アントン症候群
ウィキペディア フリーな encyclopedia
アントン症候群(アントンしょうこうぐん、Anton syndrome)は、病態失認(英語版)の一種で、後頭葉の損傷で発症する障害である。症例は稀である。アントン失明症(Anton's blindness)や視覚病態失認(visual anosognosia)ともいう。アントン症候群の患者は、皮質盲(英語版)により全部または一部の視覚を失っていながら、視覚があると証言する。しばしば、視覚障害の証拠に直面しても、作話によって視覚障害を否定しようとする。本症候群の名前は、神経学者ガブリエル・アントン(英語版)にちなんで名付けられた。世界で28例しか報告されていない[1]。
アントン=バビンスキ症候群(ドイツ語版)の名前がアントン症候群の同義語として使用されることもあるが、これは本来は別の症例である。アントン=バビンスキ症候群は、臨床的には、半側空間無視、症状に対する感情的無関心を伴う病態失認(疾病無関心(英語版))、構成失行(英語版)および着衣失行によって特徴づけられる。アントン=バビンスキ症候群は、劣位半球の下頭頂小葉の損傷によるものであり、優位半球におけるゲルストマン症候群に相当する。