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Β2-ミクログロブリン

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Β2-ミクログロブリン
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β2-ミクログロブリンもしくはβ2-マイクログロブリン: beta-2 microglobulin)は、MHCクラスI分子の構成要素である。MHCクラスI分子は赤血球を除く全ての有核細胞に存在している[5][6]。ヒトでは、β2-ミクログロブリンはB2M遺伝子にコードされている[6][7][8]

概要 B2M, PDBに登録されている構造 ...
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構造と機能

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MHCクラスI分子の模式図

β2-ミクログロブリンは細胞表面でMHCクラスI分子α鎖のα3ドメインの隣に位置している。α鎖とは異なり、β2-ミクログロブリンに膜貫通領域は存在しない。β2-ミクログロブリンの直上にはα1ドメインが位置し、α1ドメインはα2ドメインと隣接している。

β2-ミクログロブリンはMHCクラスI分子α鎖だけでなく、CD1MR1英語版胎児性Fc受容体英語版(FcRn)、Qa-1同種抗原英語版の一種)などのクラスI様分子とも結合する[9]。しかしながら、β2-ミクログロブリン遺伝子はMHC(HLA)遺伝子座の外に位置し、異なる染色体に位置している。

β2-ミクログロブリンの他の機能として、HFE英語版と結合して共に肝臓ヘプシジン英語版の発現を調節する。ヘプシジンは腸細胞の側底膜やマクロファージの細胞膜に位置する鉄輸送体フェロポーチンを分解標的とし、それぞれ食物からのの取り込みそして単核貪食細胞系における再生赤血球からの鉄の放出を減少させる。この機能の喪失によって、鉄過剰症やヘモクロマトーシスが引き起こされる[10]

サイトメガロウイルスの感染時には、ウイルスタンパク質がβ2-ミクログロブリンに結合し、MHCクラスI分子の組み立てと輸送を阻害する[11]

β2-ミクログロブリンを欠失したマウスが作製されている。β2-ミクログロブリンが存在しない場合、細胞表面のMHCクラスI分子は(古典的なものも非古典的なものも)極めて微量検出されるのみである。MHCクラスI分子が存在しない場合、CD8T細胞は発生することができない[12]

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臨床的意義

長期にわたって人工透析を受けている患者では、β2-ミクログロブリンが関節腔にアミロイド線維として蓄積し、透析アミロイドーシス英語版と呼ばれる疾患となる[13]

血中のβ2-ミクログロブリン濃度の低さはHIV感染症の進行の遅さの指標となる場合がある[14]

多発性骨髄腫悪性リンパ腫ではβ2-ミクログロブリン濃度が上昇する場合があり、多発性骨髄腫の診断検査の際に行われるβ2-ミクログロブリン濃度の測定は予後の重要な指標となる。β2-ミクログロブリンの正常値は2 mg/L未満である[15]。2011年時点のデータでは、濃度が4 mg/L未満の患者の生存期間の中央値は43ヶ月であるが、4 mg/L以上の患者ではわずか12ヶ月である[16]。一方で、より予後の良い疾患である意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症英語版(MGUS)とくすぶり型(低グレード)骨髄腫とをβ2-ミクログロブリン濃度で見分けることはできない[17][18]

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出典

関連文献

外部リンク

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