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アイヌに伝わる蛇神 ウィキペディアから
ホヤウカムイは、アイヌに伝わる蛇神。名前は「蛇の神」を意味する。ホヤウまたはオヤウカムイともいう。
アイヌの龍蛇は概して、湖沼に棲み悪臭を放つものと考えられており、ホヤウ(hoyau "蛇"。樺太方言で"蛇"を意味する言葉とされる[1]) 、チャタイ(chatai, catay 日本語の"蛇体"の借用語)、サキソマエップ[注 1]またはサクソモアイェプ(sak-somo-ayep "夏には言わせぬ者"・"夏季にその名を口にしてはならない者"; サㇰ"夏"+ソモアイェ"人が言わない+ㇷ゚"者")などと呼称される[5][1][6]。
また、ある伝承によればホヤウ(オヤウ)はサキソマエップの一族ともいわれる[2]。更科源蔵は、
サクソモアイェプは日高地方西部の湖沼に棲むといわれ、日高の川筋には必ずどこかにいたという。その日高地方の伝承によれば、サクソモアイェプは、翼を生やした蛇体の姿であり、全身が薄い墨色で目と口の周りが朱色、俵のような胴体で頭と尾が細く、鋭く尖った鼻先で
別の伝承によれば、有翼なものは、ラプウシオヤウと称するとされるが[2]、知里真志保の説明によればホヤウが俗名でラプシヌプルクル(翅の生えた魔力ある神)が神名である[1]。
サクソモアイェプ("夏には言われぬ者")の異名をもつが、それは竜蛇が夏や火のそばでは力を得るが、冬や寒さには弱まり体の自由が利かなくなるという、冬に冬眠する蛇のような習性からきている[1][6][3]。寒さを厭うので(巫女に憑依しては)「火をたけ、火をたけ」と訴えるという[1]。
サクソモアイェプはひどい悪臭を放ち、この体臭に触れた草木は枯れ果て、人間がホヤウカムイの居場所の風下にいると体毛が抜け落ちたり、皮膚が腫れ上がり、近づきすぎると皮膚が焼け爛れて死ぬことすらあるともいう[7][8]。鵡川の川口から日高寄りにあるチンという集落でも、ホヤウカムイの棲むとされる沼がカムイト(神沼の意)と呼ばれ、人々が付近を通る際にはホヤウカムイの害を避けるために、丘の上から沼の様子を確認してから通ったという[8]。
日高山脈の主峰・
ある神謡(ユーカラ)によれば、ホヤウの毒が人にも神にも災厄だったため、オキクルミ神が遣わされ、竜蛇は上流にある人里にいくがよいと誘われる。その里では祝言らしかることにいそしんでおり、老人に娘との婚姻を勧められたうえで魚をふるまわれるが、食べたとたん腹痛を訴えて死ぬ。人里は見た目と違い、じつはスズメバチ(シソヤ)の集落で、老人は蜂たちの長であった[9]。
またジョン・バチェラーが明治の頃に採取したアイヌの伝承によれば、人間が蜂や蟻類に刺されるのは、すべて大蛇のしわざとされていた[10]。さらには説話によれば、雌の大蛇の誘惑を勇士が拒み、その罰として千年の寿命を与えられた;勇者はついに大蛇を打ち滅ぼし、その体は朽ちて破片が蜂や蟻になったという[10]。
竜は
洞爺湖の
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