サルファ薬
スルホンアミド部位を持つ合成抗菌剤・化学療法薬の総称 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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サルファ薬(サルファやく、英: sulfonamides)とは、スルホンアミド (-S(=O)2-NR2) 部位を持つ合成抗菌剤・化学療法薬の総称。生物由来ではないため、抗生物質とは呼ばれない。サルファ剤(サルファざい)とも呼ばれる。
サルファ薬は葉酸生合成系のうちジヒドロプテロイン酸合成酵素(英語版)の基質であるパラアミノ安息香酸 (PABA) に構造的に類似しており、競争阻害物質としてジヒドロプテロイン酸合成を阻害する。これにより葉酸代謝物であるテトラヒドロ葉酸の細胞内供給を決定的に不足させ、結果的にプリンとチミジンの新規合成を停止させることによって、病原微生物のDNA合成とRNA合成を阻害し静菌的に作用する。細菌のみならず真菌や原虫にも効果を示すが、ヒトは葉酸の生合成系を欠いているため、サルファ薬は病原体にのみ選択的に作用する。
ジヒドロプテロイン酸合成酵素が変異を起こし、PABA親和性が変化することにより耐性菌が出現する。細菌が一種類のサルファ薬に対して耐性を獲得すると、他のサルファ薬に対しても耐性を示すようになり、これを交差耐性という。単独で使用すると耐性菌が出現しやすいこと、また相乗効果が期待できることから、サルファ薬は葉酸活性化阻害薬(トリメトプリム)と併用されることが多い。
プロカインは分解されるとPABAを生じるため、プロカインとの併用ではサルファ薬の作用は低下する。
食品安全委員会の「食品を介して人の健康に影響を及ぼす細菌に対する抗菌性物質の重要度のランク付けについて」ではスルファメトキサゾール/トリメトプリムがランクII(高度に重要)に位置づけられている。
日本において、動物用医薬品として承認されているものとしては配合剤であるものを含めると、スルファジメトキシン、スルファモノメトキシン、スルフイソキサゾール、スルファドキシン、スルファメトキサゾール、スルファジアジン、スルファクロルピリダジンナトリウム、スルファメラジンナトリウムがある。