真言
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真言(しんごん)とは、サンスクリット語のマントラ(मन्त्र Mantra)の訳語で、「(仏の)真実の言葉、秘密の言葉」という意[1]。『大日経』などの密教経典に由来し、浄土真宗を除く多くの大乗仏教の宗派で用いられる呪術的な語句である。 法華経では、「陀羅尼品第二十六」があり、すでに法華経には呪術的な語句が使用されている。 漢訳経典では、「真言」の他に「密言」、「呪」、「明呪」等と訳される[注 1]。
仏の真実の教えは、この宇宙の真理(法)や隠された秘密を明らかにするもので、本来は人間の言葉で表すことはできないが、方便として世俗の文字・言語を借りてそれに教えを盛り込み、これを観想しこれに心を統一することで、その教えに触れ得るようにしたものが、密教における真言であるとされる。 空海は、真言について「真言は、不思議なものである。本尊を観想しながら唱えれば無知の闇が除かれる。わずか一字の中に千理を含む。この身のままで真理を悟ることができる。」と記している[2]。
仏尊ごとに真言があり、それぞれ出典となる経典が存在する。例えば同じ仏尊でも、成立の過程が異なる『大日経』(胎蔵界)と『金剛頂経』 (金剛界) では真言が異なる。
真言宗の名称は「真言」に由来するが、真言は真言宗のみで使われるものではない。例えば般若心経の最後にある「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶([tadyathā] gate gate pāragate pārasaṃgate bodhi svāhā)」も真言であり、浄土真宗などを除く多くの宗派で読まれている。禅宗においても、消災吉祥陀羅尼や大悲心陀羅尼などが日常的に唱えられる。日蓮宗においては妙法蓮華経陀羅尼品第二十六があり、転読される。