副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
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副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(ふくじんひしつしげき—ほうしゅつ—、corticotropin-releasing hormone, CRH)とは、ヒトのストレス反応に関するペプチドホルモンの一つ[5]。Corticotropin-releasing factor (CRF, 副腎皮質刺激ホルモン放出因子)と呼ばれることもある[5]。主な機能は、副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) の分泌を促進させることである[5]。ストレスに反応して視床下部(PVN)から分泌され、視床下部の底部にある正中隆起の血管網に放出され、下垂体門脈を通って下垂体前葉に到達する[5]。
概要 CRH, PDBに登録されている構造 ...
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下垂体が視床下部によって調節されている可能性は、1950年代に Geoffrey W. Harris によって提唱されていた。視床下部から分離され、培養状態に置かれた前葉細胞は副腎皮質刺激能が低下するが、これは視床下部抽出物により回復する。ロジェ・ギルマンは、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの抽出の前に、最初この因子の抽出を試みたが、1955年から7年もかけて数十万頭にも及ぶ家畜の脳を用いても果たせなかった。1981年になってWylie W. Valeらがヒツジの視床下部から単離して構造を決定した。ヒトおよびラットのCRHはアミノ酸配列が同じで、いずれも41アミノ酸残基から成り、C末端はアミド構造であることが知られている。
CRHの産生にはアルツハイマー病や大うつ病との関連が観察されており[6]、常染色体劣性遺伝病に起因する視床下部コルチコトロピン欠損症は、低血糖症など複数の致命的な代謝的影響を及ぼしうる[5]。