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ササヤマグノームス
日本で発見された角竜類 ウィキペディアから
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ササヤマグノームス(学名:Sasayamagnomus、「篠山の小人」の意味)は、前期白亜紀(アルビアン)日本の兵庫県丹波篠山市大山下層から産出した新角竜類の属[1]。ササヤマグノームス・サエグサイ(Sasayamagnomus saegusai)を模式種とする[1]。
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発見と命名
模式標本は兵庫県丹波篠山市宮田の小型脊椎動物化石が密集する地層で発見された。17個の頭骨要素、右烏口骨、左脛骨から知られている。右鼻骨が重複していたことから、少なくとも2体分の化石が混合していたことを示唆している[1]。正式な記載に先立ち、2023年に学会抄録の中で発表されていた[2]。
ホロタイプは MNHAH D1-060516で、2024年に新属新種として正式に記載された。属名 Sasayamagnomusは、骨が採取された篠山盆地と、ラテン語でノームを意味するgnomusに由来する。「篠山の地下に隠された財宝を守る小人」という意味が込められている。種小名の saegusai は、丹波地域の恐竜発掘の第一人者であり、兵庫県の古脊椎動物学に多大な貢献をした故・三枝春生博士を称えたものである[1]。
概要
ササヤマグノームスは日本で産出した角竜類の中で最も保存状態の良い化石であり、角竜類におけるユーラシア大陸最東端の化石記録である。原始的な角竜類であったため、大きなツノやフリルを持たず、全長は約80cm、体重は約10kgと推定された[3]。また、脛骨内部の成長輪や微細構造から、ササヤマグノームスは成長途中の若い個体であることがわかった[4][5]。
分類
ササヤマグノームスは北アメリカの角竜類に近縁であり、アジアで誕生した角竜類が、当時ユーラシアと北アメリカがベーリング陸橋により陸続きであったことから、北アメリカへの移動が1億1000万年前頃であった可能性が示唆された[4]。Tanaka et al. (2024)はササヤマグノームスを系統解析に加え、基部系統新角竜類の分岐群におき、アクイロプスやアウロラケラトプスの姉妹群であることを明らかにした。以下は、そのクラドグラムを示したもの[1]。
| 角竜類 |
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古生態学
ササヤマグノームスは前期白亜紀末のアルビアン前期から中期の地層である大山下層(篠山層群)から知られている[6]。これらの層は主に砂岩、泥岩、礫岩からなる。堆積環境は温帯夏雨気候からステップ気候の河川作用である[7]。恐竜の歯は、その中には他の獣脚類(ドロマエオサウルス類、テリジノサウルス類、ティラノサウルス類)だけでなく、竜脚類、アンキロサウルス類、イグアノドン類などのものが含められ、この地層全体の様々な場所でよく見られる[8]。ヒメウーリサス、サブティリオリサス、ニッポノウーリサス、プリズマトウーリサスなど、いくつかの恐竜の卵の化石も記載されている[9]。この地層からはモンスターサウリア類のモロハサウルス、ティタノサウルス形類の竜脚類であるタンバティタニス、トロオドン科の獣脚類であるヒプノヴェナトルが知られている[10][11][6]。また、記載時点においてこの大山下層と特定されていないが、篠山層群からは真獣類のササヤマミロス[12]、スキンク下目のパキゲニス[13]、無尾目のヒョウゴバトラクスとタンババトラクスなどの化石動物相が知られている[14]。
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脚注
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