ヘリコプターの操縦装置
ウィキペディア フリーな encyclopedia
ヘリコプターのパイロットは、ヘリコプターの操縦装置を操作することにより、その飛行を制御する[1] 。操縦系統の動きは、ローターへと機械的に伝えられ、ローター・ブレードに空力的効果を生じさせて、ヘリコプターを所望の方向に移動させる。前後に傾けたり(ピッチ)、左右に傾けたり(ロール)するためには、回転するメイン・ローター・ブレードの迎え角を操縦装置によって「サイクリック(周期的)」に変化させ、回転面の位置によって異なる大きさの揚力を生じさせる必要がある。ローター全体の揚力を増やしたり、減らしたりするためには、すべてのブレードの迎え角を操縦装置によって「コレクティブ(全体的)」に同量だけ変化させる必要があり、そうすることによって、上昇・下降および加速・減速を行うことができる。
ヘリコプターには、一般的に、サイクリック・スティック、コレクティブ・レバーおよびアンチトルク・ペダルの3種類の操縦装置が装備されている[2] 。より複雑なヘリコプターにおいては、「ミキシング・ユニット」により、サイクリックおよびコレクティブが相互に連結されている場合もある。ミキシング・ユニットとは、双方の操縦装置からの入力を「ミックス(混合)」してから翼面に伝えることによって、所望の効果が得られるようにする機械装置または油圧装置である。ガバナー(調速機)を装備しない比較的小型のヘリコプターにおいては、ローター速度を手動で調節して一定に維持する必要があるため、手動スロットルも操縦装置の1つとして扱われる場合がある。ガバナーを装備しているヘリコプターにおいては、メイン・ローターのコレックティブ・ピッチを操作しても、ローター速度が自動的に調節されるため、より安定し、かつ正確な飛行が可能となっている。