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フィッシャーの自然選択の基本定理
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フィッシャーの自然選択の基本定理(英: Fisher's fundamental theorem of natural selection)は、統計学者であり進化生物学者であるロナルド・フィッシャーが考案した集団遺伝学における遺伝分散[1][2]に関する考え方である。この定理の抽象的な数学を実際の生物学にどのように適用するのが適切かは、これまでにも議論があった。
定理は以下の通りである。[3]
より現代的な用語で言えば以下の通りである。[4]
いかなる生物においても、遺伝子頻度の変化を通じて作用する自然淘汰に起因する平均適応度の増加率は、常にその時点における適応度の遺伝分散に正確に等しい。
歴史
この定理は、フィッシャーが1930年に出版した「The Genetical Theory of Natural Selection(自然選択の遺伝学的理論)」の中で初めて定式化された[3]。フィッシャーはこの定理を物理学におけるエントロピーの法則になぞらえ、「これほど類似した法則が生物科学の中で最高の地位を占めるであろうことは、少なからず示唆に富む」と述べている。弱い選択と弱いエピスタシスの場合の近似として、1965年に木村資生が準連鎖平衡のモデルを導入した。[5][6]
フィッシャーとアメリカの遺伝学者シューアル・ライトの適応度地形に関する論争によって、この定理は集団の平均適応度は常に増加することを意味すると(モデルがそうではないことを示しているにもかかわらず)広く誤解されることになった[7]。1972年、ジョージ・プライスがプライス方程式にてフィッシャーの自然選択の基本定理が確かに正しいことを示したが(フィッシャーの証明も誤字が数ヶ所あるが正しい)、定理に大きな意義は見いだせなかった。プライスの指摘した、それまで定理の理解を困難にしていた複雑な点は、この定理の与える公式が遺伝子頻度の変化のうち一部――自然淘汰によるものと言える部分――についてのものであって、変化の全体についてのものではないことである[8]。
交絡因子のため、フィッシャーの自然選択の基本定理の検証は非常にまれであるが、2007年にダニエル・ボルニックが自然集団でこの効果を検証した[9]。
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参照
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