核爆発による大気・海洋発火説
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核爆発による大気・海洋発火説(かくばくはつによるたいき・かいようはっかせつ)では、大気中または海洋中での核爆発が大気・海洋自体を燃料とする連鎖的熱核反応(熱運動による核融合反応)の引き金となるとかつて考えられ唱えられた説と、その歴史的経緯について述べる。アメリカ合衆国の原子爆弾(原爆)開発計画であるマンハッタン計画の過程で持ち上がったこの説では、原爆の爆発によって、最悪、地球の全表面に及ぶ大規模な破壊が生じる可能性があるとされた。
この可能性は、1942年に物理学者エドワード・テラーによって水素爆弾(水爆)の可能性とともに最初に提起された。その後、物理学者ハンス・ベーテはそれが極めて起こり難いものであるとし、テラーら自らも詳しい分析で後に否定した。一方で、物理学者エンリコ・フェルミのように、その可能性に一定の懸念を抱き続けた学者もいた。最初の核実験である1945年7月のトリニティ実験当時に、この問題を科学者が実際にどの程度真剣に捉えていたかは歴史的議論ともなっている。