PlayStation 4
かつてソニー・コンピュータエンタテインメントが製造販売した家庭用ゲーム機 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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PlayStation 4(プレイステーション フォー、略称: PS4[7])は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(略: SCE、現: ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE))が2013年に発売した家庭用ゲーム機[8][9]。
この項目は内容が専門的であり、一般の閲覧者にはわかりにくくなっているおそれがあります。 |
メーカー |
|
---|---|
種別 | 据置型ゲーム機 |
世代 | 第8世代 |
発売日 |
2013年11月15日 2014年2月22日 「各国の発売日」も参照 |
CPU | AMD Jaguar 8コア |
GPU | AMD カスタムGPU |
対応メディア |
Blu-ray Disc DVD |
対応ストレージ |
SATA接続ストレージ(2.5インチ専用) USBマスストレージ |
コントローラ入力 |
DUALSHOCK 4 PlayStation VR PlayStation Camera PlayStation Move |
外部接続 |
USB 3.0(CUH-1000/1200) USB 3.1 Gen.1(CUH-2000以降) 1000BASE-T Bluetooth (CUH-1000/1200は2.1、CUH-2000以降は4.0に対応)[注 1] IEEE 802.11 b/g/n(CUH-1000/1200) IEEE 802.11 a/b/g/n/ac(CUH-2000以降)[1] |
オンラインサービス |
Sony Entertainment Network PlayStation Network |
売上台数 |
1億1,700万台(2022年6月末時点)[2] 948万台(2023年11月時点)[注 2] |
最高売上ソフト |
モンスターハンター:ワールド /318万本[5] Marvel's Spider-Man /2,000万本[6] |
前世代ハードウェア | PlayStation 3 |
次世代ハードウェア | PlayStation 5 |
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PlayStation 3 (PS3) の次世代機である[10][注 3]。米国とカナダで2013年11月15日に発売され、発売24時間で100万台以上を販売した[12]。日本では約3か月後の2014年2月22日に発売された[13][14](「各国の発売日」も参照)。
本機のハードウェアはPS3で採用された自社開発Cellプロセッサ路線を廃止して、ソフト開発が容易な汎用のx86アーキテクチャとなり、これに伴い過去ハードのディスクソフトが遊べる後方互換機能も廃止された[15][16]。また、PS3では対応していたCDプレーヤー機能やDTCP-IP等が本機では非対応となっている。
一方で、本機はネットワーク機能が強化されており、バックグラウンドで自動ダウンロード・インストールする機能や、自分のプレイ動画を公開したりフレンド間でゲームプレイ中継を行うといった「シェア」機能や、スマートフォンやタブレットなどを利用した「リモートプレイ」機能を備えており、過去ハードのクラシックゲームもネット経由を中心に提供されるようになった。(→#機能)
また、別売りのPlayStation VRと「VR対応」と表示されたゲームソフトを用意することで、没入感のあるバーチャルリアリティ・ゲーム(VRゲーム)を楽しめるということも、これまでのPlayStationにはなかった本機の特徴のひとつである。
2016年11月10日には4K解像度 (2160p) 、HDR機能などに対応したハイエンドモデルとしてPlayStation 4 Pro (PS4 Pro) が発売された[17][18]。
2023年1月時点では、HDDが500GBの基本モデル(だけ)は生産・販売が継続しており(CUH-2200AB01、CUH-2200AB02 ジェット・ブラック/グレイシャー・ホワイト)、ソニーストア(ソニーの公式通販サイト)において定価で購入可能であった[19]。その後2023年12月ごろに本体出荷が終了したため、アメリカ合衆国の発売時期を考慮する場合は10年間製造され続けたことになる。
