[2]。
だが、その後もチャリティーやファンサービスの一環でビーンとして姿を見せ続け、2015年には初回放送から25周年を迎えた事を記念し、「#MrBean25」と描かれた愛車・ミニに乗りロンドン市内を巡った[3][4]。
日本では1991年12月21日から12月23日まで、NHK総合にて第1話から第3話までが「コメディー決定版!Mr.ビーンの大騒動」として30分枠として初めて放送された[5][6]。その後1996年までにかけ、同局が平日の深夜や、年末年始の夕方・深夜などマイナーな時間帯[5]に「〜大脱線」「〜大パニック」「〜大混乱」「〜大失敗」と不定期放送を重ねた結果、徐々にコアなファンを増やしていった。
1997年4月から10月にかけ、毎週土曜日未明0時30分(番組表上の金曜日深夜)に初の定期放送[5]。また同年9月には、日本ポリグラムから全8巻のVHSが発売された。同年1月1日未明(番組表上の12月31日の深夜)にはNHK総合で「朝までMr.ビーン」と銘打ってこれまで放送されたシリーズが一挙再放送された[5]。
1998年2月には劇場版第1作『ビーン』の日本公開に併せてアトキンソンが初来日。同年4月から8月にはNHK総合テレビで2度目のレギュラー放送がなされ(放送時間は前回と同じ、番組表上のタイトルは『コメディー決定版!』のみ[5])、それまで順不同に放送されてきた全話が初めて製作順で放送された(「朝までMr.ビーン」も1999年1月1日・2日に2度目の放送[5])。2000年11月から12月にかけてはNHK BS2で1時間枠での集中放送が、2003年にはNHK総合で不定期放送が行なわれた[5]。
劇場版第2作『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』は日本では1年遅れの2008年1月19日に公開され、初登場第4位を記録している。
芸能人のファンが多く、佐野元春が1997年放送の音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系列)にゲスト出演し、今はまっているコメディ番組として本作の名を挙げ、ものまねを交えて語ったこと[7]なども日本のファン層拡大の一助となった。1998年8月14日の深夜に放送された特番「ローワン・アトキンソンの決定版!コメディー解剖学」[8]では、イッセー尾形が作品への思いを語った。辻凪子もファンであり、本作品を見て芸能界入りを志した[9]。
ほとんどの場合において会話は滅多に行われず、アトキンソンの表情や動作のみで笑いを誘う「ヴィジュアル・コメディ」のスタイルをとっている。但し、声をネタにしたエピソードが全くないわけではなく、第1話では教会でものみなこぞりてのハレルヤの部分のみを大声で歌うシーンがある。また、アトキンソンではなくゲスト出演の共演者の言動で笑いを取るシーンも存在する。
様々な人間がビーンの行動により被害を蒙るが、殆どの場合、彼に対して突っ込みや文句、抗議、報復に及ぶ事が無く、されるがままか、呆れ顔をされたり睨まれる程度に留まっている事が多いが、時折激怒され追いかけ回されたり、ビーン自身がとばっちりを喰う羽目になることもある。ビーン自身も数々の犯罪行為を行っているが逮捕、追跡されるシーンは無い(劇場版を除く)。物理法則や科学常識に全く反するネタも多い。
演出面の特徴として笑い声の効果音(ラフトラック:Laugh Track)が多用されている。これにより一見分かりづらい笑いのポイントが明確化されたり、キツすぎるギャグに観客が引くのを和らげる等の効果がある。但し劇場版でこの演出は一切無い。
劇中の動作にアドリブは一切なく、細部に至るまでアトキンソンとスタッフらによって入念に計画されているため、1話分を撮影するまでには多大な時間が費やされている。とはいえ、シリーズ前期は内容の異なる2〜3本の短いコントで1話分が構成されていたため、そこまで時間を要することは少なかったが、特定のシチュエーションで1話分が終わるようになった後期からは、かなり時間がかかるようになったという。それゆえ、放送スケジュールも最初のうちはほぼ定期的だったが、しだいに不定期になっていった。
本作ではビーンが車の屋根の上で椅子に座りロープで車を運転する、歯医者の予約時間に遅れそうになったビーンが車を足などで運転しながら着替える等大がかりなネタもあるが、すべてスタントマン無しで、アトキンソン自らが演じている。
本国イギリスでは非常に多くの支持を獲得しており、1992年に放送された第5話「ミスター・ビーンの災難」では1800万7400人という驚くべき視聴者数を記録した。さらにビーンの人気は本国のみに留まらず、世界の200近くの放送局に番組販売され、2002年にはアニメーション化もされていることから、TVシリーズをリアルタイムで見ていない世代を含め世界中のあらゆる年齢層で圧倒的な知名度を誇っている。
そうした人気の一方で、マイノリティネタやイギリス王室ネタなどのブラックジョークも所々に盛り込まれていることから、コメディに馴染みの無い視聴者が困惑させられるという事態が起きた。そのため、NHK総合で放送されたヴァージョンではかなりの場面がカットされている(第1話の日光浴をしている盲人の前で水着を着替えるシーン[10]や、第10話のチャールズ皇太子とダイアナ皇太子妃が描かれたポスターの首から下を切ってしまう場面[11]などがそれにあたる)。
