ラジカル (化学)
不対電子をもつ原子や分子、あるいはイオンのこと / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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ラジカル (radical) は、不対電子をもつ原子や分子、あるいはイオンのことを指す[1]。フリーラジカルまたは遊離基(ゆうりき)とも呼ばれる。[2]
また最近の傾向としては、C2, C3, CH2 など、不対電子を持たないがいわゆるオクテット則を満たさず、活性で短寿命の中間化学種一般の総称として「ラジカル(フリーラジカル)」と使う場合もある。[3][4]
通常、原子や分子の軌道電子は2つずつ対になって存在し、安定な物質やイオンを形成する。ここに熱や光などの形でエネルギーが加えられると、電子が励起されて移動したり、あるいは化学結合が二者に均一に解離(ホモリティック開裂)することによって不対電子ができ、ラジカルが発生する。
ラジカルは通常、反応性が高いために、生成するとすぐに他の原子や分子との間で酸化還元反応を起こし安定な分子やイオンとなる。ただし、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル (DPPH) など、特殊な構造を持つ分子は安定なラジカルを形成することが知られている。
多くのラジカルは電子対を作らない電子を持つため、磁性など電子スピンに由来する特有の性質を示す。このため、ラジカルは電子スピン共鳴による分析が可能である。さらに、結晶制御により分子間でスピンをうまく整列させ、極低温であるが強磁性が報告されたラジカルも存在する。1991年、木下らにより報告されたp-Nitrophenyl nitronylnitroxide (NPNN)が、最初の有機強磁性体の例である (Tc=0.6K)。
紛らわしい表現として活性酸素のことを単に「ラジカル」とよぶケースもある[5]。これは、活性酸素として働く分子が、ヒドロキシラジカル等反応性の高いラジカルであるためであるが、ラジカルの全てが活性酸素として働くわけではない。