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哲学の用語 ウィキペディアから
ニヒリズムあるいは虚無主義(きょむしゅぎ、英: Nihilism、独: Nihilismus)とは、今生きている世界、特に過去および現在における人間の存在には意義、目的、理解できるような真理、本質的な価値などがないと主張する哲学的な立場である。名称はラテン語: nihil(無)に由来する。
ニヒリズムという語は、1733年にドイツ人フリードリヒ・レブレヒト・ゲッツ(Friedrich Lebrecht Goetz)が De nonismo et nihilismo in theologia caeterisque eruditionis partibus obviot というラテン語の書で、ラテン語で用いている。文学的な意味付けであり、連続論に対置された原子論の意味だった。フリードリヒ・ニーチェは、今まで最高の価値と人々がみなし、目的としていたものが無価値となる事態のことをニヒリズムと呼んだ[1]。
ニーチェによれば、ニヒリズムにおいて私たちが取りうる態度は大きく分けて3つある。
ニーチェは積極的ニヒリズムを肯定し、永劫回帰の思想の下、自らを創造的に展開していく、鷲の勇気と蛇の知恵を備えた「超人」としての道を切り拓くことをすすめた。
ハイデッガーによれば、ニヒリズムの温床は、現実や現世からの超越を主張する形而上学的立場だとされる。したがって「ニヒリズムの超克」という視点は、キリスト教サイドから、それ自身がニヒリズムだとされた。そのため、キリスト教ニヒリズムの克服を主張したニーチェは「ヨーロッパで最初の完全なニヒリスト」とも見なされる。「ニーチェの最も過激な門人」と評されるエルンスト・ユンガーは、現代世界は、ニヒリズムの境界を通過したと言い、ハイデッガーとニヒリズム論を交換している。
コロラド州立大学の哲学者ドナルド・A・クロスビーは、ニヒリズムを5つの類型に分類している[2]。
実存的ニヒリズムは上記のように、20世紀に入り哲学や文学で追求された現代的なニヒリズムである。ニーチェは2から5までのニヒリズムを網羅的に追求している。政治的ニヒリズムは19世紀のアナーキストが盛んに主張した論で、当時政治的ニヒリズムを信奉する過激なニヒリストは今日のテロリストと同じく社会問題となり、オスカー・ワイルドの戯曲『ヴェラ、あるいはニヒリスト』やジョゼフ・コンラッドの『密偵』など、文学のテーマともなった[2]。
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