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ニュージーランド王立協会

ニュージーランドの国立アカデミー ウィキペディアから

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ニュージーランド王立協会(ニュージーランドおうりつきょうかい、The Royal Society Te Apārangi、頭字語 RSNZ: The Royal Society of New Zealand)は、ニュージーランド国立アカデミー、独立法定機関。科学技術と、人文科学社会科学を合わせたニュージーランドで頂点に位置する学会で、補助金を支給し政策に助言する。本部所在地はウェリントン。研究助成金(マースデン助成金および研究フェローシップなど)は、ニュージーランド官公庁の商法革新雇用省英語版から受託して管理する。

概要 英語名称, 略称 ...

イギリス王立協会と強力なコネクションを持ち、学界の発展に貢献する人材交流や情報交換を積極的に行っている。

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活動趣旨

本協会は設立の1997年当時、ニュージーランド王立協会法(2012年改訂)に基づき、以下の活動趣旨を掲げる[2]

  1. ニュージーランド社会において、科学技術を支援する文化を育むこと。これには以下が含まれ、これらに限定されない。
    1. 科学技術に関する国民の意識、知識、および理解を促進すること。
    2. 科学技術教育の推進
  2. 科学技術における卓越性を奨励、促進、および認定すること
  3. 科学者および技術者の専門的ニーズと発展のための基盤およびその他の支援を提供すること
  4. 政府および地域社会に対し、重要な公共問題に関する専門的な助言を提供すること
  5. その他、評議会の判断により、ニュージーランドにおける科学技術の進歩と促進に資する、あらゆる合法的な活動を行うこと

当協会は合計49件の科学と技術系の組織を束ね、提携団体を傘下に置く。個人会員も在籍し、上級会員は評議会が選出する。

歴史

その起源にあたるニュージーランド協会(1851年設立 New Zealand Society)の初代代表は、第3代ニュージーランド副王(現・ニュージーランド総督)ジョージ・グレイが務めた[3] 。1867年にニュージーランド学会法1867 (New Zealand Institute Act 1867) が成立、それまで独立していた科学研究団体の上部組織と位置付けて「ニュージーランド学会」(New Zealand Institute) を設立すると、オークランド学会、ウェリントン哲学協会、カンタベリー哲学協会、少し遅れてオタゴ学会ほかを傘下に置いた[注 5]。 植民地博物館(Colonial MuseumTe Papa(現・ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ)はその2年前の1865年に開館、これも当協会が運営を受託している[いつ?]

当協会は発足時から査読付き学術論文集[4]や議事録の#出版を任されてきた。ジェームズ・ヘクター英語版は当協会所長に着任した1867年から1903年退職まで、植民地博物館と地質調査所の責任者を兼務した[5]

ロンドンの王立協会に因んで、学会名をニュージーランド王立協会へ改称するためイギリス王室勅許を願い出て[3][6]、1933年5月18日付の議会立法英語版の成立を待った[7]。同じ1933年12月6日に「ニュージーランド王立学会法1933改訂」が施行される[要出典]

1965年に当協会の基準法は「ニュージーランド王立協会法1966改訂」を経て、現在[いつ?]1997年7月14日付の「ニュージーランド王協会法1997改訂」により組織運営されている[疑問点]

名称にマオリ語表記の「テ・アパーランギ」Te Apārangi(専門家集団)を付記したのは2007年である。さらに創立150周年を迎えた2017年に通称を「王立協会テ・アパーランギ」(Royal Society Te Apārangi)に短縮し、法律に定めた正式名称は引き続きニュージーランド王立協会を保っている[8]

2010年1月1日以降は文理融合の総合学会として、従来の科学・技術主体の学会に人文・社会科学の学会を加えた[9]

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組織

さらに見る 人数, 副議長と担当分野 ...

