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アメリカの短編ホラー小説。 ウィキペディアから
『魔道士エイボン』(まどうしエイボン、土星への扉、原題:英: The Door to Saturn)は、アメリカ合衆国のホラー小説家クラーク・アシュトン・スミスが1932年に発表した短編ホラー小説。
魔道士エイボン(土星への扉) The Door to Saturn | |
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訳題 | 「魔道師の挽歌」 |
作者 | クラーク・アシュトン・スミス |
国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
ジャンル | ホラー、ファンタジー |
初出情報 | |
初出 | 『ストレンジ・ストーリーズ』1932年1月号 |
ウィキポータル 文学 ポータル 書物 |
ヒューペルボリアの魔道士エイボンの顛末を描く。文献「エイボンの書」の原著者として知られる人物について、寓話的に語られている。東雅夫は「『エイボンの書』の原著者として名高い魔道士の行末が、奇想とユーモアを交えて描かれる。土星の珍妙怪異な博物誌を活写する荘重で耽美的な筆致は、詩人スミスの独壇場だ」と解説している[1]。
スミスによるクトゥルフ神話作品である。書かれた時点ではまだスミス神話であり、後からクトゥルフ神話大系に組み込まれた。
『ストレンジ・ストーリーズ』1932年1月号に掲載され、本作よりも後にスミスは文献「エイボンの書」を創造した。
後に、ロバート・M・プライスら後続作家達が編纂した書籍『エイボンの書』に収録される。解説ページでは「魔術師エイボンが自らの最後を飾る話によって登場するとは、なんと皮肉なことか!」と述べられている[2]。リン・カーターは、この物語の作者を、エイボンの弟子サイロンとした。死の失踪後にサイロンが、魔術で師の顛末を調べて文書に記録したものだという。
邦訳が複数ある。直訳題は『土星への扉』であり、表題の『魔道士エイボン』は意訳の一つ。
王国で権勢を振るう神官モルギは、魔道士エイボンを敵視し、彼を陥れて捕えるべく出陣する。邪神ゾタクアはエイボンに危機が迫っていることを伝え、追い詰められたエイボンは、異界への扉をくぐり、惑星サイクラノーシュへと逃れる。モルギが乗り込んだとき、エイボンの家はもぬけの殻であり、次元の扉を見つけたモルギは単身後を追う。エイボンにモルギが追い付き、逮捕すると息巻くが、エイボンは場違いだろうと説く。全くわからない異界に二人きり、地球への帰還も望めない。かつての仇敵は、やむをえず旅を共にする状況になる。
神フジウルクォイグムンズハーは、エイボンに「イクイ・オドシュ・オドフクロンク」という謎めいた言葉を告げ、エイボンは託宣と受け取る。2人は、土星人の一種族・ブフレムフロイム族に神の言葉を告げ、彼らは「迷った家畜を連れ戻してきてくれた」両名を賓客としてもてなす。エイボン・モルギとブフレムフロイム族はお互いに敬意を以て付き合うが、エイボンは彼らが実利主義者であるが、神に無関心なことに落胆する。さらに彼らには一風変わった繁殖の風習があった。エイボンとモルギは女王の婿に選ばれ、子作りの名誉を受けるも、あまりの価値観の違いに、2人とんずらして逃げ去る。
続いて2人はイドヒーム族の土地へに至り、エイボンは再び託宣の言葉を口にする。神がエイボンに告げた「立ち去るがよい」というだけの意味の言葉を、イドヒーム族は「町を移動せよ」という神命として受け取る。新しい町グフロムフが出来、エイボンとモルギは終生重用されることとなった。サイクラノーシュでの第二の人生として、魔道士エイボンはゾタクア神の預言者として重んじられ、神官モルギも満足とはいかないが地位を得た[注 1]。
一方で地球のヒューペルボリアに残された、モルギの部下たちにとっては、大問題であった。標的エイボンを取り逃がした上に、長のモルギは戻って来ない。この出来事は、エイボンが強力なゾタクアの力で脱出しモルギまで連れ去ったのだと、世間には信じられていく。かくしてヒューペルボリアでは、イホウンデーへの信仰は衰退し、陰惨なゾタクア崇拝がはびこるようになる。
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