- E3 2013に展示されたPS4の本体
- 本体が初披露された「E3 2013」でのショーケース
- 2008年
- SCEで「PlayStation 4」の開発プロジェクト始動[20]。
- 2013年
- 2月20日(東部標準時) - アメリカ・ニューヨークで行われたイベント「PlayStation Meeting 2013」にて発表された[10]。この際コントローラのデザインについては公開されていたが、本体のデザインは未公開であった[10]。
- 3月27日(太平洋標準時) - アメリカ・サンフランシスコで行われた『Game Developers Conference』にて、SCEAにより「Overview of PS4 for Developers」と題したプレゼンテーションが行われ、開発者と設計側から見たPlayStation 4の技術的な解説がされた[21]。
- 6月10日(太平洋標準時) - アメリカ・ロサンゼルスで開催されたElectronic Entertainment Expo (E3) にてSCEがプレスカンファレンスを行なった[22]。また隅井徹のデザインによる平行四辺形型のPS4本体を初披露した[23]。
- 6月11日 - SCEのプレスリリースより、PlayStation 4 Eyeの名称変更、HDD容量、AVマルチ端子の廃止などが明らかとなった(詳細は「参考文献」を参照)。さらに価格についても399米ドル、399ユーロ、349ポンドであることが発表され、同日発表されたXbox Oneの価格より米国価格で100ドル安いことが大きな衝撃をもって迎えられた[24]。またElectronic Entertainment Expo 2013にて中古ソフトの規制などは行わず、ディスク版ソフトにおけるオフラインプレイでのネット認証なし[25]、原則としてリージョンフリーであることも発表された[26]。
- 8月20日(中央ヨーロッパ時間) - ドイツ・ケルンで行われた『gamescom(GC)』にて、SCEEプレスカンファレンスが行われ、欧米での発売日などが明らかになった[27]。
- 9月9日 - 東京都内で行われた『SCEJA Press Conference 2013』にて、日本国内での価格と発売日、和製ゲームタイトルなどを発表した[28]。
- 9月19日 - 千葉県・幕張メッセで行われた『東京ゲームショウ2013』にて日本国内で初の一般お披露目となった。SCEは「TGSフォーラム2013」にて基調講演を行い、リモートプレイやスマートフォンとの連携などが発表された[29]。
- 11月15日 - 北米での販売開始[30]。
- 11月29日 - 欧州、オーストラリア、ニュージーランド、南米で発売。
- 2014年
- 2015年
- 2020年
- 2022年
販売台数
- 2013年
- 2014年
- 2015年
- 2016年
- 2017年
- 2018年
- 2019年
各国の発売日
北米での発売を皮切りに、ヨーロッパ、南米、オセアニア、アフリカ、中東、そしてアジア圏と続いた。特に香港・韓国・台湾でのアジア先行発売は大きな驚きをもって現地に受け入れられ、台湾メディアの記者には感状極まり涙を流す者も居たという[52]。中華圏を除き、日本でのPS4の発売は最も遅れてしまったため[注 4]、日本においては発売に先駆けて公開されたティーザーCMで「日本凱旋」と銘打ち、世界中のリリース・イベントをダイジェストで流すという演出が取り入れられた[53]。
2013年11月15日 | アメリカ合衆国、 カナダ |
2013年11月29日[54] | イギリス、 アイルランド、 フランス、 ベルギー、 オランダ、 ルクセンブルク、 ドイツ、 スイス、 オーストリア、 イタリア、 スペイン、 ポルトガル、 デンマーク、 スウェーデン、 ノルウェー、 フィンランド、 ポーランド、 ロシア、 オーストラリア、 ニュージーランド、 ブラジル、 アルゼンチン、 チリ、 コロンビア、 コスタリカ、 エルサルバドル、 グアテマラ、 メキシコ、 パナマ、 ペルー |
2013年12月13日[55] | 南アフリカ共和国、 アラブ首長国連邦、 サウジアラビア、 クウェート、 カタール、 バーレーン、 オマーン、 チェコ、 スロバキア、 ギリシャ、 トルコ、 ボリビア、 ニカラグア、 パラグアイ、 ウルグアイ、 ベネズエラ |
