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漫画『北斗の拳』の登場人物 ウィキペディアから
トキは、漫画『北斗の拳』に登場する、架空の人物。
カイオウ、ラオウの実弟。ジャギ、ケンシロウの義兄、サヤカの実兄。
北斗神拳史上最も華麗な技の使い手であり、空中戦でその真髄を存分に発揮する。ラオウやケンシロウはもちろん、猜疑心が強かったジャギですらその才覚、技量を認めていたほどで、伝承者に最もふさわしい人物であった。しかし核戦争の際、定員となったシェルターにケンシロウとユリアを入れるため、自ら犠牲となって死の灰をあびて被曝し、それによる病によって継承者争いから脱落する。
元々、医学者として人を救いたい夢を持ち[1]、以降は「死ぬまでにどれだけの人を救うことができるか、それが自分の生きた証」であると考え、人の命を助ける人間として生きる決意をする。「奇跡の村」などで北斗神拳の原理を応用した医療行為を行って多くの民衆を救った。
奇跡の村崩壊後は、ラオウの監獄都市カサンドラにあえて収監され、自身の偽物アミバを倒したケンシロウとの再会を待った。その後レイと共にケンシロウと同行、ラオウの暴虐を実際に目の当たりにし、その野望を阻止する為に拳士として再び立ち上がる。
身長188cm、体重95kg、バスト125cm、ウエスト87cm、ヒップ103cm、首周り43cm。(データは週刊少年ジャンプ特別編集『北斗の拳 SPECIAL』の「拳聖烈伝」による)
肩まで達するロングヘアスタイルに鉢金を付けており、頭髪は茶髪(TVアニメでは黒髪)「奇跡の村」で活動をしていた時点でも、若々しい容貌をしていたが、カサンドラ入牢後は口髭と顎髭を薄く蓄え、容貌も衰え、髪の色も白髪に変色していた。
ケンシロウの少年時代、滝に打たれる修行中の彼が頭上から落ちてきた流木に身を潰されそうになったところを、身を挺してかばった結果、背中に大きな傷を負い、以降もその時の傷跡が残る。
北斗4兄弟の中では誰よりも紳士的な雰囲気を漂わせている。
衣装のデザインは終始白を基調とした服装となっている。
テレビアニメ版では第3部「乱世覇道編」以降は左肩に茶色の肩当とそこから同色のタスキ掛け状のベルトを着用している。
物語中、屈指の人格者。核戦争後の混乱の時代には不釣合いなほどに、我欲や野望とは無縁の、伝統や戒律を遵守する性格の持ち主。常に自分と周囲を知り、善悪を分かつ。
北斗神拳の修行の際も伝承者の座に固執することなく、ライバルでもある義弟のケンシロウを助けたり、あくまで兄ラオウを目指すとリュウケンに語ったりしたこともある。このラオウを目指す姿は、彼の抱いた唯一の秘めた野心とも言える。カサンドラから救出後、再び闘いの場に引き出されると、一人の拳法家としてあくまで自分が目指したラオウとの闘いに余命を燃やす。
少年時代のラオウは、「もし自分が道を外れた時にはトキの手で自分を倒してくれ」と約束し、この言葉をトキは終生忘れておらず、ラオウと戦った際には、その野心さえなければ自分やケンシロウは喜んで伝承者の座をラオウに譲っていたと涙したこともあった。
ラオウと同様、後付での設定が少なからずあり、リュウケンの養子になった経緯などには幾つかの矛盾点がある。ラオウと二人、養子に迎えるのはどちらか一人として崖に突き落とされたが、ラオウが彼を抱えて崖をよじ登ってみせたため、リュウケンの養子となったという。当初はあくまで伝承者候補ではなく、ラオウがその面倒を見るという条件での養子入りであった。しかしある時、自分が可愛がっていた子犬(アニメでは鳥)がゴロツキに殺されたことに怒り狂い、そのゴロツキを叩きのめしてしまう。駆け付けたリュウケンは、トキがリュウケンとラオウの稽古を覗き見しただけで北斗神拳の技を体得してしまうほどの天与の才を秘めていることに気付き、彼自身の希望もあって道場での稽古を許され、伝承者候補となる。
その風貌のモチーフはイエス・キリストであり、自己犠牲的な行いや弱者救済のエピソードなども、これに準じたものである(宝島社刊『北斗の拳 完全読本』)
