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スープラナショナリズム
国家より上位にある次元の主体に権限を譲渡するという概念 ウィキペディアから
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スープラナショナリズム(英語:supranationalism)とは、国際法や政治学(とくに国際関係論)において、「国家より上位にある次元の主体に国家主権(の一部)を譲渡することで国家統合が進展する」とする立場[1]。
日本語では「超国家主義」という表現があてられることが多いが、国粋主義や急進的国家主義などのような「ウルトラナショナリズム (ultranationalism)」とは区別が必要である[注 1]。
スープラナショナリズムの反対の立場は、政府間主義である。
概要
歴史的背景
超国家的な主権統合の構想は、欧州統合に至る歴史を通じて提起されてきた。主権国家の出現する近代以前から戦間期に至るまで「ヨーロッパ」の平和構想はさまざまに存在していたが(デュボアの「キリスト教共和国」構想、クーデンホーフ・カレルギーによる「パン・ヨーロッパ」など)、戦後復興・ドイツ問題への対処・冷戦構造の固定化という時代情勢の中で、ヨーロッパ統合を伴う第二次世界大戦の戦後構想はロベール・シューマンやジャン・モネによるシューマン宣言へと収斂した。このヨーロッパ統合構想によって1951年に欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)設立のためのパリ条約が調印された[3]。同共同体の「高等機関(High Authority)」は、「超国家的(supranational)」な性格をもつと明記され[4]、国家主権の部分的移譲を伴う超国家的統合が開始された。
統合理論としての新機能主義
→詳細は「新機能主義」を参照
このような超国家的な欧州統合は、ヨーロッパ大での連邦化を志向し、個別の非政治的領域から次第に統合の領域が「波及(spill over)」し拡大すると考えるエルンスト・B・ハースによる新機能主義(neo-fuctionalism)によって理論的に支持されていた[5]。
新機能主義の衰退と超国家主義としての再建
新機能主義は1970年代の欧州統合の停滞によって説得力を失ったが、1986年に調印(翌年発効)された単一欧州議定書によって1992年度までの単一市場導入が決定し、欧州統合は経済的・政治的に進展した。ストーンスウィートとサンドホルツは、これをスピル・オーバーによって説明するのではなく、政治的統合と超国家的制度の形成過程をEU国境の取引の増加に注目して説明する「経済活動ベース(transaction-based)」の統合理論(超国家主義)として確立した[6]。
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法的特徴
国家の主体性についての法原理
超国家的法令の優位性
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事例
超国家的な組織の事例として、欧州連合の一部となっていた欧州共同体や、欧州原子力共同体、東南アジア諸国連合、アンデス共同体、メルコスール、アフリカ連合、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体がある。最も古い事例としては欧州石炭鉄鋼共同体があったが、これはパリ条約が発効から50年で失効する規定があったため、同共同体は2002年に消滅した。
超国家的機関ははっきりとした、また均衡の取れた機構や、参加国間の緊密な法律上の結束を持つことが特徴である。取り決めにより協議や柔軟性を持つ北米自由貿易協定やアメリカ・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定といった統合方式では、超国家的な統合モデルは明確に拒絶されており、政府間主義を志向している。
脚注
関連項目
参考文献
外部リンク
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