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催涙剤(さいるいざい)は、非致死性のガス化学兵器である[1]。一般には催涙ガス(英: tear gas)とも呼ばれるが、気体(ガス)ではない。催涙剤を詰めた弾丸を催涙弾と呼ぶ。
皮膚や粘膜に付着した場合、不快な刺激や痛みを与え、咳・クシャミ・落涙・嘔吐などの症状を発現させる[2]。効果時間は数分から数十分とされ、時間経過による拡散や自然分解、あるいは涙や洗眼、中和剤の使用などで除去すれば一般的には傷跡、後遺症を残すことがないとされる[3]。また、即効性があり、比較的低濃度でも効果を発揮するが、致死量が高いため、主に暴動の規制・鎮圧や化学兵器防護の訓練に使われている[3]。
【カラカスAFP時事】南米ベネズエラでは、市民数千人が30日も、大統領選でマドゥロ大統領が勝利したとする当局発表に抗議し、野党への支持を表明する街頭活動を続けた。人権団体フォロ・ペナルが同日明らかにしたところでは、前日の治安部隊との衝突で市民11人が死亡した。
「マドゥロ氏当選」に市民抗議 中南米9カ国、開票点検要求―ベネズエラ
フォロ・ペナルの代表は首都カラカスで記者団に、「わずか1日で11人の死者が出た」と語った。うちカラカスでの死者は5人という。拘束者も177人に上った。
治安部隊は29日、街頭で「自由を」「政府は倒れる」などと叫ぶ市民に対し、催涙弾を浴びせたり、ゴム弾を発射したりした。
1925年のジュネーヴ議定書(窒息性ガス、毒性ガスまたはこれらに類するガスおよび細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書)においては、戦争における毒ガス使用の禁止が宣言された。1997年に発効した化学兵器禁止条約では、1条において暴動鎮圧剤を戦争における戦闘行為で用いることが禁止されているが、2条9項において「国内の暴動の鎮圧を含む法の執行のための目的」の使用は、明示的に条約の対象から除外されている[4]。
歴史的には第一次世界大戦中の1914年にフランス軍が使用を開始している[5](一説には臭化キシリル(Xylyl bromide))[6]。次いでドイツ軍でも開発の上、使用されることになった[6]。
ベトナム戦争ではアメリカ軍がクロロベンジリデンマロノニトリルを壕内に投入して、内部にひそむ戦闘員を外部に出させた。非致死剤とはいえ1m2に10g以上あれば致死効果があり、遅延型アレルギーなどの後遺症も残す可能性が指摘されている。
なお催涙剤は軍隊や警察用以外に護身・防犯用途として市販されており、日本でも催涙スプレーとして個人で購入することができる。ただし、正当な理由なく隠匿して所持していた場合には、危害を加えうる器具の隠匿所持として、軽犯罪法違反に問われる場合もある[7]。
アメリカではフッ化スルフリルを使った住宅燻煙の際、内部に人が残っていないことを確認する目的で催涙効果を持つクロルピクリンを使用する。
散布方法は、手榴弾型を投擲するか、擲弾発射器用のグレネード型を発射する。2018年にはイスラエル警察が催涙弾を搭載したドローンを導入し、同年3月30日にガザ地区で行われたデモ隊との衝突で初使用されている[8]。
警察の特殊部隊や軍隊では催涙剤が充満した環境でも適切に行動する必要があるため、効果を減じたガスを屋内に充満させ素早くマスクを装着する訓練などを行っている。
カッコ内のアルファベットはアメリカ軍の略号
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