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暗室(あんしつ)は、光を完全に遮断することができるようにする設備を有する部屋。写真現像・焼付用の暗室のほか研究用暗室や診療用暗室(眼科用)がある[1]。
暗室とはもともとは写真フィルムや印画紙の現像、プリントの引き伸ばしなどのために用意された暗い部屋である[2]。現像室とも言う。ただし、写真のデジタル化により暗室の姿は大きく変化しており(後述)[2]、デジタル暗室と区別するため従来の暗室はフィルム用暗室と呼ばれている[3]。
写真現像用の暗室には通常、現像器具や引き伸ばし機や流しが設置されている。感光を防ぐため、窓やドア部分の遮光には遮光カーテンなどを用いる。また、化学薬品を取り扱うため換気扇を必要とするが、一般家庭用の換気扇では遮光が不十分であるため、排気部に遮光装置の付いた特殊な暗室用換気扇を用いる。
現像作業をする際には印画紙を感光させないセーフライト(暗室用電球など)を灯して作業をする。
全暗もしくはセーフライトが必要なのはネガから印画紙への焼き付けの際であり、フィルムの現像だけに限っていえばそれほど大規模な設備は必要ない。フィルムを扱うため全暗が必要な現像タンクへの装填・100ftフィルムのパトローネへの装填などの際には、ダークバッグという全暗を作れる持ち運び可能な袋が使われることもある。
写真による作品制作を生業とする写真家にとって暗室は作品を生み出すためのアトリエである。
著名な写真家のなかには、土門拳や奈良原一高など押入れ暗室(後述)から始めた者も多い。
報道写真家として有名なロバート・キャパが従軍カメラマンとして1944年のノルマンディー上陸作戦を取材した際、撮影した数本のフィルムを助手(後にグラフ雑誌ライフで活躍するラリー・バローズ)が現像する際、乾燥に失敗しフィルムのエマルジョンを溶かしてしまった。残った焼き付け可能なコマは数枚であったが、これらがこの上陸作戦を取材した写真として有名である。
暗室専用として設計された部屋には以下のような設備が整えられている。
住宅内に暗室として利用しやすい場所としては、地下室や屋根裏部屋などが挙げられる。しかし、プロや業者などを除いた個人が本格的な暗室を準備することは難しい。住宅事情の厳しい日本では俗に押入れを利用した「押入れ暗室」や和室を利用した「お座敷暗室」と呼ばれる部屋も用いられた。
一部メーカーから、畳1畳から2畳分程度の広さの組み立て式の暗室が発売されている。これはパイプなどで骨組みを組んだ上で暗幕などを張ったものである。
写真のデジタル化によりフィルムの現像等に用いられるようなシビアな条件の暗室は必要なくなったが、暗室が用いられなくなったわけではない[4]。写真がデジタル化された後もカラーマネジメントの観点から環境光のコントロールが必要とされるためデジタル暗室と呼ばれる部屋が使用されている[4]。このデジタル暗室はフィルム現像に用いるような部屋とは姿が異なるため「明るい暗室」と表現される[2]。
デジタル暗室が利用される理由は、デジタル化された作品でもプリントした作品の色彩を環境光の影響を受けずに正確に確認する必要があり、フォトレタッチ作業の際にはモニターへの部屋の光の影響を抑える必要があるためである[4]。デジタル暗室はフィルム用暗室ほどの遮光は必要なく、写真の色彩の正確な確認ができるとともに作業効率を落とさないような環境がふさわしいとされる[3]
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フォトンカウンティング等により、微小な光を検出する必要がある場合においては、無関係な光は測定データの信頼性を毀損するだけではなく、光電子増倍管等の装置を破壊する危険があるため、厳重な暗室が必要である。
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