カンタリジン
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カンタリジン(cantharidin)は、エーテル・テルペノイドに分類される有機化合物の一種。カルボン酸無水物を含む構造を持つ。含有する昆虫の一つジョウカイボン科(Cantharidae)にちなみ命名された。ピエール=ジャン・ロビケが1810年に初めてカンタリジンを単離した[1]。
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カンタリジン | |
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IUPAC名 | 2,6-ジメチル-4,10-ジオキサトリシクロ-[5.2.1.02,6]デカン-3,5-ジオン |
別名 | exo-1,2-cis-ジメチル-3,6-エポキシヘキサヒドロフタル酸無水物 |
分子式 | C10H12O4 |
分子量 | 196.20 |
CAS登録番号 | 56-25-7 |
形状 | 白色固体 |
密度と相 | 1.41 g/cm3, 固体 |
融点 | 215–217 °C |
SMILES | O=C2OC([C@@]1(C)[C@@H]3 CC[C@@H](O3)[C@]12C)=O |
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昇華性がある結晶で、水にはほとんど溶けない。皮膚につくと痛みを感じ、水疱を生じる。
ツチハンミョウ類、ジョウカイボン類、カミキリモドキ類、アリモドキ類、ハネカクシ類などの甲虫類が分泌する体液に含まれる。日本では、夜間に灯火に飛来するアオカミキリモドキ(Xanthochroa waterhousei)によって皮膚に水疱を生じる事故が多い。
ヨーロッパに分布するツチハンミョウ科のスパニッシュフライ(Lytta vesicatoria)、ジョウカイボン科のカンタリス・ウェシカトリア(Cantharis vesicatoria)、日本ではマメハンミョウ(Epicauta gorhami)などがカンタリジンを持つ昆虫として有名である。カンタリス・ウェシカトリアは 0.6%–1% のカンタリジンを含む。