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アムピトリーテー

ギリシア神話に登場する海神ポセイドーンの妃 ウィキペディアから

アムピトリーテー
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アムピトリーテー古希: Ἀμφιτρίτη, Amphitrītē)は、ギリシア神話海神ポセイドーンの妃で海の女王である[1][2]アンフィトリーテー長母音を省略してアムピトリテアンピトリテアンフィトリテとも表記される。名前の意味は「大地を取り巻く第三のもの」、即ち海をあらわす。聖獣はイルカで、象徴はヴェール王笏

概要 アムピトリーテー Ἀμφιτρίτη, 住処 ...
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ネプトゥーヌスとアンピトリーテーのモザイク画。315年~325年頃。ルーブル美術館所蔵。

ローマ神話海水の女神サラーキアと同一視される。

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概要

アムピトリーテーは、ネーレウスオーケアノスの娘ドーリスとの間にもうけた50人の娘ネーレーイデスの1人で[3][4]、ポセイドーンとの間に、トリートーン[5][6]ロデー[6]ベンテシキューメーを生んだ[7]。子供のうち、トリートーンは上半身が人間、下半身がイルカ(または魚)の姿をした海神である。ロデーは太陽神ヘーリオスの妻となった。ベンテシキューメーはエウモルポスを育てたといわれる。アムピトリーテーの三人の子供というのは、彼女自身の三面相を示すもので、トリートーンは幸運の新月、ロデーは刈入れのころの満月、ベンテシキューメーは危険な旧月を現している[8]

神話

要約
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ホメーロスとヘーシオドス

アムピトリーテーは海の女性的化身である[9]ホメーロスの『オデュッセイア』によると、青黒い瞳をしており、大波を起こすとされ[10]、海の巨大な怪魚や海獣を数知れず飼っているとされている[11]。しかしホメーロスにおいては十分な擬人化が進んでおらず、単に海を指すと思われる個所もある[12]ヘーシオドスの『神統記』では、アムピトリーテーは同じネーレーイデスのキューモドケー、キューマトレーゲーとともに、荒れ狂う風を鎮めることができ[13]、またポセイドーンとの間にトリートーンを生んだと詠われている[5]。『ホメーロス風讃歌』の「アポローン讃歌」によると、レートーデーロス島アルテミスアポローンを出産したとき、ディオーネーレアーテミスをはじめとする多くの女神たちとともに立ち会った[14]

ポセイドーンとの結婚

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テーセウスに指輪と王冠を授けるアムピトリーテー。両者の間にアテーナーが描かれている。
前490~500年頃のキュリクス。陶工はエウフロニオス、画家はオネシモス。ルーブル美術館所蔵。

後世の神話ではアムピトリーテーとポセイドーンの結婚の物語が語られている。それによればアムピトリーテーは姉妹たちとともにナクソス島で踊っているときにポセイドーンによってさらわれた[15]。あるいはポセイドーンの求婚に最初は抵抗したが、ポセイドーンからイルカをプレゼントされ、婚姻を承諾した[16]

エラトステネースによると、アムピトリーテーははじめポセイドーンを嫌って海の西端のアトラースのもとに逃げ、彼女の姉妹たちによって匿われた。ポセイドーンがイルカにアムピトリーテーを探させると、1頭のイルカが大西洋の島にアムピトリーテーがいるのを発見し、説得してポセイドーンのところに連れて行った。その結果ポセイドーンはアムピトリーテーと結婚することができ、この功績によってイルカは天に配置され、いるか座となった[17]

オッピアノスもエラトステネースとほぼ同じ神話を述べている。それによるとアムピトリーテーが隠れたのはオーケアノスの宮殿であった。そしてポセイドーンはイルカから隠れ場所を教わると、すぐさま拒絶するアムピトリーテーを奪い、結婚したという[18]

ポセイドーンはもともと大地の神だったが[19]、アムピトリーテーとの結婚によって海も司るようになったともいわれる[20]。アムピトリーテーは、気のおけない妻で、夫の度々の不実を辛抱強く我慢した[21]

テーセウス伝説

アムピトリーテーはテーセウス伝説にも登場する。アテーナイの英雄テーセウスがミーノータウロス生贄としてクレーテー島に連れてこられたとき、ミーノース王は彼がポセイドーンの子であることを信じなかった。ミーノースは自分の指輪をはずして海に投げ入れ、本当にポセイドーンの子ならば指輪を取ってくることができるだろう、と言った。そこでテーセウスが海に潜ると、イルカが彼をポセイドーンの王宮に運んだ。やって来たテーセウスに、アムピトリーテーはミーノースの指輪と、真紅の外套、花冠を授けた[22][注釈 1]

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ギャラリー

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ジャン=ユーグ・タラヴァルの1780年の絵画『アンフィトリテの勝利』。マサチューセッツ州アマーストミード美術館英語版所蔵。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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