2013年12月17日[56][57] | 香港、 韓国 |
2013年12月18日[58] | 台湾 |
2013年12月19日[59] | シンガポール |
2013年12月20日[60] | マレーシア |
2014年1月6日[61] | インド |
2014年1月9日[62] | インドネシア |
2014年1月14日[63][64][65] | フィリピン、 タイ |
2014年2月22日[66] | 日本 |
2015年3月20日[67][68] | 中国 |
2016年1月6日 | ベトナム |
この節の加筆が望まれています。 |
アーキテクチャは、PlayStation 3とは異なりPCのものに近い。メインメモリの帯域幅は176 GB/秒で速く[10]、その量も8GBと潤沢なので[10][69]、ゲーム制作会社は表現力豊かなゲーム開発がより効率的に行え[10]、非常に多数の要素がゲーム世界内で同時に存在するような大規模なゲームも実現でき、また、大容量のメモリを利用してデータをあらかじめ背後で読み込んでおくことで、ゲームの場面転換などでの待ち時間が減り、前世代機よりも快適なゲーム体験を可能とする[69]。
PlayStation 4の設計にあたっては、ゲーム開発機と同じ一般的なPCの構造を踏襲しつつ、ゲーム開発者の力を活かすことが最優先とされた[70]。
特に、従来の傾向からすれば、ゲーム機としては破格の8GB(ゲーム用には5.5GB)も確保されたメモリの容量は開発者から好評であり、CPU用で256MB,GPU用で256MBしか確保されなかったPS3と比較して、非常に開発しやすい環境に変わった。メモリスワップによる動作のもたつき発生を防ぐため、PlayStation 4でも仮想メモリは使用できないような制約が掛けられている。ユニファイドメモリの採用により、GPUとCPUの取り扱うメモリ空間を共通化し高速なプログラムの開発を容易にした。なお、Xbox Oneも8GBのメモリーが採用されている。
メインプロセッサには、既にPC向けに大量生産されている、AMDのx86-64アーキテクチャCPUのカスタム品が用いられている[15]。
CPUとOSはゲーム用と非ゲーム用のシステムが複数稼働しており、スリープ中でもサイドCPUがソフトウェアのアップデート等の最低限の通信を行う「レストモード」が追加。レストモード中は本体の電源ランプがオレンジ色になるが、PS4のOSの仕様上の都合から電源ケーブルを抜くことが許可されていない。
ほとんどのゲームはドルビーデジタル(DOLBY AUDIO)に対応しているが、ディスク版では必ずしもすべての作品がドルビーデジタルの表記を記載しているわけではない。また、CUH-1000系モデルとPS4 ProはS/PDIF端子を搭載する最後のソニー製ゲーム機となった。
コントローラーにはShareボタンが搭載され、ゲームの模様を録画、配信などの操作を簡便に行えるSNS時代に即した新機能を搭載した。[注 5]
メインプロセッサー
この節で示されている出典について、該当する記述が具体的にその文献の何ページあるいはどの章節にあるのか、特定が求められています。 |
メインプロセッサーにはAMD製のPS4専用にカスタマイズされた[10]APU(CPUとGPUを統合したシングルチップ・プロセッサー)を搭載し、CPUには64ビットのカスタム「Jaguar」2基(計8コア)、GPUには1.84テラFLOPSの単精度浮動小数点演算性能を持つRadeonのカスタム品が採用されている。TSMCの28nmプロセス生産ラインで製造されている[71]。
CPUとGPUに統一されたアドレス空間が提供され[注 6]、それぞれが相互のメモリー使用領域へ直接アクセスできる。
Supercharged PC ArchitectureコンセプトにおけるSupercharged、つまりPC仕様を超える独自強化の部分についてPlayStation 4のリードアーキテクトであるマーク・サーニーは、非常に多くの点があるが代表的なのものは4つあると語っている[72]。
- CPUとGPUの間で高速にデータを転送できる機構。
- GPU内のキャッシュ・メモリーからの書き戻し回数を減らす機構。
- 演算やグラフィックス描画の処理について多階層で優先順位を付けられる調停機構。
- CPUの前処理をGPUに肩代わりさせる機能。
以上の代表的な4点は全てメインプロセッサー関係である。
