2021年11月北アメリカ太平洋岸北西部水害
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2021年11月北アメリカ太平洋岸北西部水害(2021ねん11がつ きたアメリカ たいへいようがん ほくせいぶ すいがい、英: November 2021 Pacific Northwest floods)は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州および隣接するアメリカ合衆国ワシントン州の一部に被害をもたらした一連の水害である。大気の川の一種であるパイナップルエクスプレスにより、ブリティッシュコロンビア州南部とアメリカ合衆国北西部の一部で豪雨が発生し、洪水や多数の土砂災害が発生した。この自然災害を受けて、ブリティッシュコロンビア州は非常事態宣言を発令した[5]。
太平洋岸北西部の11月14日の総雨量 | |
日付 | 2021年11月14日 - 12月17日 |
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場所 | カナダ・ブリティッシュコロンビア州南部 アメリカ合衆国ワシントン州北西部 |
原因 | パイナップルエクスプレス型の大気の川における一連の降雨系 |
死者 | 少なくとも5人、災害関連死1人[1] |
物的損害 | 25~75億ドル[2][3][4] |
ブリティッシュコロンビア州南部で特に懸念されたのは、カナダ最大の港であるバンクーバーとフレイザーバレー(英語版)およびその他のブリティッシュコロンビア州内やカナダ国内の地域を結ぶ輸送路の深刻な短期的・長期的寸断であった。フレイザーバレーは人口が多く、州内の農業生産の大部分が行われており、鉄道サービスなしでは家畜の飼料供給に限界がある[6]。フレイザーバレーは特に被害が大きく、西のバンクーバー、東のアルバータへの全ての主要ルートが影響を受けた。ブリティッシュコロンビア州北部や南のワシントン州への代替ルートは、山岳地形のため限られている。頻繁に利用されている鉄道ルートであるカナディアン・ナショナル鉄道とカナダ太平洋鉄道、ロウアーメインランド(英語版)と州内のその他の地域を結ぶ全ての高速道路は、いずれも寸断された[7]。
ブリティッシュコロンビア州公衆安全大臣マイク・ファーンワース(英語版)は、軍による派遣が1か月の支援を行った上で12月17日に終了したことを発表した。請負業者、非政府組織、地域の原野火災管理サービスの専任派遣部隊で十分復興を行えるまで状況は改善された[8]。
12月10日、カナダ保険局(英語版)は、水害による損害額が、被保険損害額で少なくとも4.5億カナダドルに上り、ブリティッシュコロンビア州で過去最大の自然災害損害額となったと発表した。ただし、この損害額には、インフラやその他の保険未加入の資産は含まれていない。特に、アボッツフォード地域のスーマスプレイリー(英語版)では、60万以上の家畜が水害により死亡した[2]。再保険会社エーオンは、経済的損害は20億米ドル以上に達するとする推計を12月17日に発表した[3]。また、12月26日に発行されたNGOクリスチャン・エイドの年次報告書では、被害額は最大75億米ドルに達すると推定された[4]。