クレランボー症候群
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クレランボー症候群(仏: Syndrome de Clérambault、英: De Clérambault's syndrome)とは、愛されているという妄想を抱く精神障害で、フランスの精神科医ガエタン・ガティアン・ドゥ・クレランボー(Gaëtan Gatian de Clérambault、1872–1934年)がその著書『熱情精神病』(Psychoses Passionnelles)[1]の中で「恋愛妄想病」(Délire érotomaniaque)として記述しているものを指す。この呼称は、現在の精神医学では、妄想性障害の中の被愛型(エロトマニア型)に対して用いられている[2]。クレランボーの定義により恋愛妄想(エロトマニア)が純粋型と混合型に分けられていることから、特にその純粋型として「クレランボー症候群」という名称が用いられることもある[3]。
なお、この呼称には混乱もみられ、ドイツではクレランボーの別の重要概念である「精神自動症(Automatisme mental)」の意味で用いられているため[4]、この呼称を避けるべきであろうという意見もある[5]。
犯罪者の精神鑑定にあたっていたクレランボーは多くの症例に基づき、下に述べる基本的公準や不変項を、「恋愛妄想病」の鑑定標識とした。