二分ヒープ
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二分ヒープ(にぶんヒープ,バイナリヒープ,Binary heap)とは、二分木を使って作られるヒープ(データ構造)の特に単純な種類のひとつである。それは、二分木に、以下の2つの制約を追加したものとみなせる。
- 要素間の順序関係に従った比較によって、各々のノードはそのノードの子よりも大きいか等しくなるように配置される(heap property)
- 木は完全にバランスの取れた二分木(すべての葉は同じ高さにある)になるか、木のもっとも高い方がすべて埋まっていないならば、ノードは左から右へ順に埋まっていく(shape property)
ここで「より大きい」とは、比較のためにいかなる比較関数を選択するかによって意味づけられる。ノード内のデータが常に数値であるとは限らないので、数量的な『より大きい』である必要はなく、数理的に言うところの全順序であればよい。
また、heap propertyのような制約を持つ木を一般に「部分順序付き木」と言う。ヒープは、部分順序付き二分木に、さらにshape propertyの制約を加えたものである。配列を使って実装できるという特性がある(後述)。
比較が数量的な「より大きい」であるヒープは最大ヒープ (max heap) と呼ばれる。また、比較が数量的な「より小さい」であるヒープは最小ヒープ (min heap) と呼ばれる。たとえば優先順位付き待ち行列において、小さい値が高い優先度を意味するのであれば、最小ヒープを使う。
ヒープ内の子同士の順序は、heap propertyによって特定できないことに注意すること。つまり、親を同じくする二つの子は、制約を壊さない限り自由に入れ替えることができる(Treapと比較せよ)。