生存者バイアス
選択バイアスの一つ / ウィキペディア フリーな encyclopedia
生存者バイアス(せいぞんしゃバイアス、英語: survivorship bias、survival bias)または生存バイアス(せいぞんバイアス)とは、何らかの選択過程を通過した人・物・事のみを基準として判断を行い、その結果には該当しない人・物・事が見えなくなることである。選択バイアスの一種である。
生存者バイアスの例として、ある事故の生存者の話を聞いて、「その事故はそれほど危険ではなかった」と判断するという事例がある。それは、話を聞く相手が全て「生き残った人」だからである。たとえ事故による死者数を知っていたとしても、当然死んだ人達の話を聞く方法はなく、それがバイアスにつながる。
他の例では、存在しなくなった企業が財務業績の分析から除外される場合など、失敗が無視されることになるため、生存者バイアスが過度に楽観的な考えにつながる可能性がある。それはまた、ある集団の成功が、単なる「偶然の一致」ではなく、「その集団が持つ特別な性質」によるという誤った信念につながることがある(前後即因果の誤謬)。例えば、ある難関大学に合格した5人のうち3人が同じ高校の出身者だった場合、それを理由に、その高校はハイレベルな教育を実現していると判断する事もあるかもしれない。これが真実かどうかは、合格者のみではなく、全てまたは少なくとも統計学的に十分な数の在校生の成績を確認しなければ、それは正確な判断とは言えない。