Nocedal、Wrightによってまとめられた導出の流れについて説明する[3]。
予測ステップ - アフィンスケーリング方向
線形計画問題を以下の標準形に書き直す。これは任意の線形計画問題に対して変換することができる。

ただし、
、
、
によって
個の制約と
個の等式制約が定義され、
は変数ベクトルを表す。
上記の問題に対するKKT条件は以下のように表される:

ただし、
、
(
を対角成分に並べた行列)であり、
(成分がすべて 1 のベクトル)である。
KKT条件を整理して以下のように
と表すとする。

予測子修正子法はニュートン方程式を解いてアフィンスケーリング方向を求める。ニュートン方程式は以下のような線形方程式系で表される:

ただし、
は

と、F のヤコビ行列である。
すなわち、線形方程式系は以下のように表される:

中心化ステップ
の積の平均値は現在の点
が(ここで
は現在の反復の回数を表す。)最適解にどれ程近づいたかを表す重要な指標となる。この指標は双対ギャップを表しており、以下のように定義される:

中心化パラメータ
を用いて以下の方程式系の解を求める:

修正ステップ
は上記の方程式系によって求めたアフィンスケーリング方向にそのまま進もうとすると相補性条件が満たされなくなることが分かる。

そのため、相補性条件の誤差を修正するための方程式系は以下ののように定義される。ただし、この方程式系の係数行列はアフィンスケーリング方向で用いた方程式系の係数行列と等価であることから、ここでの計算量は以前求めた行列に依存する:

中心化・修正方向を集約した方程式系
修正方向では予測・中心化方向の方程式系の右辺を一つの方程式系に集約する。この方程式系の計算量についてもアフィンスケーリング方向で求めた係数行列の計算によって決定される。したがってこの方程式系の係数行列は予測方向で使用した分解した行列を再度用いる。
集約した方程式系は:

予測子修正子法は始めにアフィンスケーリング方向を求める。続いて現在の反復点からの探索方向を求める。