CPU
CPUにはx86-64命令セットを持つ低消費電力かつ低発熱な4コア「Jaguar」を2基搭載しており[73]、各CPUはそれぞれが持つ2MBのL2キャッシュを4つのコアで共有する。各コアは命令キャッシュ32KBおよびデータキャッシュ32KBのL1キャッシュを持っており[74]、全体では512KBとなる。
JaguarはAMDの一般に出荷される製品における前世代となるBobcatからパフォーマンスを向上させたもので、ゲーム機において特に重要となる浮動小数点の演算性能についてはSIMD浮動小数点演算(浮動小数点のベクトル演算)ユニットが旧来の64ビット幅から128ビット幅となり性能の倍増が図られている。
GPU
GPUのコアはGCN(Graphics Core Next)系アーキテクチャで、搭載する18個のCU(コンピュートユニット)はそれぞれ16レーンのSIMD演算ユニットを4個持つ。動作クロックは800MHzであり、計1,152個の積和算ユニットを持つことから単精度浮動小数点の演算性能は1.84TFLOPSとなる。
PS3のRSXはDirectX 9世代の拡張アーキテクチャを採用していたが、本機では2世代進んだDirectX 11世代となる。グラフィックスパイプラインにはプリミティブの増減・出現・消失をGPU単体で行えるようになるジオメトリシェーダー、プリミティブの分割・増減・変位をプログラマブルに行えるテッセレーションステージが加えられており、命令セットや機能も多く追加された。RSXのベースとなったG70まで分かれていたピクセルシェーダーやバーテックスシェーダーは統合され、ユニファイドシェーダー構成となっている。
GPUに関してはAMDの基本設計に対しSCEが多くのカスタマイズを施している。後述するGPGPUと純粋なグラフィック処理を混在できるようなGPU制御や、それに併せたGPGPU用のタスク制御機能の拡充などが行われた。提供されるAPIはPS3やPS Vita向けに提供されているものと同様の形態となり、抽象化レイヤーのないローレベルなものとなる。これはよりパフォーマンスを追求するためであり、OpenGLなどに慣れ親しんだ開発者向けに別途オーバーヘッドの少ないラッパーAPIとそのソースコードも提供される。
GPGPU
本機ではGPUでグラフィック処理以外の汎用演算処理を行うGPGPUが特に重視されている。GPUはその特性から単純な演算の繰り返しに長けており、浮動小数点演算においては本機のGPUはCPUに対して11.5倍も高速に処理を行うことができ(FLOPS比)、物理演算などを担わせれば高い性能を発揮することができる。PS3のCellに搭載されたSPUコアもSIMD浮動小数点演算を得意としていたが、本機ではこれをGPGPUによって担わせている。
GPGPUはGPUでグラフィック処理と汎用演算の双方を行うものであるが、グラフィック描画処理を実行する中で適宜余った性能を汎用演算に振り分けるという事は難しく、そのためグラフィック処理を抑え汎用演算のために性能を余剰させなければならないこと、加えて特にNVIDIAのGPUではグラフィック処理と汎用演算で内部メモリーの扱い方が異なるため、その都度モードを切り替える必要があり双方を同時に実行できない事などが問題点だった。そこで本機ではPS3で活用されたSPURS(SPU Runtime System; 余ったSPUなどのリソースを仮想化し自律的に演算処理を行わせる仕組み)を参考に、グラフィック処理と汎用演算を効率よく同時に行うことができるようカスタマイズが施されているとされる。その例としてGPUコアからL1/L2キャッシュをバイパスし10GB/sの帯域幅で直接メインメモリーを読み書きできるようになっていること、L2キャッシュに新たにvolatileタグが設けられメインメモリーに直接書き込むデータを区別できるようにされており結果としてGPUのキャッシュメモリーをすべてグラフィック処理用に効率よく割くことができるようになっていることなどが挙げられている。これらによりGPGPUをCPUのような感覚で容易に行うことができるとされている[15]。
GPGPUを支援するものとして前述のHSAなどがあるが、このようなアーキテクチャに基づいた統一的なプログラミング言語およびAPIを利用した場合は開発が容易になる反面処理効率を高めることが難しくなることから、SCEはまず独自の最適化技術を用いた独自シェーダー (PlayStation Shader Language; PSSL) を提供する。またそれに続いてより深いレベルでのハードウェアアクセス、中期段階としてOpenGLやDirectXなどの汎用API対応および完全なハードウェアアクセスも提供していくとした上で、長期的には開発を容易にするためCPUとGPUで同じプログラミング言語を使えるようにすることが目標とされている。
