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アンドロステロン

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アンドロステロン
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アンドロステロン(androsterone)または5α-アンドロスタン-3α-オール-17-オン(5α-androstan-3α-ol-17-one)は、内因性ステロイドホルモン神経ステロイド、推定上のフェロモンである[1]テストステロン英語版の約7分の1の効力を持つ弱いアンドロゲン(雄ホルモン)である[2]。アンドロステロンはテストステロンおよびジヒドロテストステロン英語版(DHT)の代謝物である。加えて、3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ英語版および17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼによって、アンドロステンジオンやテストステロンといった従来型中間体を迂回してDHTへと元に戻る。そのようなものとして、アンドロステロンはそれ自体で代謝中間体を考えることができる[3][4]

概要 IUPAC命名法による物質名, データベースID ...

アンドロステロンは、GABAA受容体の正のアロステリック調節因子として働く[5]抑制性英語版アンドロスタン神経ステロイドとしても知られており[6][7]、また抗てんかん作用を有する[8]。アンドロステロンの非天然型エナンチオマーはGABAA受容体の正のアロステリック調節因子や抗てんかん薬として天然型よりも高い効果を示す[9]。アンドロステロンの3β-異性体エピアンドロステロン英語版、5β-異性体はエチオコラノロン英語版、3β,5β-異性体はエピエチオコラノロン英語版である。

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生物学的機能

アンドロステロンは一般的にテストステロンの不活性代謝物と考えられており、グルクロン酸抱合硫酸抱合といった抱合を受けた時にテストステロンを人体から取り除くことができる。しかし、アンドロステロンは脳に入ることができる弱い神経ステロイドであり、脳機能に影響を与え得る[8]

フェロモン

アンドロステロンはヒトの腋の下皮膚尿中に見出される[10]。アンドロステロンはヒトの皮脂腺によっても分泌されているかもしれない[10]。アンドロステロンはアンドロステノールと同様の麝香の香りを持つと記述されている[10]。アンドロステロンをヒトが嗅いだ時、ヒトの行動に影響を与えることが明らかにされている[10]

生化学

生合成アンドロステロンとその5β-異性体のエチオコラノロンはテストステロンの代謝物として人体で生産される。テストステロンは5α-レダクターゼおよび5β-レダクターゼによってそれぞれ5α-ジヒドロテストステロンおよび5β-ジヒドロテストステロンへと変換される。3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼはこれらの還元型を5α-アンドロスタンジオール英語版および5β-アンドロスタンジオールへとそれぞれ変換し、これらは次に17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼによってアンドロステロンおよびエチオコラノロンへとそれぞれ変換される。アンドロステロンおよびエチオコラノロンは5α-レダクターゼおよび5β-レダクターゼの働きによってアンドロステンジオンからも形成できる。これらの酵素は5α-アンドロスタンジオンおよび5β-アンドロスタンジオンを形成し、これらは次に3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼおよび3β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼによってアンドロステロンおよびエチオコラノロンへとそれぞれ変換される[8]

代謝

アンドロステロンは、硫酸抱合を受けると硫酸アンドロステロン英語版になり、グルクロン酸抱合を受けるとアンドロステロングルクロニド英語版になる。これらの抱合体は、主に尿中へと排泄される。

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化学

所在

アンドロステロンはマツ花粉中に天然に存在することが知られており、多くの動物においてもよく知られている[11]

歴史

アンドロステロンは1931年にアドルフ・フードリヒ・ヨハン・ブーテナントとクルト・チェルニンク(Kurt Tscherning)によって初めて単離された。彼らは1万7千リットルの男性の尿を蒸留し、50 mgのアンドロステロン結晶を得た。この結晶から、アンドロステロンの化学式がエストロンと非常に似ていることが明らかになった。

出典

外部リンク

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