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トロサ・ハント症候群

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トロサ・ハント症候群
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トロサ・ハント症候群(とろさ・はんとしょうこうぐん、英語: Tolosa–Hunt syndrome; THS)は稀な疾患である。

概要 トロサ・ハント症候群, 概要 ...

III, IV, V, VI脳神経のいずれかに関係する、外眼性の麻痺を伴った片側性で重い頭痛と、特定の眼筋の脱力と麻痺(眼筋麻痺)を伴う眼の側方と後方の痛みを特徴に持つ[1]

2004年、国際頭痛学会英語版肉芽腫を含んだ診断基準を規定した[2]

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原因

THSの正確な原因は不明であるが、眼の奥の領域(海綿静脈洞や上眼窩裂)の炎症が関連していると考えられている。

徴候と症状

症状は通常、頭部の片側に限定され、ほとんどの場合で眼周囲の筋に強烈で鋭い痛みと麻痺を生じる[3]。加療なしに症状が治まることがあるが、突然再発することがある[4]

また、顔面神経の麻痺や眼瞼下垂を示すこともある。他の徴候には複視発熱、慢性疲労、めまい関節痛がある。時折、患者は片側または両側の眼球突出の感覚を覚えることがある[3][4]

診断

THSは通常、他の疾患の除外によって診断される。他の病因を排除するために、全血算や甲状腺機能検査、血清蛋白電気泳動検査など多数の検査が必要である[3]。脳脊髄液の分析により、本疾患と類似の徴候を示す疾患とを区別できる可能性がある[3]

海綿静脈洞や上眼窩裂および/または眼窩頂部の炎症性変化を検出するには、MRI磁気共鳴血管画像 (MRA)、ディジタル差分血管造影英語版(DSA)、CTが有用である[3]。脳神経の麻痺を認めない場合、眼窩断面像で認められる炎症性変化は、より一般的かつ良性の所見として眼窩偽腫瘍英語版と称される。

確定診断のため、特に腫瘍の可能性を除外するため、生検が必要になることがある[3]

THSを診断する時、頭蓋咽頭腫片頭痛髄膜腫との鑑別を考慮すべきである[3]

治療

THSの治療には副腎皮質ステロイド (多くの場合プレドニゾロンが用いられる)や免疫抑制剤 (メトトレキサートアザチオプリン等)を使用するのが通例である。副腎皮質ステロイドは鎮痛剤として作用し、通常24~72時間で疼痛を軽減させる。免疫抑制剤が自己免疫反応を抑制するのに対し、副腎皮質ステロイドは炎症性腫瘤を縮小させる[3]。7~10日に渡って等用量で服用させ、その後漸減していく[3]

この他、放射線療法も提案されている[5]

予後

THSの予後は一般に良いと考えられており、患者は通常、副腎皮質ステロイドに反応性を示す。眼筋の運動に障害が残る可能性があるが、自然寛解することが多い[3]。一方、治療を受けた患者の約30~40%に再発がみられる[3]

疫学

THSは国際的にも珍しい。ニュージーランドで、オーストラリアニューサウスウェールズ州でそれぞれ1症例の報告がある[3]。THSの発症に性差はなく、罹患年齢は60歳前後である[1]

出典

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