オーディオDSP
オーディオDSPにAMD TrueAudio technologyが採用されている[75]。
メインメモリー
この節で示されている出典について、該当する記述が具体的にその文献の何ページあるいはどの章節にあるのか、特定が求められています。 |
メモリ周りのアーキテクチャはPCと比べて特殊な構造になっている。メインメモリは、これまでもっぱらビデオカード用のVRAMなどに用いられてきた広帯域なGDDR5を8GB搭載する[注 7]。このメモリ拡充により、従来ソニー製ゲーム機で問題視されてきたメモリ容量の少なさは解消された。帯域幅は176GB/sであり、PS2に搭載されていたVRAMの48GB/sを超えることとなったほか、PS3に搭載されていたXDR DRAMの25.6GB/sと比較しても約7倍もの転送速度を誇る。汎用のDDR3では192ビットインターフェイスでようやく40GB/sに届くとしており、SIEはその帯域幅の広さを強調している。
開発初期は8GBではなかったものの、メーカーサイドのクリエイターの意見を反映して、コストがかかるものの8GBを実現している[77]。
本機ではCPUとGPUが統合されたAPU直結となるので用途別にメモリー接続バスを分ける必要がなく共有となった。[注 8]
メモリーは256ビットバスでAPUに接続されている[78]。 メモリーには16個の4Gビットチップ(CUH-1000シリーズ[79]、CUH-1100シリーズ[80])、または8個の8Gビットチップ(CUH-1200シリーズ[81]、CUH-2000シリーズ[82]CUH-2100シリーズ)を搭載し、帯域幅から256ビットインターフェイス、5.5GT/s(英語版) の転送量を持つと見られている。
8GBあるメインメモリーのうち、ゲームが使える容量はゲーム開発者には知らせてあるものの一般には非公開である。OSや非ゲームアプリケーション動作用の「システムリザーブ領域」が有る[83]。
セカンダリープロセッサー
セカンダリープロセッサーには、メインプロセッサ用のメモリとは別に32MBのファームウェアと256MBの専用メモリが接続されており、メインプロセッサ用のファームウェアのロード、ゲームのサスペンドやレジューム、ネットワークのトラフィックコントロールをするなど、I/O制御用のサブシステムとなっている。
このセカンダリープロセッサーによりバックグラウンドでのアップロード・ダウンロード処理など、ストレージアクセスとダウンロードプロセスはすべてこのチップにより担われており、常に電源が供給され本体の電源が切られている間も常時ダウンロードを継続するとされる。このチップはメインCPUに比べて省電力であり、大きな電力を消費するメインCPUをダウンロードのためだけに待機中動作させ続ける(本体の電源を入れておく)必要がなくなっている[15]。
エンコーダー・デコーダー
PS4には動画の共有などに使用するためのハードウェア エンコーダー・デコーダーも搭載されている。これは単独で搭載されていてAPUやセカンダリープロセッサーから処理の委託を受ける[84]。
動画のエンコード・デコードのほかゲーム内の音声を再生するための圧縮音源デコード、オーディオチャットなどにも使用できる。この機能搭載によってリアルタイムのゲーム画面録画やゲームプレイリアルタイム中継等のエンコード・デコードにおいても、CPU、メインメモリー、帯域を一切使用しないと説明されている[85]。
このビデオ圧縮用のハードウェアを用いることで、PlayStation Vita (PS Vita) を用いたリモートプレイをほとんどオーバーヘッドなく行える。
ストレージ
ローカルストレージとして全モデルにハードディスクドライブを搭載していて、初期モデルは500GBである。CUH-1200BB01は1TBを搭載する。内蔵HDDはPS3同様に交換可能である[86]。
HDD格納場所は横置きにした場合の、BDドライブの上に当たる。本体を縦置きにした場合の上半分のパネルが取り外し可能になっており、そこに取り付けられている[87]。
