フロリアンガイエルの歌

フロリアン・ガイエルの歌（独: Wir sind des Geyers schwarzer Haufen）は、戦間期のドイツで作られた行進曲である。1920年代に作曲され、歌詞はバイエルンの詩人で砲兵将校でもあったハインリヒ・フォン・レーダー（’‘Heinrich von Reder’’）の詩「Ich bin der arme Konrad」 に由来している。^[1]

フロリアン・ガイエル　(1490-1525)

メロディーは1919年、ドイツの歌人であり、のちに国家社会主義者となったフリッツ・ゾトケ（Fritz Sotke、1902年–1970年）によって編曲された。

この歌は、ドイツ農民戦争（1524–1525年）で農民側についた重装騎兵部隊「黒軍（Schwarzer Haufen）」と、その指導者フロリアン・ガイエル（1490年頃–1525年6月10日）を題材としている。彼らは当時、修道院や城を焼き討ちにし、聖職者や貴族を即座に処刑したことで恐れられ、同時代の人々の間では残酷で破壊的な勢力として知られていた。^[2]

歴史

この歌は、1920年代のヴァイマル共和政期におけるドイツ青年運動の流れのなかで生まれたもので、政治的立場を問わず多様な団体で歌われた。^[3]

現代、1989年の東ドイツの大帰営での演奏がされた。

SS第8義勇騎兵師団「フロリアン・ガイエル」

ナチス時代には、フロリアン・ガイエルの名を冠した親衛隊部隊、第8SS義勇騎兵師団「フロリアン・ガイエル」（’8. SS-Kavallerie-Division „Florian Geyer）が編成された。^[4]

この部隊は1942年にヴァルター・シュルツェの指揮下で創設され、主に東部戦線で対パルチザン戦や後方治安任務に従事した。師団名には、16世紀の農民戦争で権力に抗した騎士フロリアン・ガイエルの名が象徴的に用いられ、

「民族的反逆者をドイツ民族の戦士として再生させる」というナチス的神話構築の一環であった。部隊では《フロリアン・ガイエルの歌》が非公式の部隊歌として歌われ、

黒い制服をまとったSS部隊と、歌に登場する「黒軍（Schwarzer Haufen）」との象徴的な重なりが意図的に強調された。この師団は戦争末期にハンガリー戦線で壊滅的損害を受け、1945年初頭に事実上消滅したが、

その名称はナチス文化政策のもとで形成された「ガイエル神話」の最も顕著な軍事的表象として知られている。要出典

関連項目

・フロリアン・ガイエル

・第8SS騎兵師団

・ドイツ軍歌

・軍歌