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21世紀の国土のグランドデザイン(21せいきのこくどのグランドデザイン)とは、国土総合開発法(現・国土形成計画法)に基づく第5次の中期的な日本の国土総合開発計画である。目標年次を2010年から2015年までと定め、1998年(平成10年)3月31日に閣議決定された。ことさらに「第五次全国総合開発計画」「五全総」としなかったのは、これまでの国中心、開発中心の国土計画の考え方とは一線を画す意味を込めており、国土総合開発法が国土形成計画法へと名称を変更するなど国土計画行政転換の流れの嚆矢となった。副題に「地域の自立の促進と美しい国土の創造」を掲げている。
1994年11月の国土審議会において、来るべき21世紀にふさわしい国土づくりの指針を示すため、四全総に代わる新しい全国総合開発計画を策定すること、その目標年次は概ね2010年とし、1996年度中を目途に策定することを予定することなどが了承された。
1995年1月から計画部会の調査審議が開始され、同年12月に「21世紀の国土のグランドデザイン―新しい全国総合開発計画の基本的考え方」がとりまとめられた。そこでは、今なぜ新しい国土計画をつくるのかを述べたうえで、「西日本国土軸」、「北東国土軸」、「太平洋国土軸」、「日本海国土軸」(名称は仮称)の4つの新しい国土軸を形成することによって、これまでの国土構造の流れの転換を図ることが必要であるとした。
その後、1996年12月の「計画部会調査検討報告」、1997年10月の「計画部会審議経過報告」を経て、1998年3月に「21世紀の国土のグランドデザイン―地域の自立の促進と美しい国土の創造」が閣議決定された。
グランドデザインでは、まず国土をめぐる諸状況の大転換として、(1)国民意識の大転換、(2)地球時代、(3)人口減少・高齢化時代、(4)高度情報化社会の4つを挙げ、21世紀の文明にふさわしい国土づくりを進めていくためには、国土構造形成の流れを、太平洋ベルト地帯への一軸集中から東京一極集中へとつながって来たこれまでの方向から明確に転換することが必要であるとした。
国土構造形成の流れを望ましい方向に導くため、複数の国土軸、すなわち西日本国土軸(いわゆる太平洋ベルト)に加え、北東国土軸、日本海国土軸、太平洋新国土軸の4つの国土軸が相互に連携することにより形成される多軸型の国土構造を目指すこととしている。
多軸型国土構造の形成という長期構想実現に向けての計画期間における5つ基本的課題を掲げ、その達成のため4つの戦略を展開するものとした。
このほか、首都機能と東京問題、基地問題を抱える沖縄の振興の2つを取り組むべき特定課題とした。
計画の実現に向けた取組みとして、地域住民、ボランティア団体、民間企業等の多様な主体による地域づくりを全面的に展開する「参加と連携」を掲げ、公的主体と民間主体、国と地方の間の適切な役割分担の必要性を唱えた。
国土基盤投資については、その重点化、効率化が必要であるとしているが、財政構造改革の集中期間であることにかんがみ、投資規模を示していない。
また、国土計画の理念の明確化の要請や、地方分権、行政改革等の諸改革に対応する必要性が生じているとし、国土総合開発法及び国土利用計画法の抜本的な見直しを行い、新たな国土計画体系の確立を目指すこととした。
グランドデザインで示された4戦略の具体的推進方策を明らかにするため、1999年6月に「『21世紀の国土のグランドデザイン』戦略推進指針」が関係省庁からなる推進連絡会議において決定された。
1998年9月に小渕総理により、生活空間倍増戦略プランが提唱されると、政府は、その一環として地域が自治体の連携により総合的なプランを主体的に作成し国が支援する地域戦略プランを策定推進することとした。国土庁を窓口に関係省庁からなる推進連絡会議が設置され、1999年6月には全国から提出された460のプランが認定された。
国土計画体系の見直しについては、国土審議会において審議が開始され、2000年の審議統括報告、2002年の国土審議会基本政策部会報告、2004年の国土審議会調査会各部会報告と長期にわたる審議を経て、2005年の国土総合開発法の改正、国土形成計画法の制定へとつながっていく。
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