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シクロオキシゲナーゼ1

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シクロオキシゲナーゼ1
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シクロオキシゲナーゼ1: cyclooxygenase-1、略称: COX-1)またはプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ1: prostaglandin-endoperoxide synthase 1、略称: PTGS1)は、ヒトではPTGS1遺伝子によってコードされている酵素である[5][6]

概要 PTGS1, 識別子 ...
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歴史

シクロオキシゲナーゼ(COX)は、アラキドン酸からプロスタグランジンを生合成する経路の中心的酵素である。COX-1は40年以上前に単離され、1988年にクローニングされた[7][8]

遺伝子とアイソザイム

COXには、構成型のCOX-1と誘導型のCOX-2という2種類のアイソザイムが存在する。それぞれ異なる遺伝子にコードされており、関連するサイトカイン成長因子によって異なる調節を受けているため、発現調節や組織分布は異なっている。COX-1はPTGS1遺伝子によってコードされており、内皮細胞において血管新生を調節していることが知られている[9]。イヌの中枢神経系ではCOX-3英語版と呼ばれるCOX-1のスプライスバリアントが同定されているが、ヒトでは同様の機構で機能的タンパク質が形成されることはない。また、COX-1由来の小さなタンパク質(PCOX-1a、PCOX-1b)も発見されている。これらの正確な役割の記載はまだなされていない[10]

機能

プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ(PTGS)またはシクロオキシゲナーゼ(COX)は、プロスタグランジン生合成において重要な酵素であり、ホスホリパーゼA2による膜リン脂質sn-2位のエステル結合の切断によって生じた遊離アラキドン酸をプロスタグランジンH2英語版(PGH2)へ変換する。この酵素反応は、シクロオキシゲナーゼ(ジオキシゲナーゼ英語版)活性とヒドロペルオキシダーゼ(ペルオキシダーゼ)活性の双方を伴う。シクロオキシゲナーゼ活性によってアラキドン酸(もしくはリノレン酸エイコサペンタエン酸などの多価不飽和脂肪酸)へ2つの酸素分子が組み込まれる。アラキドン酸の代謝では不安定な中間体ペルオキシドであるプロスタグランジンG2英語版(PGG2)が形成され、その後ヒドロペルオキシダーゼ活性によって対応するアルコールであるPGH2へと還元される。

COX-1はアラキドン酸を主にPGG2へ代謝するが、少量は15-ヒドロキシエイコサテトラエン酸英語版(15-HETE)のラセミ混合物(~22% 15(R)-HETE、~78% 15(S)-HETE)や11(R)-HETEも変換される[11]。2種類の15-HETE立体異性体は固有の生物学的活性を有するが、おそらくそれよりも重要なのは、さらに主要な抗炎症因子であるリポキシン英語版へと代謝されることである[12]。加えて、PGG2とPGH2は非酵素的に12-ヒドロキシヘプタデカトリエン酸英語版(12-HHT)の混合物(すなわち12-(S)-ヒドロキシ-5Z,8E,10E-ヘプタデカトリエン酸と12-(S)-ヒドロキシ-5Z,8Z,10E-ヘプタデカトリエン酸)とマロンジアルデヒドへ変換される[13][14][15]。またCYP2S1英語版によって12-HHTへ代謝される場合もある[16][17]。こうしたCOX-1による代替的代謝産物がその生理活性に寄与している可能性もある。

胃の内部を保護し、胃酸の分泌やペプシン含有量の低下に寄与している粘液層の形成をCOX-1は促進する[18][19]。通常、COX-1は胃だけではなく、炎症部位を含む体内のさまざまな部位に存在している。

臨床的意義

COX-1はアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によって阻害される。血小板におけるCOX-1の主要産物であるトロンボキサンA2英語版は、血小板の凝集を誘導する[20][21]。低用量アスピリンの心イベント低減の有効性はCOX-1阻害によって説明される。

出典

関連文献

関連項目

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