利己的遺伝子
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利己的遺伝子(りこてきいでんし)とは、自然淘汰されるものは個体ではなくその遺伝子であるという、現代進化論や進化生物学における比喩的表現[1][2]。これはリチャード・ドーキンスが用いた表現であり、より自己増殖に有利な働きをする遺伝子がより生存することを意味する[1]。利己的遺伝子論は、自然選択や生物進化を遺伝子中心の視点で理解することであり、遺伝子選択説もほぼ同じものを指す。
概要 利己的な遺伝子 The Selfish Gene, 著者 ...
利己的な遺伝子 The Selfish Gene | ||
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著者 | リチャード・ドーキンス | |
発行日 |
1976年 1980年 | |
発行元 | オックスフォード大学出版局 | |
ジャンル | 進化生物学・進化生態学 | |
国 | イギリス | |
言語 | 英語 | |
形態 | 著作物 | |
次作 | 延長された表現型 : 自然淘汰の単位としての遺伝子 | |
コード | ISBN 978-0198-57519-1 OCLC 2681149 | |
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ドーキンスの生物学書『利己的な遺伝子』について、2018年に進化生態学者の岸由二は本書を名著
と呼び四〇年を生き抜いた本書は、現代の進化論的生態学の視野をみごとに紹介する学術書、当該分野の研究・批評を志す者の必読の入門書として、評価も確定した
と述べている[3]。2016年『ゲノム生物学(Genome Biology)』の論説によれば、本書はダーウィンの進化論を論理的に結論づけた本
であり、おそらく本書の不朽の重要性を最も良く示しているのは、何世代もの科学者たち──この論説の著者らを含む──への圧倒的な影響力であり、本書は科学者たちを刺激して遺伝学、ゲノム科学、進化論を探求させた
[4]。同年『ネイチャー』における科学ジャーナリストのマット・リドレーによればドーキンスが支持して具体化した遺伝子中心の進化観は今や、進化論においても、野生動物ドキュメンタリー番組など一般向けの自然史解説においても、中核をなしている
[5]。