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ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク(Johann Gottlieb Goldberg 1727年3月14日受洗 – 1756年4月13日)は、ドイツのヴィルトゥオーゾハープシコード奏者、オルガニスト、バロック後期から古典派初期にかけての作曲家。おそらくヨハン・ゼバスティアン・バッハの『ゴルトベルク変奏曲』の初演者ではないかと考えられており、曲がその名を冠していることによってよく知られている。
ゴルトベルクはポーランド・リトアニア共和国、王領プロイセンのグダニスクに生まれた[要出典]。他にケーニヒスベルク生まれであるとされることもある[1]。1727年3月にグダニスクの聖マリア教会で洗礼を受けている[2]。幼少期について確かなことはあまり知られていないが、奏者として並外れた才能によって1737年頃にロシア帝国の在ザクセン大使だったヘルマン・カール・フォン・カイザーリンク(de:Hermann Carl von Keyserlingk)伯爵の関心を引いていた。伝えられるところではJ.S.バッハとその長男であるヴィルヘルム・フリーデマン・バッハに師事していたとされるが、その修業期間についてはわかっていない。場合によってはグダニスクでカイザーリンクに認められた直後の1737年には早くもJ.S.バッハの下で学んでおり、その後1745年以前のいずれかの時期にW.F.バッハに学んだのではないだろうか。なぜならW.F.バッハはカイザーリンクの大使としての駐在期間中、ドレスデンにいたからである。
ゴルトベルクの生涯で最も有名な出来事は、J.S.バッハの伝記作家であるヨハン・ニコラウス・フォルケルが詳述している。おそらく1741年のこと、不眠症であったカイザーリンク伯爵の入眠を助けるべく演奏されたバッハ作曲の変奏曲が関わっている。カイザーリンクが贔屓にしていたハープシコード奏者は14歳のゴルトベルクであり、彼は卓越した技巧によって非常な技術的困難を伴う楽曲を演奏することができたのであった。伯爵が実際にその演奏によって眠りに就くことができたのかどうかは記録に残っていないが、そのバッハ作品は彼の大のお気に入りであったとフォルケルは書き残している。出来事から60年後の1802年にフォルケルはこう記した。
フォルケルが記した逸話の正確性にはしばしば疑問が呈されており、実際のところバッハの熱烈な伝記作家による脚色がなされていると思われる。しかし、ゴルトベルクは当時ヴィルトゥオーゾ奏者として知られており、ちょうどカイザーリンクに雇用されていた時期にあたり、しかも彼が作曲したカンタータがバッハのカンタータに類似していることから場所はライプツィヒであった可能性が最も高いと思われるのである。師弟関係についてはカンタータの類似性のみを根拠に多くの研究者に提唱されてきている。
ゴルトベルクは1745年頃にカイザーリンク伯爵のもとを離れ、その後しばらく歴史から姿を消す。次に記録に現れるのは1750年頃のことで、W.F.バッハが1767年に出した書簡で書かれた演奏会の中に登場する。1751年にはハインリヒ・フォン・ブリュール伯爵に雇われ、その後短い生涯を終えるまでその職に留まった。結核により29歳でこの世を去り、1756年4月15日にドレスデンで埋葬された。
ゴルトベルクの作品は彼の名前を冠したバッハ作品に比べると遥かに知名度が低いが、様式には広い幅があり、音楽史上の過渡期に現れた流行の大半から影響を受けていることが認められる。初期の作品はJ.S.バッハの作品と似通っており、このことから彼が有名作曲家に師事したという話がおそらく確からしいと考えられる。後年の作品ではとりわけギャラント様式を使用していることから、彼がドレスデンの宮廷で人気の様式に敏感であったことがうかがえる。晩年の作品、特に協奏曲においてはバッハの息子であるC.P.E.バッハのものと同種の洗練された和声用法がみられるが、これらはブリュール伯爵の音楽家のために書かれたのであろう。シンコペーション、半音階進行、大きな幅のある旋律はこうした晩年の作品の特徴である。
彼はバッハに師事していた期間にカンタータを作曲しており、例えば1745年から1746年頃には聖ヨハネの日の祝祭のための教会カンタータ『Durch die herzliche Barmherzigkeit』がある[3]。作品には他にもトリオ・ソナタ、全ての調性を使用した24のポロネーズなどの鍵盤楽曲、ハープシコードのための協奏曲、散逸してしまったコラール前奏曲集などがある。
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