マジカル・ニグロ
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マジカル・ニグロ(Magical Negro)は特にアメリカ映画において白人の主人公を助けに現れるストックキャラクター的な黒人のことである[1][2]。しばしばすぐれた洞察力や不思議な力を持った存在として描かれるマジカル・ニグロはアメリカにおいて長い伝統を持つキャラクター類型である[3] 。
しかし、現代に入ってもこうした摩訶不思議なキャラクターが使われ続けることに不快感を表明する者が多く、アメリカの黒人社会はその代表的存在である。2001年にもワシントン州立大学とイエール大学で映画論を教えるスパイク・リーは、大前提であるかのようにマジカル・ニグロを手法として使い続けるハリウッドに肩を落としている。リーによれば、例えば2000年の映画『バガー・ヴァンスの伝説』は、いまなお「超一流のマジカル・ニグロ」を登場させている[4][5][6] 。
批評家が「ニグロ」という言葉を使うのは、それがすでに時代遅れであり、ときに侮辱的でもあるからである。つまり白人を助けるために献身的に立ち回る「魔法のような黒人」というキャラクターは、サンボや高貴な野蛮人といった、人種を表現する上でのステレオタイプにも通じる反動的な存在であるというメッセージが明確に示されているのである[3]。