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サブリース(英: sublease)とは、転貸(又貸し)のこと。不動産賃貸においては転貸を目的とした一括借上(いっかつかりあげ)のことをサブリースと言うことが多い[1]。2010年代前半から、ローンの不正契約や訴訟などが発生し社会問題となっていて[1]、国土交通省・消費者庁・金融庁が注意喚起を行っている[2][3]。
サブリースとは物件を一括賃借し(マスターリースともいう)、それを分割またはそのままの規模で第三者に転貸する事業形態である。物件の所有者が運用ノウハウ、運用体制をもたない場合などに、サブリース会社に費用を支払って運営代行を委託し、サブリース会社は自社の持つノウハウ、人員を用いて物件を円滑に運営する。長期的に家主の利益を保証する契約ではないため十分な注意が必要である。また、定期借家契約ではなく普通借家契約を選択すると借地借家法によりサブリース会社よりもオーナーの方が立場が弱い契約になる事にも注意が必要である。サブリース会社に強い力を与えられているということは、利益はオーナーからサブリース会社に渡ってしまうことを意味する。
一括借上とは、不動産会社が大家(オーナー)から土地・建物・付帯施設をサブリースで借り上げ、運営・管理を一気に引き受ける賃貸システムである。住居系不動産・事業系不動産それぞれ特色があるが、ここでは主に住居系不動産のサブリースについて述べる。
オーナーが賃貸物件を営む場合、収益は入居している部屋の分の家賃しか入らないため、空き物件が多かったり家賃滞納が多いと経営がおぼつかなくなってしまう。また、賃借人に対してのトラブルや対応なども行なわなければならず、管理面についても煩わしさがつく。一方、不動産会社も独自に賃貸物件を建てる場合、土地を購入した上で物件を建てなければならないため土地購入や建物建設・資産税などの税金など多額の費用がかかる。そこで、オーナーが不動産会社に土地や建物などを託して管理を行ってもらうとともに、不動産会社から一定の保証金(賃料の 80% - 90% 程度)を得るという仕組みが出来上がった。つまり、オーナーには後述のようなメリットがあり、不動産会社は土地購入や建物建設などの負担が軽減されるわけである。
大手不動産会社のほとんどが、このシステムを導入している。
この節に雑多な内容が羅列されています。 |
賃料は長期間一定ではないにもかかわらず、数十年一定の賃料を保証するかのように勧誘されている場合が多々ある[1]。不動産や投資の知識が少ない20〜30代に対して、「年収250万円台から大家になれる」「元手・保証金不要」などのメリットを強調した勧誘を行い、投資物件には使えないフラット35を契約させるなど不正契約に加担させる事例も報告されている[1]。
普通借家契約では、借地借家法第28条により、大家の都合では正当な事由がない限り、賃貸借の契約が終了できない。2年更新となっていても、更新し続けないといけない。しかも、第30条で、契約書で契約を終了させるような特約を付けることも禁止されている。本来は、普通に居住している者を想定した条文であるが、裁判の判例では、サブリース会社側にも適用される[4]。つまり、大家はサブリース会社に貸し出しているが、大家の都合ではサブリース契約を解除できない。逆にサブリース会社の都合であれば解約できる。
解除不可能なサブリース契約が付いている状況では、その不動産自体を売却することも難しくなるため、大家が不動産を売却することも難しくなる。そして、大家が法律や判例に対して無知なことを使って、サブリース会社が意図的に解除が困難なサブリース契約を結ばせている場合がある。
サブリース会社との契約が定期借家契約(第38条)である場合は、定められた期間で契約が終了するので、少なくともそのタイミングで大家は契約を終了させる(つまり再契約しない)ことができる。
サブリースによる賃貸住宅経営を「相続税対策」といったセールストークによりこれまで大家経験のない人々に対して売り込み、家賃変更や契約打ち切りがある旨を明確にしないまま契約に至り、後にトラブルとなる事例が数多く存在する[7]。しかし、賃貸住宅経営における家主は一般の不動産売買における「消費者」ではなく、あくまで「事業者」であり、サブリース契約は事業者同士の契約なので、契約内容の詳細に関する確認を怠っても、事業者(家主)の責任とされてきた[8][9]。
サブリースを所管する国土交通省は関係機関への苦情・相談が相次ぐ状況を把握しており、2011年から賃貸住宅管理業者登録制度[10]を設け、賃貸住宅管理業者に登録したサブリース業者に対して重要事項の説明などのルールを定めた賃貸住宅管理業務処理準則の遵守を求めてきた。しかし、その後もトラブルは絶えなかったため、2015年7月29日、国土交通省土地・建設産業局不動産業課長の名義で関係各団体に対して、改めて「サブリース事業に係る適切な業務の実施について」という通知[11]を出す事態となった。
さらに2015年10月には「賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会」を設置し[12]、そこで取りまとめられた対応策をもとに2016年8月12日に「賃貸住宅管理業者登録規程」および「賃貸住宅管理業務処理準則」の改正を行った[13]。この改正により、サブリース業者による大家への重要事項の説明および契約成立時の書面交付が義務化され、これに違反した場合は業者名を公表するといった措置がとられることとなった[7]。
2016年の「賃貸住宅管理業者登録規程」および「賃貸住宅管理業務処理準則」の改正後もサブリース問題は減ることなく、2018年4月のシェアハウス「かぼちゃの馬車」破綻のような大規模問題事例が生じたことで、2020年、国土交通省はサブリースを規制する新法を提出することとなった[14][15]。この新法では、
といった規制が新たに課される内容となっている。
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