ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡
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ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡[4][5]、略称 ローマン宇宙望遠鏡[5][6][7] (英: Nancy Grace Roman Space Telescope[8], Roman Space Telescope[8]) は、2020年代半ばの打ち上げを目指し、日本を含む国際協力で進められているアメリカ航空宇宙局 (NASA) の広視野赤外線宇宙望遠鏡計画。Wide Field Infrared Survey Telescope (広視野近赤外線サーベイ宇宙望遠鏡[9])の頭文字を取って WFIRST という名称で計画が進められていたが、2020年5月20日、NASAは正式名称を Nancy Grace Roman Space Telescope と定めたと発表した[8]。ナンシー・グレース・ローマンは、1960年代以降NASAの宇宙望遠鏡計画実現に重要な役割を果たし、特にハッブル宇宙望遠鏡の計画実現のためNASA内部や議会へ積極的な働きかけをしたことから「ハッブルの母 (Mother of Hubble) 」と呼ばれた女性科学者であった[8]。
ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡 Nancy Grace Roman Space Telescope | |
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ローマン宇宙望遠鏡のレンダリングモデル(2020年5月) | |
所属 | NASA / JPL / GSFC |
主製造業者 | Harris Corporation |
公式ページ |
roman |
国 | アメリカ合衆国 |
運用者 | NASA / JPL / GSFC |
計画の期間 | 5年(目標10年)[1] |
打上げ場所 | ケネディ宇宙センター[1] |
打上げ機 | Falcon Heavy[1] |
打上げ日時 | 2026年〜2027年(予定)[1] |
物理的特長 | |
質量 | 打ち上げ時 4,166 kg[2] |
発生電力 | ~ 2,500 W(平均)[2] |
軌道要素 | |
周回対象 | 太陽 - 地球の L2[3] |
軌道 | 準ハロー軌道[3] |
近点高度 (hp) | 188,420 km |
遠点高度 (ha) | 806,756 km |
搭載機器 | |
WFI |
広視野カメラ[4] (Wide Field Instrument) |
CGI |
ステラーコロナグラフ[4] (Coronagraph Instrument) |
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2010年に全米科学アカデミーによって”今後10年間で行う天文研究”で最優先計画として推奨された。2012年にアメリカ国家偵察局から、L3ハリス・テクノロジーズに作らせた口径2.4mの主鏡の提供を受けた後[10][11]、それをベースに2016年2月17日、WFIRSTはNASAの公式ミッションに指定された[12]。2020年3月2日、WFIRSTプロジェクトは、技術上のマイルストーンをクリアし、ハードウェアの開発が可能なフェーズCの段階に進むことが認められた[13]。主鏡表面にはJWSTよりも短い波長の近赤外線領域に特化させるために銀コーティングが施されている[14]。
2021年4月の時点で20個ほどしか見つかっていない恒星ブラックホールによる重力マイクロレンズ効果の観察による発見[15]、Ia型超新星観測によるダークエネルギー解明[16]、コロナグラフによる系外惑星直接観測、暗黒物質やその候補である「はぐれ惑星」などの発見[14]などが多数の成果が期待されている。
2021年9月29日、設計作業が完了[17]。