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カーダー・パリージ・ザン方程式

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カーダー・パリージ・ザン方程式: KardarParisiZhang equation) は、メヘラーン・カールダール英語版ジョルジョ・パリージ、イー・チャン・ジャン (Yi-Cheng Zhang) らによって提案された[1]ランジュバン型非線形確率偏微分方程式であり、結晶界面成長を記述する。しばしば提案した三人の頭文字を取って、KPZ方程式と略記される。

は、時刻 での における界面の高さを表し、界面張力 は非線形効果の強さ、 は確率的なノイズを表す。ノイズ項 は、

を満たすホワイトノイズ、特にガウシアンノイズであるとする。ここで は角括弧で囲まれた物理量の配位空間での平均を表し、ディラックのデルタを表す。また はノイズの強さである。

界面の高さ は、 に対する一価関数であることを仮定する。この仮定により、KPZ方程式で記述される界面は巨視的にはオーバーハングを持たない。

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方程式の構成

要約
視点

右辺第2項の非線形項 がなければ、方程式はエドワーズ・ウィルキンソン方程式 (EdwardsWilkinson equation; EW eq.)[2] になる。 界面の傾きを とし、その方向に速度 で界面が成長すると考えると、微小時間 の間に、界面の高さは だけ変化する。 と置き換えられることに注意すれば、

テイラー展開することができる。展開の第1項は座標変換によって消去することができるので、最も主要な項は第2項の非線形項であり、これが KPZ方程式の非線形項を与える。

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方程式の変形

コール・ホップ変換

高さの関数 を関数 を用いて、 と変換すると、KPZ方程式は以下のように書き直される[注釈 1]。この変換をコール・ホップ変換という。

これは時間依存するランダム・ポテンシャル中での拡散方程式になっている。 この方程式の解は形式的に、以下の形に書ける。

上記の経路積分より、 は、 を結ぶ、 次元空間上の方向付きの高分子 (directed polymer; DP) のすべての配位に対するボルツマン因子の和であると見なせる[3][4]

バーガース方程式への変換

別の有用な変換として、ベクトル場 を用いて、界面の高さ で書き換えると、方程式は以下の形になる[注釈 2]

ここで と置けば、これは を渦なしの速度場としたときの、バーガース方程式にノイズを加えたものになっている。 あるいは を改めて に置き換えてもバーガース方程式の形に変形できる。

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スケーリング

要約
視点

[要出典] KPZ方程式をバーガース方程式へ変換した後、時間と空間に対し適当なスケール変換を施すと、

ノイズ について、 の関係を仮定したことに注意すれば、デルタ関数について、

と変換されるので、バーガース方程式は、

となる。ここで の項はスケール変換に対して不変であるとすると、指数 , について、 が成り立つことになる。

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注釈

  1. 対数微分 を計算してから を両辺に掛ける。
  2. KPZ方程式の各項について を左から掛ける。
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出典

参考文献

関連項目

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