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駒 (チェス)
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チェスの駒(Chess piece、チェスピース)は、チェスをプレイする際に用意する用具(駒)の一つである。単にピースと呼ばれることもある。ただし「チェスピース」という語は文脈によってその対象範囲が異なり、注意を要する(後述)。チェスの駒は、チェスボードとあわせてチェスセットと呼ばれることもある。

種類
チェスの駒はその動きや価値によって種類が分かれ、通常のチェスのゲームでは両プレイヤーは以下の駒を用いる。
このうちポーンはプロモーションすることによって、クイーン・ルーク・ビショップ・ナイトのいずれかに成ることができる。(このため、元々のものを含め各プレイヤーは理論上クイーンなら最大9個、ルーク・ビショップ・ナイトなら最大10個までの駒を持つことができる。)
これら6種類の駒に加えて、一部のチェスプロブレムや変則チェスで使用する「ナイトライダー」や「アマゾン」のような特殊な駒(フェアリー駒)も存在する。
通常チェスのゲームでは先手を「白」、後手を「黒」と呼び、それぞれの駒を識別するため異なった色・種類の駒が用いられる。今日において標準的な「スタントン式」と呼ばれるタイプでは両者の駒は同じ形状で、黒の駒が白の駒より濃い色になっている。このような標準的なタイプの他に、白と黒とでまったく異なった形状の駒を用いるセットも存在する。詳しくはチェスセットの節を参照。
将棋などのゲームと違い、駒の置く向きは関係ない。また、棋譜やコンピュータチェスなどでは、全ての駒が同じ向きで置かれる。特にナイトは全てが左向きであることが多い。
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駒の動き方
駒の初期配置
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2 | 2 | ||||||||
1 | 1 | ||||||||
a | b | c | d | e | f | g | h |
それぞれの駒は、異なった動き方をする。チェスのルールや各駒の項目も参照。
- ルークは、遮る駒がない限り、縦か横に(上下左右に)いくつでも動くことができる。キャスリングの際にも用いられる。
- ビショップは、遮る駒がない限り、斜めにいくつでも動くことができる。
- クイーンは、遮る駒がない限り、縦、横、斜めにいくつでも動くことができる。
- キングは、全ての方向の隣接する味方の駒の居ないマスに動くことができる。キャスリングの際にも用いられる。
- ナイトは、L字型(上下左右に2マス進みそこから垂直に1マスの位置)の味方の駒の居ないマスに動くことができる。ナイトは動く際に、他の駒を飛び越えることができる。
- ポーンは、前に1マス動くことができる。また最初の位置から動くときに限り、前に2マス動くこともできる。斜め前に敵の駒がある場合は、その駒を取ることができる。なお、目の前に敵の駒がある場合は、目の前には進めずその敵の駒を取ることもできない(斜め前の敵の駒は取れる)。また、敵のポーンを取る時には、アンパッサンと呼ばれる特別な動きができる。ポーンが敵陣の最後段に達した場合、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイトのいずれかにプロモーションしなければならない。
アンパッサンの場合を除き、敵の駒が存在するマスに自分の駒を移動させることによって敵の駒を取ることができる。ポーン以外の駒は敵の駒を取る時も通常と同じ動きである。取られた駒は盤から取り除かれる。1つのマスには、1つの駒しか置くことができない。また、キャスリングやナイトの動きを除いて、他の駒を飛び越えて移動することはできない。
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「チェスピース」の範囲
「チェスピース」または「ピース」という語は、文脈によって対象とする範囲が異なる。最広義では、チェスセットに含まれるポーンも含めた6種類全ての駒を指す。別の用法では、ポーンを除いたクイーン・ビショップ・ルーク・ナイトの駒に限定される(この中にキングが含まれることもある)。この場合、ポーンと狭義のピースをまとめたチェスの駒一般を指す用語としては「チェスマン/チェスメン」が使われる。この狭義のピースは更に、それ1つとキングだけで相手のキングをチェックメイトできるかどうかを基準に、クイーンとルークをメジャーピース(大駒)、ビショップとナイトをマイナーピース(小駒)と呼ぶ。また、直線的な動きの駒であるクイーン・ビショップ・ルークのことをラインピースと総称する場合もある。