10支部、付属会派60件が所属している。最高責任者は会長が務め、任期は2年(再任可)、学会運営を担当する評議会を置き、最高責任者の同議長1名と、副議長3名を置く。評議員の構成は、学会選挙(3名)と所属会派(1名)と各支部(1名)から選出し、その他の評議員は3名を上限とする。

会員は協会規定を満たせば高校生から入会を受け付けており、また学術研究者に限らない。一般会員の会費は学生や退職者向けに割引も設定している。上級会員はフェローと呼ばれ、学士院の選考を経て選出する終身の特別会員として、学会内で特権的な地位が与えられる。

学識経験者の公開書簡と論争

ニュージーランド政府の任命を受けた作業部会は2021年に報告書を提出し、学校の指導要項を改訂し、西洋の科学と同じ地位を先住民族の知識(mātauranga Māori)に与えるよう答申した[10][11]。これを受け、著名な学識経験者7名が連名で公開書簡を記すと「科学を擁護する」と題して時事問題の雑誌『ニュージーランド・リスナー』(New Zealand Listener)に投稿する。文中で先住民族マオリの知識は「科学そのものと定義できるレベルに達していない」点、したがって先住民の知識を科学と同じレベルに置くとかえって先住民を軽視し失望させるだけに終わると主張した。そして代案として誰もが世界の科学事業に参加する機会を得られると保証するよう提唱した[注 6]

当協会は一連の動きに対して、同書簡の署名人のうち2名がたまたま会員であったことから、両名の調査に取り掛かった[14]。すると当協会のフェローから評議会の専横であると批判が飛び出し、もしも両名を懲戒に処すなら自らも脱退するほかはないと警告した。ブライアン・ボイド(Brian Boydオークランド大学文学教授)は『リスナー』誌掲載の書簡はどうあれ、当協会が「条件反射のように」(knee jerk)反応したと称する対応を槍玉にあげると、先住民族マオリの知識は保護の対象とされるべきで伝達はマオリに限定するべきという考え方そのものが、大学や王立協会の原則に反すると述べた。ピーター・シュヴェルトフェガー(Peter Schwerdtfeger)はマッセイ大学英語版化学特別教授を務めており、王立協会の調査は恥ずべき行為と批判し、開かれた場で議論と話し合いに応じるように求めた。政党ニュージーランド言論の自由連合の広報担当者ジョナサン・アイリング(Jonathan Ayling)の指摘と非難は、科学の追求は言論の自由に依拠するのに、王立協会が「学問の自由という自らの遺産と伝統を放棄」した点に焦点を当てた[14]

それでも一部の教育者は言論の自由、学問の自由、マオリの自由(Tikanga Māori)は互いに矛盾しないと主張し、マオリのティカンガ(tikanga māori)の主任講師カーウィン・ジョーンズ(Carwyn Jones)は、「ティカンガに基づく取り組みであれば、一連の会話を参加者が集合的な理解を深めるために貢献するワーナンガ(wānanga)と位置づけて良い」と述べた。マオリの知識において対話と討論、意見の相違と挑戦、異論は常に重要であり、ティカンガのあり方とは、自由な意見交換を守り支える枠組みを提供することにあると主張した[15]

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会長一覧

要約
視点

以下に歴代会長の名簿を示す[注 7]。1867年1933年の期間は職名に旧称「ニュージーランド学会」を、2017年以降は同じく現在の組織名を冠する[16]

さらに見る 氏名, 在任期間(年) ...
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フェローと学士院制度

1997年の法改正により、それまで王立協会が行っていたフェロー選考を学士院(The Academy)へ移管した。選考を担当する学士院諮問委員会(The Committee)を新設し、同委員8名が最終決定権を預かり、最高責任は委員長(1名)が担う。協会の3部門それぞれに諮問委員会を設けてあり、「生物・生理学」「自然科学・数学・技術・工学」「人文学・社会科学」の各委員会に11名を上限として選考委員を置く[要出典]

当協会は科学、工学、人文科学の研究または進歩に傑出した業績を達成した人物を判断して、随時、「ニュージーランド王立協会フェロー」に選ぶ[注 8][注 9][注 10]

