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エリアス・カネッティ

ブルガリア出身の作家、思想家 (1905-1994) ウィキペディアから

エリアス・カネッティ
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エリアス・カネッティElias Canetti, 1905年7月25日 - 1994年8月14日)は、ブルガリア出身のユダヤ人作家思想家。1981年にノーベル文学賞受賞。

概要 エリアス・カネッティElias Canetti, 誕生 ...
概要 ノーベル賞受賞者 ...
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生涯

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カネッティの生家(2009年撮影)、現在、国際エリアス・カネッティ協会の本部として使用されている。

1905年にブルガリアのルスチュク(ルセ)で、スペインから逃れてきたユダヤ人(セファルディム)の家庭に生まれる。母語はラディーノ語(古いスペイン語の一種)だったが、幼くして英語を、次いでフランス語ドイツ語を学んだ。著述においてはドイツ語を用いている。

1913年ウィーンに移住し、ウィーン大学化学を学ぶ。1929年に学位を取得、この頃に代表作である小説『眩暈』(1935)を書き始める。ナチス・ドイツによるオーストリア併合の際にもウィーンに留まり、ナチス党員や人々の様子を見守った。のちにこの時を回顧して「ナチズムとの具体的な体験を持ったこの半年間は、それ以前の何年にもまして、私の目を開いてくれた」と語っている。その後、1939年にユダヤ人迫害を逃れてイギリスに亡命した。

亡命後、自らの体験をもとにしつつ、膨大な資料を導入して群衆の解明に取り掛かった。諸学問に深く関わりつつ独自の立場から行われたその研究は、1960年発表の『群衆と権力』に結実した。文学者としてだけでなく思想家としても優れた作品を完成させたカネッティに、1981年ノーベル文学賞が贈られている。

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『エッセ・ペルキピ(Esse percipi)』ラテン語で「存在するとは知覚されることである」は、1985年に彫刻家のシュテファン・エンゲル (1960-)が製作したナチズムの犠牲者への祈念碑(185cm×47cm×40cm)。カネッティの『眩暈』に触発されて造られ、1999年に設置された[1]
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チューリヒにあるカネッティの墓

晩年には独特の視点から書かれた自伝的三部作『救われた舌』(1977)、『耳の中の炬火』(1980)、『眼の戯れ』(1985)に取り組み、若い日々の時代と社会、そして自らの人生を書き記した。 1994年スイスチューリヒで死去、その亡骸はジェイムズ・ジョイスの隣に葬られた。

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親族

実弟のジャック・カネッティポリドールフィリップスディレクターを務め、エディット・ピアフセルジュ・ゲンズブールシャルル・アズナヴールジョルジュ・ブラッサンスジュリエット・グレコジャック・ブレルボリス・ヴィアンなどを手がけ、新人発掘の名手と言われた。

その下の弟のジョルジュ・カネッティパスツール研究所教授で、結核の専門家である。パスツール研究所は、ジョルジュの研究業績とエリアス、ジャックも加えたカネッティ3兄弟の生涯と功績を讃え「ジョルジュ、ジャック、エリアス・カネッティ賞」を2006年に設けている。

カネッティ山

2004年、ブルガリア地名委員会は南極海サウス・シェトランド諸島リヴィングストン島にある標高400メートルの山岳をカネッティ山(ブルガリア語 :връхКанети)と命名した。

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南西の方角から見たカネッティ山、左側はザゴール浜、右側の雪に覆われた斜面はチャリティ氷河。

著書

特記あるものを除き法政大学出版局より刊行
  • 『群衆と権力』 岩田行一訳、〈叢書ウニベルシタス23 / 24〉(上・下) 1971、新装版2010、改装版2022
  • 『もう一つの審判 - カフカの「フェリーツェへの手紙」』 小松太郎竹内豊治訳、1971 
  • 眩暈池内紀訳、1972、新装版2004、改装版2014
  • 『マラケシュの声 - ある旅のあとの断想』 岩田行一訳、1973、新装版2004 
  • 『断ち切られた未来 - 評論と対話』岩田行一訳、1974 
  • 『戯曲 猶予された者たち』池内紀・小島康男訳、1975。作品3編
  • 『断想 - 1941〜1948』岩田行一訳、〈叢書ウニベルシタス74〉1976 
  • 『救われた舌 - ある青春の物語 伝記1905〜1921』岩田行一訳、1981 
  • 『耳証人 - 新・人さまざま』岩田行一訳、1982 
  • 『耳の中の炬火 - 伝記1921〜1931』岩田行一訳、1985 
  • 『蝿の苦しみ - 断想』青木隆嘉訳、1993 
  • 『眼の戯れ - 伝記1931〜1937』岩田行一訳、1999
その他
  • 共著 『酷薄な伴侶との対話 日記と現代作家』 岩田行一・古沢謙次訳、1983
  • 共著『照らし出された戦後ドイツ: ゲオルク・ビューヒナー賞記念講演集(1951-1999)』谷口広治監訳、人文書院、2000 歴代受賞者の受賞スピーチ集
    • ベーツァ・カネッティ『黄色い街』池内紀訳、1999。夫人による短篇小説集
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伝記・研究書

  • ユセフ・イシャグプール『エリアス・カネッティ 変身と同一』 川俣晃自訳、法政大学出版局〈叢書ウニベルシタス507〉 1996 伝記 アカデミー・フランセーズの推挙によりルキュー賞受賞
  • スヴェン・ハヌシェク『エリアス・カネッティ伝記』(上・下)北島玲子・宍戸節太郎・須藤温子・古矢晋一訳、上智大学出版、2013 伝記
  • 須藤温子『エリアス・カネッティ 生涯と著作』〈シリーズ 古典転生17〉月曜社、2019 研究書

関連作家

脚注

外部リンク

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