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カラスザメ
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カラスザメ Etmopterus pusillus はカラスザメ科に属するサメの一種。太平洋・大西洋に広く分布する。深度0 - 1,000メートルの範囲で日周鉛直移動を行う。リュウキュウカラスザメと種群を構成する。体は細長く暗褐色、体側に黒い模様がある。50センチメートルに達する。卵胎生で成長は遅い。餌は小さなイカ・魚・魚卵。IUCNは保全状況を軽度懸念としている。
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分類

1839年、イギリスの生物学者Richard Thomas Loweが学術誌Transactions of the Zoological Society of Londonにおいて、Acanthidium pusillumの名で記載した。その後本種はカラスザメ属 Etmopterus に移された[2]。種小名 pusillus はラテン語で"弱い"を意味する[3]。リュウキュウカラスザメと共に、乱雑に並んだ切り株状の皮歯を特徴とする種群を構成する[4]。
分布
大西洋では、西はメキシコ湾からアルゼンチン、東はポルトガルからカーボベルデ・アゾレス諸島・南アフリカ、大西洋中央海嶺上[5]。インド洋では、クワズール・ナタール州沖・マダガスカル。太平洋では東シナ海から南日本・天皇海山群・オーストラリア沖・ニュージーランド・ナスカプレート上(Amber Seamountからサラ・イ・ゴメス島沖)から報告されている[4][6]。
大陸棚・大陸斜面の海底付近(深度274 - 1,000m)に生息する。1,998メートルまで潜る可能性もある[7]。ポルトガル南方沖のデータによると、岩礁底を好み日周鉛直移動を行うようである[8]。南大西洋では、外洋の0 - 708メートルにも生息[7]。熱水噴出孔でも確認されている[5]。
形態

骨格は華奢で、大きな頭部、大きな楕円形の眼、鼻孔には短い前鼻弁がある。上顎歯列は22 - 31、下顎は30 - 53。上顎歯の尖頭は細く滑らかで、1 - 2対の小尖頭が隣接する。38センチメートルを超える雄では小尖頭が増える。下顎歯は滑らかでナイフ状の尖頭を持ち、全ての歯が基部で結合して一枚の刃を構成している。大きな5対の鰓裂がある[2][4]。
胸鰭は丸く、その後端上方に第一背鰭があり、背鰭前部には頑丈な棘がある。第二背鰭は第一より大きく、棘も長い。腹鰭は低く角張り、臀鰭はない。尾鰭は短くて幅広く、下葉は発達して上葉には欠刻がある。皮歯は小さく塊状で、間隔が広く乱雑に並んでいるために滑らかな印象を与える。体色は一様な暗褐色で、腹鰭上部からその前後にかけて体側に黒い模様が伸びる。リュウキュウカラスザメに似るが、本種は50センチメートルを超えず、腸の螺旋弁の数が少ない(本種は10 - 13、リュウキュウカラスザメは16 - 19)ことで区別できる[2][4]。
生態

餌はイカ・小型のツノザメ・ハダカイワシ・魚卵[2]。卵胎生で胚は卵黄栄養で育つ。産仔数は10[9]。雄は31 - 39センチメートル、雌は38 - 47センチメートルで性成熟する[2]。性成熟時のサイズは地域によって異なり、西大西洋ではクワズール・ナタール州沖より大きい[10]。成長は遅く、体は成長と共に細長くなっていく。ポルトガル南方沖からのデータでは、最低でも雄は13年、雌は17年生きる[4][9]。
人との関連
東部大西洋、日本沖合などで、大量の稚魚が延縄で、少数が底引き網や定置網で混獲されている。ポルトガル南方沖では、深海漁業で多く混獲される3種のサメのうちの1種である[2][8]。ほとんどは廃棄されるが、少数が干物・塩漬け・魚粉などとして利用されていると見られる[6]。繁殖力は低く成長も遅いため、持続的な漁業圧には耐えられないと考えられる[8]。だがこのような事態を示す証拠はなく、分布域も広いことからIUCNは保全状況を軽度懸念としている[1]。
比較的多く漁獲されるため沼津港深海水族館[11]といった水族館などで短期の飼育記録はあるが、長期飼育はいまだに成功していない。
脚注
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