対応ドライブは、2.5インチ、5400RPM、SATA 2インターフェイス、160GB以上の容量かつ9.5mmまでの厚さに対応[88][89]。160GB以上である理由は、セットアップ時の初期状態で92GB以上の領域をデフォルトでシステムが確保するためで、デフォルト構成のアプリケーションが使用する作業域を確保したり、ファームウェアのアップデート用のデータを格納したりするには、最低でも160GB以上の容量が必要であるためである。そのため、初期出荷モデルが標準で500GBのHDDを内蔵していても、空き容量はセットアップ時に408GB程度になっている。
USB 3.0端子による記憶領域の外部増設についてはシステムソフトバージョン4.50にてサポートされた[88]。 認識できる容量は250GB以上かつ8TBまでで、USB 3.0以上に対応した外付けストレージを利用することが出来る。外部ストレージに移動できるのはデータのみで、OSといったシステム領域は内蔵ストレージのみでしか扱えない。
内蔵HDDインターフェースであるSATA 2の最大データ転送速度は300MB/s、USB 3.0の最大データ転送速度は500MB/sで理論上は外付けのほうが高速だが、実際のゲームでの計測結果では、高速なストレージであるSSDを使用する際のロード時間短縮を内蔵HDDとの交換と外付けで比較した場合、ほぼ同じか内蔵HDD交換の方が高速化される傾向にあった[90]。PS4本体の起動や終了、スリープおよび復帰といったシステム自体の速度向上に関しては内蔵ストレージ交換のみのメリットである。後述のPS4 proに関しては、内蔵HDDインターフェースがSATA 3(最大データ転送速度600MB/s)であるため、通常型PS4以上に高速化が可能である。
オーディオ・ビジュアル
PS4 Proのみ、4K解像度 (2160p) に対応しSD出力(480iと480p)には対応していない[18]。
Blu-ray Discビデオ再生(UHD Blu-ray ディスクは非対応[18])、DVDビデオ再生に対応する[注 9]。スーパーオーディオCDの読み込みには対応せず、コンパクトディスク (CD) については読み込みは対応するものの音楽再生機能は持たない[92][15][93]。USBストレージ機器内のMP3やAACファイルの再生機能はシステム・ソフトウェア2.0で実装された。Ver.2.50ではFLACやDSEEにも対応[94]。メディアプレイヤーは後付[注 10]であり、PlayStation Store上から無料でダウンロード可能。また、DLNAにも対応しているが、nasneによる再生を除きDTCP-IPに非対応。
縦置きにした時に本体上部になる箇所には、HDMI、DTS-HDマスターオーディオ7.1、ドルビーTrueHD、Blu-ray Discの各ロゴマークが見て取れる[95][96]。製品ではDTS-HDマスターオーディオデコーダーがPS4発売時点最新の7.1が搭載される事がDTSから発表された。それに伴い本体表記のDTS-HDロゴも変更されている。PS4は同デコーダー初の搭載製品となる[96]。オブジェトベースオーディオ(Dolby AtmosとDTS:X)には、Blu-ray Discからのビットストリーム出力を除いて非対応である[97]。
発表時ではAVマルチ端子が搭載予定だったが、後に変更されて映像出力はHDMIに統一される事となった。 このためHDMI端子を持たない機器(ハイビジョンブラウン管テレビなど)では使用できない(変換機器やセレクタを使った接続は可能だがサポート対象外になる)[98]。PS4 Proでは最低出力画質が720pのため、HDMI入力が480p、1440p以外に対応していない機器では使用できない。
システムソフトウェアバージョン4.00以降は明暗部を再現し、色幅を広範囲にするハイダイナミックレンジ(HDR)出力に全モデルが対応した)[99]。
なお、HDMIについては、ゲームを含むどんな映像データであろうと、HDCP (High-bandwidth Digital Content Protection) 規格に対応していない機器をHDMIケーブルで接続すると、PS4からの映像および音声を出力できないことがユーザーズガイドで明言されている。この仕様は出力する映像データの著作権保護が目的であるため、シェア機能で投稿可能なゲームの映像についてはHDCP認証を一時的に無効化する修正を行うことで外部機器での録画ができるようにするファームウェアのアップデートがされた[注 11]。