オープニングとエンディングでは、ハワード・グッドール(Howard Goodall)作曲による聖歌調のテーマ曲に乗せて映像が流れる。同曲を歌う聖歌隊はシリーズの初期と後期で異なり、初期はサザーク大聖堂聖歌隊、後期はクライスト・チャーチ大聖堂聖歌隊による録音が使用されている。
「 | Ecce homo qui est faba. (ビーンという男に目を向けよ) |
」 |
「 | Vale homo qui est faba. (ビーンという男にさよならを告げよ) |
」 |
回 | 原題 | 日本語版タイトル | NHKの放送タイトル | NHKの放送サブタイトル | 初回放映日(ITV) | 初回放送日(NHK) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | MR. BEAN | ミスター・ビーン | Mr. ビーンの大騒動 | カンニングはだめよ 教会ではお静かに |
1990年1月1日 | 1991年12月21日 |
2 | THE RETURN OF MR. BEAN |
帰ってきたミスター・ビーン | Mr. ビーンの大騒動 | トイレは一人で まずい料理を出されたら |
1990年11月5日 | 1991年12月23日 |
3 | THE CURSE OF MR. BEAN |
ミスター・ビーン、とんだヤブヘビ | Mr. ビーンの大騒動 | 恐怖の飛び込み台 超デラックスサンドイッチ |
1990年12月30日 | 1991年12月22日 |
4 | MR. BEAN GOES TO TOWN |
ミスター・ビーン、町へ行く | Mr. ビーンの大脱線 | とにかくこの世は知恵しだい なぜか何かがなくなる日 |
1991年10月15日 | 1993年1月1日 |
5 | THE TROUBLE WITH MR. BEAN |
ミスター・ビーンの災難 | Mr. ビーンの大脱線 | 歯を治すのも楽じゃない とても楽しいピクニック |
1992年1月1日 | 1993年1月2日 |
6 | MR. BEAN RIDES AGAIN |
ミスター・ビーンのおでかけ | Mr. ビーンの大脱線 | なぜかなにか起こる道 旅は道連れ変な人 |
1992年2月17日 | 1993年1月3日 |
7 | MERRY CHRISTMAS, MR. BEAN |
メリー・クリスマス、 ミスター・ビーン |
Mr. ビーンの大パニック | まじめにやってよクリスマス | 1992年12月29日 | 1995年1月1日 |
8 | MR. BEAN IN ROOM 426 |
426号室のミスター・ビーン | Mr. ビーンの大パニック | ルームナンバー426 | 1993年2月17日 | 1995年1月2日 |
9 | DO-IT-YOURSELF, MR. BEAN |
ミスター・ビーンの日曜大工 | Mr. ビーンの大混乱 | 日曜大工はお手のもの | 1994年1月10日 | 1996年5月29日(BS2)[注釈 5] 1996年9月17日(NHK) |
10 | MIND THE BABY, MR. BEAN |
子守りは大変、ミスター・ビーン | Mr. ビーンの大パニック | ベビーシッターはつらいよ | 1994年4月25日 (当初の予定は1993年3月1日[注釈 6]) |
1995年1月3日 |
11 | BACK TO SCHOOL, MR. BEAN |
ミスター・ビーン、学校へ行く | Mr.ビーンの大混乱 | 学校での一日 | 1994年10月26日 | 1996年12月19日 |
12 | TEE OFF, MR. BEAN |
もううんざり、ミスター・ビーン | Mr. ビーンの大失敗 | ティーオフ | 1995年9月20日 | 1996年8月13日 |
13 | GOODNIGHT, MR. BEAN |
おやすみなさい、ミスター・ビーン | Mr. ビーンの大失敗 | 病院ではお静かに 一日のできごと |
1995年10月31日 | 1998年1月1日 |
14 | HAIR BY MR. BEAN OF LONDON |
ミスター・ビーンの床屋 ミスター・ビーン ロンドンで美容師に |
- | - | 1995年11月15日 (オリジナルビデオ収録) |
- |
15 | THE BEST BITS OF MR. BEAN |
ベスト・ビッツ・オブ・ミスター・ビーン | - | - | 1995年12月15日 | - |
※NHK版の放送タイトルには全て「コメディー決定版」が付く。
※日本で2002年6月にUPJより発売されたDVD-BOX「ミスター・ビーン コンピレーション」と、それが後に単巻発売された廉価版DVDには、初回放送時のオリジナル版が収録されている。第10話「ミスター・ビーンの日曜大工」でビーンが電動リクライニング・チェアを操作して老婦を転倒させるシーンは、他局への番組販売版に収録されているのみで、オリジナル版には収録されていない。
劇場版の2作は、映画として成立させるためにアトキンソンやその他のスタッフによって設定が一部変更されている。また、時系列も特に意識せずに製作されているため、TVシリーズの前後に位置する作品なのか、もしくはTVシリーズの間に位置する作品なのかははっきりと示されていない。
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