それぞれの時点のフェローの定数は、評議会と学士院諮問委員会の間で取り決める。フェローに選ばれると、肩書きの略称「FRSNZ」(Fellow of the Royal Society of New Zealandの頭字語)を自らの姓名の後に添えることが認められる。その略称にはその他の文字または称号もあり、学士院諮問委員会と評議会が合議して決める。学界を引退したり外国籍の人物は、この肩書きに名誉フェローを意味する「Hon FRSNZ」を用いる。名誉フェローは終身の名誉職である[要出典]

最初の女性フェローは1936年に選出されたキャスリーン・カーティス英語版[注 11]

日本から地質学者地理学者太田陽子横浜国立大学名誉教授専修大学元教授)が[いつ?]「名誉フェロー」の称号を授与されている[要出典]

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理事長

ダイアン・マッカーシー(Di McCarthy ウィキデータ)は2007年から2014年にわたり、理事長職にあった[24]。後任はアンドリュー・クレランド(Andrew Cleland 2014年2021年[25])、シンディ・キロCindy Kiro)は2021年3月1日に任ぜられ(在任3月1日から11月29日[26][27])着任早々、ニュージーランド総督に着任すると、同年7月に理事長職をジーランディア英語版会長のポール・アトキンス(Paul Atkins ウィキデータ)に交代すると公表された[28]

下部組織

要約
視点

当協会に所属する個人会員と団体会員のうち、構成団体は研究と知識、革新分野関連の課題を特定して解決を支える点で当協会と趣旨が通じており、その活動は当協会の研究情報や活動に連携する。構成団体は以下のとおり(一覧は完全ではない)。

さらに見る 分野, 名称 ...

地域の下部組織

地域の下部組織(すなわち支部)は地理的分布を反映する[29]

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提携団体

当協会の提携団体には、政策や科学教育、博物館部門など、さまざまな分野で活動する組織がある。

賞・メダル

さらに見る 名称, 対象 ...

研究助成制度

  • ジェームズ・クック研究助成英語版
  • ラザフォード発見助成英語版
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主な出版物

要約
視点

紀要とその変遷

発行年順にまとめる[30]

  • 1913年、『Transactions and proceedings of the New Zealand Institute』発行(ニュージーランド王立協会紀要)[注 12]
発行元に変遷があり、第45巻63巻第4部(1933年12月号)はJohn Mackay(1913-1934年)。
1934年発行分から本誌の出版はOtago Times and Witness Newspapers社が担当する[35](所在地ダニーデン[注 13]
  • 組織改称前の誌名(1952年)は『Transactions of the Royal Society of New Zealand』[36]
  • 1952年、植物学編の前誌を発行[36][38]、1961年に『Transactions of the Royal Society of New Zealand. Botany』(Royal Society of New Zealand[39])となり、その後、本誌[40]に併合。
  • 1961年発行の生物学編の分冊は旧『Transactions of the Royal Society of New Zealand. Zoology』[41]だが、まず1968年に別の分冊『……. Biological sciences』に併合、その後1971年に内容を変更して本誌に統合[40][注 14]
  • 1971年から本誌に併合して『Journal of the Royal Society of New Zealand』(Royal Society of New Zealand、1971年[40])となる[42]
  • 『Journal of the Royal Society of New Zealand』第54巻第5号:特集号。ニュージーランド王立協会誌
  • 1961年に地学編を発行。『Transactions of the Royal Society of New Zealand. Earth sciences』ニュージーランド王立協会紀要:地球科学編[注 15]
  • 1967年、海洋生物学編を発行。New Zealand. Dept. of Scientific and Industrial Research; Royal Society of New Zealand, eds (1967). New Zealand journal of marine and freshwater research (Dept. of Scientific and Industrial Research). ISSN 00288330. NCID AA00756013.
  • 1971年、ジェームズ・クック生誕200周年。
    • 『Cook Bicentenary Expedition in the South-West Pacific 1969』クック生誕200周年記念1969年南西太平洋探検隊[30]
  • 1989年、植物学編[45]

書籍

分野ごとに発行年順。


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脚注

外部リンク

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