脱分極
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生物学において、脱分極(だつぶんきょく、英: depolarization)または低分極(ていぶんきょく、英: hypopolarization)は、細胞内の電荷分布が変化し、細胞内の負電荷が細胞外よりも少なくなることをいう[1][2]。脱分極は、多くの細胞の機能、細胞間の伝達、そして生物の全体的な生理機能にとって不可欠である。
高等生物のほとんどの細胞では、細胞外部に対して負に帯電した内部状態を維持している。この電荷の差は細胞の膜電位(英: membrane potential)と呼ばれる。脱分極の過程で、細胞の負の内部電荷は一時的に正電荷側に寄る(負電荷が減る)。この負から正への膜電位への変化は、活動電位(英: action potential)を含む、いくつかの過程で起こる。活動電位が起こると、脱分極は非常に大きくなり、細胞膜を横切る電位差の極性が短時間に反転し、細胞内部が正に帯電する。
電荷の変化は、典型的には細胞内へのナトリウムイオンの流入によって起こるが、あらゆる種類のカチオン(陽イオン)の流入や、あらゆる種類のアニオン(陰イオン)の流出によっても起こりうる。脱分極の反対は過分極(英: hyperpolarization)と呼ばれる。
生物学における「脱分極」という言葉の用法は、物理学における用法とは異なり、物理学では極性(つまり、正か負かに関わらず、あらゆる電荷の存在)が 0(ゼロ)に変化する状況を指す。
脱分極は、過分極(英: hyperpolarization)と対立するものとして、低分極(英: hypopolarization)[訳語疑問点]と呼ばれることもある[1][2]。