4K解像度を表示するには、接続するHDMIケーブルが18Gbps対応のものである必要があるとともに、表示側のディスプレイがHDCP 2.2に対応している必要がある。HDR10についてもHDCP 1.4以上に表示側のディスプレイが対応しているとともに接続するHDMIケーブルが18Gbps対応のものである必要になることがある。表示側のディスプレイが対応が必要なのは言うまでもないが、広帯域対応のHDMIケーブルを使用しないと帯域不足になり正常に表示できない。ディスプレイとゲーム機との間にパススルーの機器を接続する場合においてもその機器が広帯域対応である必要がある。
サポートするビデオディスク
サポートするビデオディスクを以下に列挙する[100]。
- Blu-ray Disc
- BD-ROM (BDMV)
- BD-R/RE (BDAV)
- BD-RE ver1.0は除く。ファイナライズされていないものはサポートしない。
- DVD
- DVD-ROM
- DVD-R/RW (video mode, VR mode)
- DVD+R/RW
- AVCHDおよびCPRMをサポート。
- ただし、ファイナライズされていないものはサポートしない。
以下のものはサポートしない。
仕様
メインプロセッサー | AMD製カスタムAPU(シングルチップ) | |
---|---|---|
CPU | “Jaguar” 8コア(x86-64) | |
GPU | Radeonカスタム品
| |
セカンダリープロセッサー | 省電力カスタムCPU[103]
| |
メインメモリー | 8GB GDDR5+256MB DDR3
CUH-7000: 8GB GDDR5+1GB DDR3 | |
外形寸法(幅×高さ×奥行き) |
| |
質量 |
| |
光学ドライブ | 読み出し専用 Blu-ray Disc/DVD/CDドライブ[注 12] | |
BD | 6倍速(角速度一定) | |
DVD | 8倍速(同上) | |
CD | ドライブは対応しているが、ライセンス代の都合から非対応[15] | |
入出力 |
| |
通信 |
| |
出力端子 | ||
ストレージ |
| |
電源 | AC電源端子100 - 240 V, 50/60 Hz[27](電源ユニット内蔵) 定格消費電力252 W[106] 最大消費電力250 W[27]/CUH-1200: 230 W/CUH-2000: 165 W/CUH-7000: 310 W | |
オペレーティングシステム | FreeBSDベース | |
動作環境温度 | 5 - 35℃[27] |
当機のシステムソフトウェアには、"Orbis OS"と呼ばれるFreeBSD 9.0ベースのOSが用いられている[107][108][109]。
マルチタスクに対応している。つまり様々な処理を並行処理したりバックグラウンド処理することが可能なので、たとえばゲームAをプレイしている最中にゲームBをダウンロードすることもできる。[注 13]また、あるゲームの序盤をプレイするのに必要最低限の部分をダウンロードした段階でプレイヤーにプレイを許し、残りの部分はプレイしている最中にバックグラウンド処理でダウンロードし続けることも自動的に行うことができる。この機能つまりPS Storeからゲームをダウンロードする際に、完全にダウンロードが終了する前からそのゲームをプレイし始めることができるインスタントプレイ機能をSIEは「PlayGo」と呼んでいる[110][注 14]。
自動的に更新データを提供する機能はもともとはPlayStation Plusのサービスであったが、PS4の場合は「スタンバイモード」により無料で自動的にダウンロードが可能[111]。
PS4はPS3同様にマルチユーザーに対応していて、一台に対して複数アカウントを設定可能で使用者を切り替えることが出来る[83]。さらにPS4ではマルチユーザーに加えて、マルチアカウントで、最大4人まで同時サインインが可能。[112]PS4がある場所に集うローカルでの対戦でPlayStation Network (PSN) アカウントを持ち寄った対戦が可能になった。
システムソフトウェアは最新のバージョンに更新しておくことが推奨されている。セキュリティ修正、不具合修正、機能追加などのためである。設定画面でシステムソフトウェアの自動更新の項目に「✔」(チェックマーク)をつけておけば自動的に最新版に更新される。
PS4のユーザインタフェースは「PlayStation Dynamic Menu」と呼ばれている[113]。