トキが持つ北斗神拳の特性は、ラオウやケンシロウの拳質が闘気を前面に押し出す「剛の拳」なのに対し、静水の如く拳を受け流して隙を突く「柔の拳」にある。ラオウは、トキの「柔の拳」を恐れるあまりに、部下に対しトキとケンシロウの合流を阻止するように厳命していたほどで、そのためにトキをカサンドラに幽閉した。しかしトキは、病の故に追うのではなく待つべきだと確信し、「奇跡の村」が襲撃された際にあえてカサンドラでケンシロウと合流することを図って、囚われの身になっていたのである。
実際に、マミヤの村で初めて、ラオウにケンシロウと二人で対峙した際、ケンシロウと組んで2対1ならば勝てる状況であったにもかかわらず、「北斗神拳に2対1の戦いはない」「見るのもまた戦いだ」とケンシロウの秘孔を突き、自分が声をかけない限り動けないようにして、自身の「柔の拳」による戦い方をケンシロウに見せようとした。
しかし、当のトキにとって「柔の拳」はあくまで自身の才能で体得したものに過ぎず、彼自身は少年期よりラオウの「剛の拳」を目指していた。それ故に後述するラオウとの最終決戦ではあえて「剛の拳」を使った。
北斗神拳の技・主に「剛の拳」にかかった者は激痛の後に絶命することがほとんどだが、トキはその慈悲深さから、快感を覚えさせ苦痛を与えない経絡を突く、又はそのような快感を引き起こす技を使う。
これらは「北斗有情拳」と総称され、特にトキのそれにかかると天国すら感じると言われている。トキが劇中最初に見せた北斗有情拳(北斗有情破顔拳)では、二人の敵が腕や脚が妙な方向に勝手に曲がっていくのを目にしてもなお痛覚ではなく快感を覚えながら破裂していった。 ケンシロウを上回る優しさを持つトキは、どんな悪党に対しても必ず憐れみを以って葬り去る技として「北斗有情拳」を用いるのである。
原作において「柔の拳」はトキの優しさと、その拳を会得できるだけの才能があったからこそ成り立っているような印象を有するが、トキが主人公のスピンオフ作品『銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝』劇中において、トキは「柔の拳」について「北斗神拳という、血生臭い暗殺拳を身につけた罪悪感が生んだ拳」とも語っている。
洞察力にも長けており、ラオウがついに見抜けず、ケンシロウも一度惨敗して二度目の戦いの中でようやく気付いたサウザーの身体の秘密も察していた。
病を背負った身体でラオウに挑むために、最終決戦では、自らの残命を縮めても生を呼び覚ます秘孔「刹活孔」を突くことで一時的に剛力を得る。こうして死を覚悟して、ラオウと同じ「剛の拳」で対抗し、「天翔百裂拳」でラオウに膝をつかせるまで追い詰めたが、「刹活孔」を突いて徐々に弱っていく拳では、ことごとくとどめを刺すに至らず、ラオウの涙と共に繰り出された拳により敗北した。
決着の後、ラオウはトキに拳を振り下ろすも、わざと狙いを外し、「拳王を目指した男トキは死んだ。此処にいるのはただの病と闘う男」と発言。トキの命までは奪わず、体をいたわるように告げ、その場を後にした。その後、トキは自身の村で医療活動に従事するが、「刹活孔」を突いた影響で、もはや余命も僅かで病の進行は著しいものがあり、村人達への医療活動にも支障をきたす状況だった。そこに追い討ちをかけるかの如く、天狼星のリュウガに襲われてしまう。しかし病んでなお眼力の高いトキは、リュウガの真意を読み取ると自ら甘んじて致命傷を受け、リュウガの居城へ連れて行かれる。トキは、危急の知らせを聞き駆けつけたケンシロウが、真の怒りを覚え、リュウガに対しとどめを刺さんとする刹那に現れると、ケンシロウに「哀しみを怒りにかえて生きよ」と諭し、彼に未来を託して、既に事切れたリュウガを腕に抱え、立ったまま息を引き取った。
死後、ラオウの前に幻影として現れるようになり、ラオウを論していた。
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