バガヴァッド・ギーター
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『バガヴァッド・ギーター』(サンスクリット: श्रीमद्भगवद्गीता、 Śrīmadbhagavadgītā、 発音 [ˈbʱəɡəʋəd̪ ɡiːˈt̪aː] ( 音声ファイル))は、700行(シュローカ)[1] の韻文詩からなるヒンドゥー教の聖典のひとつである。ヒンドゥーの叙事詩『マハーバーラタ』第6巻にその一部として収められており、単純にギーターと省略されることもある。ギーターとはサンスクリットで詩を意味し、バガヴァンの詩、すなわち「神の詩」と訳すことができる。
『バガヴァッド・ギーター』はパーンダヴァ軍の王子アルジュナと、彼の導き手であり御者を務めているクリシュナとの間に織り成される二人の対話という形をとっている。兄弟、親族を二分したパーンダヴァ軍とカウラヴァ軍のダルマ・ユッダ(英語版)(Dharma-yuddha、同義的に正当化される戦争)に直面したアルジュナは、クリシュナから「躊躇いを捨てクシャトリヤとしての義務を遂行し殺せ[2]」と強く勧められる。このクリシュナの主張する戦士としての行動規範の中には、「解脱(mokṣa)に対する様々な心構えと、それに至るための手段との間の対話[3]」が織り込まれている。
『バガヴァッド・ギーター』は、バラモン教の基本概念であるダルマと[4][5][6]、有神論的な帰依(バクティ)[7][6]、ヨーガの極致[5]であるギャーナ・ヨーガ、バクティ・ヨーガ、カルマ・ヨーガ、ラージャ・ヨーガの実践による解脱(モークシャ)[5][訳注 1]、そしてサーンキヤ哲学[web 1]、これらの集大成[4][5]をなしている[注 1]。
いままでにいくつもの注釈書が書かれており、『バガヴァッド・ギーター』の教義の本質に関して様々な角度から語られている。 その中でもヴェーダーンタ学派の論評者はアートマンとブラフマンの関係を様々に読み解いている。そして戦場という『バガヴァッド・ギーター』の舞台は、人間の倫理と道徳上の苦悩を暗示していると捉えられてきた。
『バガヴァッド・ギーター』の提案する無私の行為はバール・ガンガーダル・ティラクや、マハトマ・ガンディーを含む多くのインド独立運動の指導者に影響をあたえた。ガンディーは『バガヴァッド・ギーター』を「スピリチュアル・ディクショナリー」と喩えている[8]。