スピン軌道相互作用
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スピン軌道相互作用(英: Spin orbit coupling、稀に英: Spin orbit interaction)とは電子のスピンと、電子の軌道角運動量との相互作用のこと。
相対論的に取り扱われるディラック方程式(相対論的量子力学)では自然に導入される概念である。スピン軌道相互作用により、縮退していた電子のエネルギー固有値が分裂する。
ゲッパート=マイヤーとイェンセンは、原子核の問題について、スピン軌道相互作用を導入した殻模型を用いれば、その準位の分裂から、実験的に知られていた安定な核子数、魔法数を説明できることを発見し、ノーベル賞を受賞した。
原子の最外殻電子ではスピン軌道相互作用によりスピン・軌道角運動量の向きがそろうことがある。常温の範囲では分裂した準位(LS多重項という)の中で最低エネルギーをもつ準位に状態がある確率が高い。最低エネルギーの多重項を知るためにフントの規則とよばれる実験則が有効である。