フッ化アルミニウム

フッ化アルミニウム（フッかアルミニウム、aluminium fluoride）は化学式 AlF₃ で表されるフッ素の化合物である。外観は白色の結晶性粉末である。水酸化アルミニウムまたは金属アルミニウムをフッ化水素と反応させると得られる。結晶構造は酸化レニウム(VI) と類似しており、アルミニウム周りは歪んだ八面体構造をとる。

フッ化アルミニウム
1000℃における構造式
AlF 3無水物
別称 Aluminium(III) fluoride Aluminum trifluoride
識別情報
CAS登録番号	7784-18-1  32287-65-3 (一水和物)  15098-87-0 (三水和物)
3D model (JSmol)	モノマー: Interactive image 結晶型: Interactive image
ChEBI	CHEBI:49464
ChemSpider	2039
ECHA InfoCard	100.029.137
PubChem CID	2124
RTECS number	BD0725000
UNII	Z77H3IKW94
CompTox Dashboard (EPA)	DTXSID8030712
InChI InChI=1S/Al.3FH/h;3*1H/q+3;;;/p-3  Key: KLZUFWVZNOTSEM-UHFFFAOYSA-K  InChI=1/Al.3FH/h;3*1H/q+3;;;/p-3 Key: KLZUFWVZNOTSEM-DFZHHIFOAC
SMILES モノマー: F[Al](F)F 結晶型: F[Al](F[Al]0(F)(F)(F)F)(F[Al]1(F)(F)(F)F)(F[Al]2(F)(F)(F)F)(F[Al]3(F)(F)(F)F)F[Al](F[Al](F[Al]4(F)(F)(F)F)(F[Al]5(F)(F)(F)F)(F[Al]6(F)(F)(F)F)(F0)F)(F[Al](F[Al]7(F)(F)(F)F)(F[Al]8(F)(F)(F)F)(F1)(F4)F)(F[Al](F[Al]9(F)(F)(F)F)(F[Al]0(F)(F)(F)F)(F5)(F7)F)(F[Al](F[Al]1(F)(F)(F)F)(F2)(F8)(F9)F)F[Al](F3)(F6)(F0)(F1)F
特性
化学式	AlF 3
モル質量	83.977 g/mol (無水物) 101.992 g/mol (一水和物) 138.023 (三水和物) [1]
外観	無色～白色の結晶性固体
匂い	無臭
密度	3.10 g/cm3 (無水物) 2.17 g/cm3 (一水和物) 1.914 g/cm3 (三水和物) [1]
融点	1290 °C, 1563 K, 2354 °F [2](無水物、昇華)
水への溶解度	5.6 g/L (0 °C) 6.7 g/L (20 °C) 17.2 g/L (100 °C)
磁化率	−13.4×10−6 cm3/mol[3]
屈折率 (nD)	1.3767 (可視域)[4]
構造
結晶構造	菱面体晶, hR24
空間群	R3c, No. 167[5]
格子定数	a = 0.49254 nm, c = 1.24477 nm
格子体積 (V)	0.261519
式単位（英語版） (Z)	6
熱化学
標準生成熱 ΔfHo	−1510.4 kJ/mol[6]
標準モルエントロピー So	66.5 J/(mol·K)[6]
標準定圧モル比熱, Cpo	75.1 J/(mol·K)[6]
危険性[7][8][9]
GHS表示:
絵表示
重要な用語	Danger
危険性報告	H301, H302, H314, H315, H319, H335, H361, H372
予防報告	P260, P261, P264, P270, P271, P280, P301+P310, P301+P312, P301+P330+P331, P302+P352, P303+P361+P353, P304+P340, P305+P351+P338, P310, P312, P321, P330, P332+P313, P337+P313, P362, P363, P403+P233, P405, P501
NFPA 704（ファイア・ダイアモンド）	3 0 0
NIOSH（米国の健康曝露限度）:
PEL	none
REL	2 mg/m3
IDLH	N.D.
安全データシート (SDS)	InChem MSDS
関連する物質
その他の 陰イオン	塩化アルミニウム 臭化アルミニウム ヨウ化アルミニウム
その他の 陽イオン	三フッ化ホウ素 三フッ化ガリウム 三フッ化インジウム 三フッ化タリウム
関連物質	フッ化スカンジウム(III) フッ化イットリウム(III) フッ化ルテチウム(III) フッ化ランタン(III) フッ化セリウム(III) フッ化アクチニウム(III)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

この構造のため、他のハロゲン類縁体と異なり耐火性を持つ^[10]。塩化アルミニウム AlCl₃、臭化アルミニウム AlBr₃、ヨウ化アルミニウム AlI₃ はいずれも液体状態では二量体を形成し、蒸発する際も二量体のままである。一方フッ化アルミニウムの場合、約1000℃における気体状態では D_3h の対称性を持つ三角形の構造をとる。Al−F 結合距離は163pmである。

フッ化アルミニウムはアルミニウムを電解製錬する際に添加剤として用いられる。アルミナの融点を下げ、導電性を高める効果を持つ。