従って日本語のチェスの「駒」が示す範囲は、広義の「(チェス)ピース」または「(チェス)マン/メン」ということになる。
駒の価値
ゲームを有利に進める上で、彼我の手駒の価値を正確に把握することは非常に重要である。チェスでは各駒の価値の目安として、ポーンを基準とした以下の点数が用いられている。
これを利用することで、盤上の両者の戦力や駒交換の際に生じた損得を計算することができる。こうした盤上の駒の損得の要素をマテリアルと呼び、駒得のことを「マテリアルアドバンテージ」という(対義語は陣形上の優位を指す「ポジショナルアドバンテージ」)。
ゲームの状況は常に変化するため、現在の駒の価値を正確に評価するには駒の位置関係にも留意する必要がある。例えばナイトはセンターに配置することで利きの対象が多くなり、駒の価値も高くなる。一方でラインピースは他の駒を飛び越えて動くことができないため、他の駒に囲まれていない方が利きが多く、駒の価値も高い。ナイトとビショップはほぼ同じ価値を持っているが、センターにポーンが密集した局面ではナイトが、ポーンの数が少なくなった局面ではビショップがそれぞれ有利とされる。
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フェアリーチェスの駒
Nightrider (ナイトライダー)
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チェス・セット


駒のデザインのバリエーションは幅広く、少し飾っただけのものから、童話・映画・アニメ作品をテーマにしたもの等、様々なものがある。装飾的な駒は、実際のプレーに用いるよりも、インテリアなどとして用いられる。チェスの愛好者でダダイストのマン・レイ等、芸術家がデザインしたチェスセットもあり、ニューヨーク近代美術館に展示されている[2]。
プレーに使われるチェスの駒は、たいてい幅よりも高さが高い立体物である。例えば、マス目の一辺が57mmのチェス盤で、キングの高さが95mmのものがある。様々なデザインのものが手に入るが、最も良く知られているものは、ナサニエル・クックが作り、19世紀のイギリスのチェスプレイヤーであるハワード・スタントンの名前がついた、スタントンデザインである。最初のスタントンスタイルのセットは1849年にジャック・オブ・ロンドンが作ったものである。木製のチェスの駒は、通常ツゲやカエデ等の材質の軽い木を用いる。黒の駒は、濃い色のシタンやコクタン、クルミ等が用いられるか、またはツゲ等で作って黒や茶色、赤に着色される。白と黒や赤のプラスチックで作る場合もある。時には骨、象牙、大理石等の素材を用いることもある。チェス盤が傷つくのを防ぐため、駒の底にはフェルトが貼り付けられていることが多い。
実際のプレーに用いるものとしては、スタントンチェスセットが標準的である。通常用いられるキングの高さは、85mmから105mm程度であるが、米国チェス協会はキングの高さとして、86mmから114mmを求めている。一般のプレーヤーには、95mmから102mmのものが好まれている。キングの直径は、高さの40%から50%である。他の駒の大きさも、キングの比にならっている。一方、盤のマス目の大きさはキングの底部の1.25倍から1.3倍が必要で、だいたい50mmから65mmであるが、57mmのものが一般的である。これらの基準は米国チェス協会の『Official Rules of Chess』に記され、これは国際チェス連盟のルールに基づいている。
携帯用の小さなチェスセットの駒は、将棋の駒やシャンチーと同じく平たいトークン状で、駒の種類を表すためにシンボルが描かれている。また盤からずれないように駒が磁石になっている製品もある。
コンピュータでは、チェスの駒は二次元で表されることが多いが、伝統的な駒を模して三次元で表示できるものもある。
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各文化圏での駒の名前
要約
視点
日本語では英語由来の名称が使われ、棋譜に使う文字も英語の表記に倣っている。しかし世界中で同時並行的に楽しまれてきたチェスの性質上、駒の名前や意味は各国語で異なったままであり、棋譜上の表記すら異なる。このため多言語を意識した出版物やインターネットでは、誤解を防ぐために駒をモデルにした記号が用いられることもある。ユニコードには白と黒のチェスの駒が規定されている。
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脚注
関連項目
外部リンク
Wikiwand - on
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