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スルファミン酸

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スルファミン酸
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スルファミン酸(スルファミンさん、: sulfamic acid)は、硫酸ヒドロキシ基アミノ基に置換したもの。無色の固体。別名はアミド硫酸

概要 スルファミン酸, 識別情報 ...

水によく溶け、比較的強い酸性を示す。固体を加熱すると 205 ℃で分解する[1]。ジアゾ染料で染色した際に残留している余剰亜硝酸塩を分解するのに使用される。

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構造と反応性

スルファミン酸の構造は、硫酸 HOSO2(OH) のヒドロキシ基がアミノ基に置換した中性型 H2NSO2(OH) ではなく、互変異性体である双性イオン型のひとつ、H3N+SO3 で表される。結晶中では3個の水素がすべて窒素から 1.03 Å の距離にあることが中性子回折法により示されている。これより、4種類の異性体(中性型 H2NSO2(OH)、HN=SO(OH)2、双性イオン型 H3N+SO3、H2N+=SO(OH)O)のうち、H3N+SO3 の構造が主であることが分かった[2]。また、硫黄と酸素、硫黄と窒素の結合距離はそれぞれ 1.44、1.77 Å であり、長い硫黄-窒素は単結合性を、短い硫黄-酸素は二重結合性を持つことを示している[3]

スルファミン酸は比較的強酸で、酸解離定数Ka = 1.01 x 101 である。固体は吸湿性を示さず純品を得やすいため、酸塩基滴定で標準物質として用いられる。液体アンモニアの中では2段階の脱プロトン化を受け、ジアニオン [HNSO3]2 となる[4]

アミノ基が電子求引基と結合している点で尿素と共通点がある。例えば水溶液を加熱すると、ともにアンモニウムイオンを生成する。

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製法

要約
視点

尿素発煙硫酸の反応によって生じる[1]

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反応

要約
視点

亜硝酸と反応して窒素ガスを発生する。

水酸化ナトリウム溶液の正確な濃度を求めるための標定に用いられる。

還元剤としてはたらき硝酸と反応して亜酸化窒素が発生する。

冷水中では徐々に、80℃以上では速やかに加水分解して、硫酸水素アンモニウムになる。

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利用

Thumb
チクロ
Thumb
Sulfamic acid

スルファミン酸は人工甘味料との関連が深い。スルファミン酸とシクロヘキシルアミンの混合物に水酸化ナトリウムを反応させて得られるチクロはかつて安価な甘味料として多用されていた。現在も使われるアセスルファムカリウムもまたスルファミン酸構造を持つ人工甘味料の例である。

スルファミン酸の O-または N-置換誘導体の中には、抗生物質HIVに対する逆転写阻害薬やプロテアーゼ阻害薬、抗ガン剤(ステロイドサルファターゼ阻害薬、炭酸脱水酵素阻害薬)、抗てんかん薬、あるいは抗肥満薬として用いられるものがある。

スルファミン酸は酸性の洗浄剤として、金属やセラミックの洗浄に用いられる。塩酸の代わりに錆落とし、湯垢落としとして用いられる。更に、尿素との親和性を利用して、尿石除去剤としても用いられている。

ほか、エステル化反応やポリマー(ウレタン樹脂、入れ歯安定剤)の固化を進める酸触媒、色素や除草剤合成の原料、亜硝酸製造、水系消火剤への添加剤としての用途が知られる。

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出典

参考文献

外部リンク

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